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アメリカ留学日記/帰国3日前、久しぶりのメンタルブレイク

アメリカ、マサチューセッツのスプリングフィールドの友達の家に居候している。今日は2日目、帰国まで3日。

今日は友達のおじさんのワンちゃんを洗って、友達が仕事に行ったあと、一人で庭で作業していた。

にしても、日本に帰るったって、不安だらけだ。この人生、不安と格闘しながら、今この瞬間を感じようと必死だ。今の不安は、将来、やりがいや長期的な充足感、目標の感覚や誇りを感じながら、同時に必要なお金を稼いで生きていけるのかという漠然としたもの。仲良くなった友達には、冗談じみた声で「わたしホームレスになるかも」と言ったこともある。そのくらい、自分をfundするためのお金を稼ぐのに苦手意識がある。

そんなこんなで、今日は久しぶりのメンタルブレイクダウンがやってきた。というのも、わたしの家族はわたしがアメリカ大学院に挑戦するという目標にかなり反対していて、とりあえず日本で働け、と強く希望しているのだ。お金を貯めてから行け、そして日本で「社会人」という経験と肩書きをつけてから行けば、最悪帰ってきても居場所があるんじゃないか、と。その気持ちもよくわかる。アメリカでお金がないことがどれだけひもじいか、都市部の道を歩いたり、安宿に泊まったりして痛いほど感じた。卒業後にアメリカでやっていけるかも、今はまだ正直わからない。ただ、この環境に、そして新しい自分の可能性に魅せられてしまったという、淡く、しかし確信のある感覚を、現実に落とし込もうとしている。

心がぐずぐずと鳴り、姉に電話した。最初の理由は、姉がいまどう過ごしてるのか気になったことだったけど、深層心理では、アメリカ留学を経験し、今は日本で働く姉に、今のわたしの悩みを聞いて欲しかった。彼女なら、頭ごなしに否定せずに聞いてくれるだろう、と。

世間話もほどほどに、姉は母がわたしの計画に恐ろしく心配/反対していることを話してくれた。ちょっとだけ、日本に帰るのが怖くなった。挑戦を応援してくれる人に囲まれ、実現可能性よりもやりたいかどうかを重視する風潮にいたわたしは、若干無責任だけどワクワクさせてくれるそのマインドセットに甘えていた。日本に帰ったら、一番近くにいる家族を説得しないといけない。そのプロセスで、毎日のように、日本で働けと勧められるだろう。それに耐えられるか。わたしはちゃんと生きていけると、根拠と覚悟を持って伝えられるか。家族の叱責を聞いて胸が苦しくなることは、自分の中の不安と向き合うことでもある。何より怖いことは、自分の力や自分自身を疑う気持ちが、家族の叱責と手を組んで、決断がより簡単で無難な方へと流れてしまうことだ。そういう決断は、長期的に見たら、自己効力感の低さや抑うつ感情につながることもある。

姉はわたしの話を聞きながら、否定することはなかったけど、日本である程度働いてから行けばいいんじゃない?という姿勢だった。彼女はアメリカを経験しているからこそ、英語が母国語でないアジア人が生きていくのがそんな甘いものじゃ無いということもわかっている。さらに、日本で働くこともそんな悪いもんじゃ無いよ、と。彼女は仕事にやりがいを見出し、稼いだお金を趣味や未来のために使うことを楽しんでいた。

電話後に姉が送ってきたのは、「おおかみこどもの雨と雪」のビデオ。狼人間と人間の間に生まれた二人の兄弟が、それぞれ違う道を歩んでゆく姿が描かれていた。人間社会に溶け込んで、親のそばで生きることに幸せを見出す姉と、森の世界に魅せられて、親元を離れて深い森で生きてゆく弟。

弟は、もう二度と親に会えない。

姉は、私を見ているとこの弟を思い出すと言った。日本を離れて生きていくとしたら、老いてゆく親に会える機会が格段に減り、大事な時に一緒に居られなくて、心の距離も離れて。いわゆる「親子」としての関係性を築き続けていくことは難しくなるだろう。現代はzoomやラインがあるから、この映画みたいに森に入って一生出てこない、みたいなことにはならないだろうとか思いつつも、それでも映画の中で、森に消えてゆく息子を見て母親が泣き叫ぶシーンを見ると、どうしても涙を堪えられない。この時、映画の中で母親は、息子を「私が守らなければならない存在」から「自立した一人の人間」と見なし始める。支援はしてくれずとも、応援してほしい。今の私は切実にそう思うのだ。

あと、今友達と「バンパイアダイアリー」を一緒に見るのにハマっている。人間社会に溶け込んだバンパイアと恋に落ちる人間の話なんだけど、とてつもなくドラマチックで時々嘘でしょっていう展開になるし、あまりにも甘々なシーンも多いので、半分呆れながら、でも続きが気になって仕方ない。つまり結構沼にハマっている。友達と夜中に、将来が不安なことを一通り話して涙を流したあと、よし見ようか、って言って二話再生した。友達が寄りかかってくる温かさが心地よかった。

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