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昆布の旨味を引き出のは60℃、鰹節の香りを引き出すのは◯℃?

日本料理の基本とも言える「出汁」は、料理全体の味の決め手となる重要な要素です。

昆布に含まれるグルタミン酸などのアミノ酸系の旨味、かつお節に含まれイノシン酸などの核酸系の旨味。

2つの旨味の相乗効果で美味しくなる和食の基本の出汁です。

最初に結論からお伝えしますと…

出汁に含まれるグルタミン酸とイノシン酸が、1対1の割合の時に一番旨味を感じることができます。

そんなバランスが取れた美味しい出汁を引くために、僕が特に注意していることは3つ。

  1. 温度

  2. 時間・タイミング

この3つのポイントを抑えて、昆布とかつお節の「旨味を最大限引き出す」出汁の引き方をご紹介します。

材料について

昆布

昆布の産地は用途によって使い分けています。

産地ごとの特徴は検索すればすぐに出てくるので、興味があったら調べてみてください。

僕が主に使っているのは、利尻島産天然物を3年以上寝かせたものです。

昆布の主な旨味であるグルタミン酸やアスパラギン酸はアミノ酸系。

タンパク質は20種類のアミノ酸が沢山つながったものですが、タンパク質を分解してアミノ酸単体になった時アミノ酸そのものの味を感じるのがアミノ酸系です。

つまり、タンパク質をしっかり分解してあげると旨味が沢山出てきます。

かつお節

うちでは2種類のかつお節を使っています。

どちらも本枯節ですが質と厚さが違います。

ピンク色で薄いかつお節は「香り」を出してもらうため。

濃い色で厚めに削ったかつお節は「旨味」と「コク」を出してもらうために使います。

かつお節の質は、原料のかつおに含まれている脂肪分に影響されます。脂肪分が多いと旨味やコクは出るのですが酸化しやすく出汁も濁りやすくなります。

一方、脂肪分が少ないと、色はきれいなのですが旨味は多くありません。

うちでは、両方の良いとこ取りをしたくて2つのかつお節を入れるタイミングを変えて使っています。

かつお節と温度の関係

鰹節と温度の関係を考えながら、引きたい出汁のイメージをして温度を管理します。(諸説あり)

  • 香り成分が出やすいのは、70℃

  • 香りが飛びやすいのは、77℃以上

  • 雑味や濁りが出るのが、80℃以上

  • イノシン酸が出やすいのは、85℃

濁ったり雑味が出てもいいから濃い出汁を引きたい場合は温度が高い状態でかつお節を入れたり、場合によっては少し加熱をします。

うちでは、できるだけ濁らせずに香りも大切にしたい場合は、次の手順で出汁を引いています。


旨味を最大限引き出すための、昆布とかつおの出汁を引く手順

  1. 昆布の準備: 乾いたふきんで軽く拭きます。
    昆布の表面の白い粉は、マンニトールという甘味成分でキシリトールなどの仲間です。昆布の味の要素の1つなので、僕は拭き取らないようにしています。
    切り込みを入れると旨味が出やすくなるという考え方もありますが、雑味やヌメリ(アルギン酸)が出やすくなるので、僕は、切り込みは入れない派です。

  2. 昆布を水で戻す:水1リットルに対して昆布13グラム(水の量に対して1.3%)を、前の晩から漬けておきます。(短くても30分から1時間は漬ける)水は超軟水を使っています。 
    毎回計るのは面倒ですがグルタミン酸とイノシン酸のバランスが大切なので計量した方が美味しいお出汁への近道だと思います。

  3. 加熱:浸した昆布と水を鍋に移して火をつけ、60℃で50分間加熱します。

  4. 昆布を取り出す:50分間加熱したら火を強めて、80℃直前で昆布を取り出します。

  5. 鰹節の用意:本枯節を削る。うちでは少し厚めに削ったものと、市販の薄削りの2種類を使っています。合計で水の量の1.6%にしています。

  6. 沸騰させる:昆布の臭みを取るために必ず沸騰させ、アクが出ていたら取り除きます。

  7. 火を消す:火を止めてそのまま温度が下がるのを待ちます。

  8. 80℃位になったら:少し厚めに削った本枯節を静かに入れる。

  9. 70℃位になったら:薄削りの本枯節を静かに入れる。

  10. 鰹節が沈んだら:さらし、ネル地、クッキングペーパーなどで静かにこす。

  11. 酸化防止:氷を使って急冷します。急冷した方が香りも持続する気がしています。

昆布の種類や産地、かつお節の種類、水質火加減などによって、昆布とかつお節の量のベストバランスは違ってきますので色々試してみてください。



この記事は和食初心者から日本文化に興味を持つ外国の方まで、広く情報を提供することを目的としています。何か追加や変更を希望される点がありましたら、お知らせください。
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