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Dr.Hの場合ー雇われ院長職ー

医療系人材紹介エージェントですので、
医師を募集している医療機関から
医師求人情報を頂きます。

その中に、
「雇われ院長職」案件があります。

Dr.Hの事例をご紹介させて頂きます。

■    雇われ院長とは

クリニックに常勤で
管理医師、院長という形で
勤務する医師のこと。

医療法人等が
分院展開する際に募集します。

求人主導型の紹介会社で働いていたとき、
クリニックの院長職案件に、Dr.Hから
問い合わせ頂きました。

Dr.H曰く、
「父が開業医で苦労しているのを見ているので、
 自分でクリニックを開業しようとは思わない。
 ただ、雇われ院長には興味がある。
 何年か雇われ院長をして
 クリニックを承継できればと思っている。」
とのこと。

既に出身大学を退局され、
現在は医局派遣で行った
関連教育病院で、
常勤医として勤務。

ただ自宅とその病院が遠いのと、
当直もし、外来も病棟管理もし
満遍なく働いているのに、
年収がアップしない。

今は体力もまだあるが、
年齢を重ねてきているので、
そろそろ、当直がない勤務を
経験してみたい。

ただし、年収は現状をキープか、
現状よりアップでありたい。

こんな希望を頂き、
雇われ院長職への転職活動が
始まりました。

■    Dr.Hの経歴

現役で私大医学部に合格。

大学時代はサッカーに
明け暮れたそうですが、
医師国家試験は
奇跡的に現役で合格。


これDrご本人が仰っています。

サッカー部の先輩に誘われ
出身大学の医局の第三内科に入局。

基本大学病院メインに勤務されており、
医局派遣で関連教育病院に出向したのは
2回だけ。
それも3年間だけでした。

医局在籍は約17年。

ご自身の分野の専門医
指導医は取得済。

退局後は、関連教育病院での
常勤医として勤務されながら、
出身大学での非常勤講師もされています。

この経歴からも、
円満に医局を退局されたことが
理解できます。

関連教育病院で
7年勤務された後、
Dr.Hが望まれた
雇われ院長職に就かれました。

■    院長と理事に就任

医療法人社団の雇われ院長として、
入職されたDr.H。

分院の院長となった時点で、
法人の理事にも自動的に就任。

理事会が開催されれば
出席することになります。

此方の法人ですが、
雇われ院長にも
法定通りに有給休暇を
認めて下さっていました。

法人によっては、
理事でもあり院長でもあるので
有給休暇等は発生しないと
考えている処もありますので、
その点、雇われ院長職で勤務される
医師の皆さんは、お気をつけください。

Dr.Hが
雇われ院長となったクリニックは
医療法人社団の分院として、
既に、数年間の実績がある処。

前院長が体調を崩し、
後任医師を探して欲しいとの申し出が
理事長にあり、それを受けて
Dr.Hにご縁が繋がりました。

そんな経緯があったので、
前院長からの働いている職員はそのままおり、
医療機器もそのまま。

院内の流れに、
Dr.Hがあわせていく感じで
院長としての勤務が始まりました。

■    クリニック承継について

Dr.Hの場合、
雇われ院長で、
ゆくゆくは、クリニックの承継がある処が
転職理由でした。

クリニックの承継については、
入職時の【雇用契約書】と同様に
【クリニック承継に関する覚書】を
締結しました。

Dr.Hに提示された承継時期は、
“入職してから5年後の決算期に
承継の検討を開始する“と記載。

覚書の内容は、
・クリニック営業権
・内装設備、医療機器、什器備等の
 医療法人社団の所有物等
・名義変更
①    医療機器のリース・保守料
②    クリニック賃貸借契約書
・従業員の引継ぎ
等が記載されていました。

譲渡金額については
第三者会社に委託し、報告書をみて
双方で協議して決めると。

立地も良いし、
可能であれば承継したいと
Dr.Hもお考えでしたので、
この内容で覚書の締結となりました。

■ 実際、どうなったのか

Dr.Hですが、
雇われ院長として
順調に勤務されていました。

此方の法人ですが、年俸にプラスして、
インセンティブ制をとっておりましたので、
Dr.Hの年俸は、入職時からは
年々あがっていると、理事長から
報告頂いておりました。

そして、
クリニック承継を検討する時期が来た頃、
予想もしなかったことが起きました。

クリニックの盛業を知っていた
貸主側が、家賃の値上げ交渉をしてきたのです。

Dr.Hのクリニック、
立地がとても良いので、
多少の値上げであれば、
理事長もお考えになったと思うのですが、
想像を超えた家賃を提示してきたそうです。

理事長はブチ切れ、
交渉決裂。

Dr.Hのクリニック、
撤退が決まりました。

寝耳に水の展開。

Dr.Hに連絡をとった処、
「理事長からは他のクリニックの院長をと言われたけど、
自宅から遠くなるので、丁重にお断りしたよ。
稼がせて貰ったし、こればっかりはどうしようもないことだし。」
と仰っていました。

■    医師の数だけ、医師のキャリアはある

Dr.Hのその後ですが、
前職の医療機関に戻られ、
管理職として勤務されています。

Dr.Hの状況を知った前職の院長が
「戻っておいで。」
と仰ってくれたそうです。

前職を円満にお辞めになっていたのと、
Dr.Hの働きぶり、人柄があってこそ、
凄いな、Dr.Hと思ったのを覚えています。

医師の数だけ、医師のキャリアがあります。

Dr.Hの場合は、
家賃交渉が決裂しての
クリニック撤退となり、
そこで雇われ院長としての
キャリアは一旦終了。

しかしながら、
医療機関の管理職としての
第二のキャリアが始まりました。

適切な言い方ではないと承知していますが、
Dr.Hの場合、雇われ院長だったからこそ、
ある意味助かった部分があります。

クリニック撤退の後始末等は
医療法人社団・理事長が対応。

Dr.Hは、キャリアのブランクなく、
前職で働きだすことが出来ています。

クリニック撤退という
結果となりましたが、
医療法人社団・理事長が
Dr.Hに対して
真摯な対応をとって下さったのが
印象に残っています。

雇われ院長職は、
メリットやデメリットがあります。

ただ、ご自身が
どんなキャリアを歩んでいきたいかを考えたとき、
Dr.Hの様な考え方で、雇われ院長を経験されるのも
よろしいのではないかと思います。

私どもDEPOCは、
色々な先生のキャリアをみています。

ご自身で開業するのは、
リスクがあるとお考えの先生は
雇われ院長職という選択肢も
あってよろしいかと思います。

以上


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医療系人材紹介エージェント。日々、医師や看護師さんとお目にかかり、思うことや、自分がお邪魔して、こちらに人材を紹介したいな~と思う、医療機関さんが募集している人材情報を掲載していきます。あとは、自分の趣味のダイビングのことも書いて参ります。医療系で海好きの人と繋がりたいです。