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41 雪に刺さって雪映すのみカーブミラー

 句集「むずかしい平凡」自解その41。

 雪国で見た光景。深く雪が降り積もり、すべては真っ白の世界。

 そんなときに車で運転するのはほんとうに注意が必要。どこでどんな危険が待ち伏せているか。

 ふと見ると、カーブミラー。雪に埋もれている。というか、なんだか雪に刺さっているようだ。そして、肝心の車などはほとんど通らないから、映っているの雪の世界だけ。カーブミラーの奥深くまで雪世界がしみ込んでいる。

 なんだか、鏡の中にまた鏡の世界が広がるような、不思議な感覚。

 東京電力福島第一原発の事故で、5年間妻子が山形県の置賜地方の町に避難することになり、それに伴い、私も頻繁にその町を訪れるようになり、こんな光景に出会うことになりました。

 もちろん、こういう光景は、映画などではみたことあるような気がしますが、実際に体験すると、それはまったく違う感触になってきます。

 雪が、いかに生活にのしかかってくるか。

 実際に、雪掻きは大変でした。

 そしてみな口をそろえて、「雪は白い悪魔だ」と。

 「雪に刺さって」と言いえたことで、その宿命的な雪国の状況に近づけたかな、という思いはあります。

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