暇やな~~。せや!今まで読んだ作品の感想一言で述べてこ!vol.4

めんどいからフォーマットは適当にするでな

㊲蜘蛛女のキス マヌエル・プイグ/野谷文昭 集英社
インターテクストの鬼。こんな作品書けるの素直にすごすぎる。実は屈指の好き作品である。惜しむらくは原文で読む能力が今の僕には無いのと、最後訳者あとがきと三浦しをんの解説まで勢い余って読んじゃったこと。ありゃ蛇足も蛇足だった。油断大敵火がぼうぼうってな

㊳罪と罰 上 ドストエフスキー/米川 正夫 KADOKAWA
やはりこの作家は人間の何たるかを描き出すのがめっぽう上手いなと再確認した

㊴罪と罰 下 ドストエフスキー/米川 正夫 KADOKAWA
あとがきにも書いてあったけどドストエフスキーの思想と物語としての面白さが見事に融和してて流石最高峰の文学と呼ばれるだけあるなと思った

㊵ムーミン谷の夏祭り トーベ・ヤンソン/下村隆一 講談社
罪と罰の間に読んだけどこの作品も「人間とは」だよな。畏れ多くもスナフキンのスタンスにはめちゃくちゃ共感できるものがある。でも同時にミイ子の破壊衝動に突き動かされてるかのような振る舞いに関しても身に覚えがある。みーんな心の中にいるんだねそしてムーミン谷は僕らの心に、、
それはそうと邦題は何故こうも原作に従わないのか

㊶時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」 吉田 伸夫 講談社
久しぶりに学術書寄りの読み物に触れた。自分がどこまで理解できてるのかはさておきめっぽうおもろい。時間は流れとして意識されてるけど実はビッグバンという端っこからエントロピーが急激に増大してる状態としての拡がりっていうのが目から鱗だった。色んな種類の本を読むのって楽しいわね

㊷自殺について アルトゥル・ショーペンハウアー/斎藤信治 岩波書店
なんか手に取ってしまった。
ショーペンハウエル(ショーペンハウアーと言いたい時とショーペンハウエルと言いたい時があるが今日は後者が良かった)は飲み込み易いけどあまりにも断定的な口調だからやっぱりちょっと苦手やな。まあ共感はした
ちなタイトルがタイトルだから無駄に人に突っ込まれたりして煩わされる前にブックカバーを付けた。リスクヘッジブーム来ててよかった。

㊸なぜ数学が「得意な人」と「苦手な人」がいるのか ブライアン・バタ-ワ-ス/藤井留美 主婦の友社
体の部位に数字を割り振って覚えるみたいなのの図がおもろかった

㊹不倫 パウロ・コエーリョ/木下 眞穂 KADOKAWA
ヒューマニズムだね

㊺アルケミスト パウロ・コエーリョ/山川 紘矢KADOKAWA
知り合いのふざけた船乗りのおじさんが貸してくれた。潮の湿気を帯びて波打った紙がまた指に心地よかったんだあ
さておき不倫とはかなりテイストが違って衝撃。人生の大きなターニングポイントに差し掛かってた当時の自分には響く言葉が結構あった。多少胃もたれする表現とかはあったけど帆に新たな、そして大きな風を受けたような気がしたものです。

㊻時間はどこで生まれるのか 橋元淳一郎 集英社
哲学の話題に触れる度に「自分は門外漢である」だとか「本著はアマチュアからのラブレターにすぎない」云々とか言ってて、その腰の低さが(ともすると嫌味かと思われるほどだったけども)信頼できた。要するに、多くの専門書に見られるようなドグマが感じられなくてとてもよかった。
そして最後に色んなジャンルの参考文献みっちり紹介してくれたのすごく助かった。
ありがとハッシー!

㊼ペドロ・パラモ フアン・ルルフォ/杉山晃 岩波書店
声声声声声!亡霊!だいすき!

㊽ムーミン谷の冬 トーベ・ヤンソン/山室 静 講談社
さりげなく散りばめられた金のような言葉の数々には戦慄させられんばかり。スマートやね

㊾偶然とカオス デ-ヴィド・ルエル/青木薫 岩波書店
表紙&タイトル借り。われわれがわれわれであること、すごいよね

㊿砂の本 ホルヘ・ルイス・ボルヘス/篠田一士 集英社
予想外にかわちかった
思い違いじゃなければそんなに難しい本じゃなくて、本ナードが好きな作品についてクオテーションやオマージュを用いて語り倒してる印象を受けた
「人智を超えたもの」”there’re more things” だっけな〜その短編が好きやった。あと汚辱の世界史はよかった普通におもろかった

りせっと!りせっと!

①レトリックと認識 野内良三 日本放送出版協会
比喩を用いるということ自体特異な行為であるということ、すっかり見落としていたなと痛切した。それだけ自分が比喩表現に固執していたということも。言葉、発話、そして人間の見通しがまた少しアップデートされたように思う

②燃える平原 フアン・ルルフォ/杉山晃   岩波書店
ごく素朴な語りで巧みに物語を紡ぎ出してて、その時その土地を生きた人たちの暮らしや生き様がありありと描き出されていた。鮮やかだ。本当に純粋に感動した。

③アレフ J.L.ボルヘス/鼓直 岩波書店
アレフはね、ぼくもみたことあるよ

④タタール人の砂漠 ディーノ・ブッツァーティ/脇功 岩波書店
待つこと。待ち惚けること。諦めること。それでもとらわれてしまうこと。刹那に過ぎぬ青春。されど途方もなく続く平坦な日々に、重くなりゆく肉体。のしかかる孤独。取るに足りぬ人の生。
切ないとかいうより戦慄させられた。決して他人事である訳がない。万人に通ずる物語。(全ての書物にほぼ同様のことが記されてると信じてるけどこの作品は殊更。)我が身に迫る(あるいは遠ざかっている?)運命の足音に、改めて耳を傾けざるを得なかった。

⑤無告の霊が何故かと問う 萩原一昭 永田書房
霊感冴えてる気がする!と思った時に立ち寄った古本屋で最初に目に入ったのがこの本だった。つなぎの本がなかったのもあって即購入。
1ページ目から声や風といった言葉が散見され、直前に読んでたルルフォからの切り替えも大変滑らかというか互いに照らし合っているような感じがして、自分の直感力も裏付けられたような気もして、のっけからぐんと引き込まれた。
演劇を思わせるト書きのセリフだったり、手紙の引用だったり、かの玉音放送の文言だったり、とにかく色んなメディアがコラージュされている点が自分の趣味ど真ん中だった。特有の神経質さを持つ各登場人物達から発せられる堅苦しい言葉の羅列はもはやナンセンスであり、ゴドーを待ちながらのラッキーの長台詞を彷彿とさせた。彼らはみな生真面目かつ奇天烈で、その哲学もまた高尚でありかつ愚劣なように感じられた。嗚呼ヒューマニズム…
さておき、大戦を身をもって体験した世代、もしくはその傷跡を色濃く受け継いだ世代による言葉で描写されると、改めて壮絶であるし想像を絶するという意味でも想絶な出来事(こんな言葉では到底片付けられないだろうが)であったということをしみじみと感じさせられる。
ほぼ半世紀前の作品にもかかわらず、未だ革新的かつ実験的で興味深かったんだけど、後半にかけて思想の偏執っぷりがちょっとうるせってなった。でもほんとにすごい作品だと思う。一つの傑作と言っても過言ではないのではなかろうか。まあ僕が言ってもしゃーないんやが

⑥1冊でわかるポケット教養シリーズ リアル・ブラジル音楽   ウィリー・ヲゥーパー    ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
ブラジル音楽って地域によってこんなに違うんや、、国土の広さは伊達じゃねえな。その幅の広さに人種の層の厚みが感じられて浪漫だねっても思った。

⑦The Testaments    Margaret Atwood
バラバラだった声が一つに収束していく様が見事としか言いようがない。さすがはアトウッド様。これだけ縦横無尽に広がる話を器用に束ねてらっしゃる。
恥ずかしながら、数年前に侍女の物語読んだ時は正直あんまり何も分かってなかった(母国語じゃなかったからなのもあるけど、それ以上に「読解力」が低すぎたんだと思う)んだけど、今回は独裁国家ギリアデの全貌がありありと見えたし、その分臨場感がすごくてヒリヒリした。(侍女の物語に比べて、物事がかなり大きく動くから、そのスリルも合間ってって感じかも。)
リディア女史とジュッド司令の駆け引きとか超エッジー(エッチじゃないよ)でアツかった。リディア女史かっこいいんだよなあまじで。
そしてお馴染みシンポジウムパート。アトウッドの皮肉が効いててここもまたメインパートとは違う良さがあった。
などとつらつら書き殴った以上のことはあくまで物語としての面白さ。
日常に溶け込む「暴力」、そして「犠牲者」の存在の指摘は、決して看過できるものではないし、軽視してはいけない。
アトウッドの描き出す権力構造、ことに男女間の優劣差はとてもリアルだ。残念ながら僕も、そうした非平等的で不条理な状況に対面したことがないとは言えないし、もしかしたら僕自身、暴力と化してしまっていたこともあるかもしれない。
やはり強者と弱者は存在して、誰かしらが虐げられるのは免れない。では「犠牲者」はどうするべきか。まず「声」をあげること。シンプルだけど、声を上げずにいたら何もかも揉み消される、というより元から無かったことになってしまいかねない。アトウッドネキの、それこそ声高いこうした主張、ぜひ受け継いでいきたいと思いますね。自分なりに


あとはね、秘密。


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