見出し画像

25 秋燕や現地解散してから旅

 句集「むずかしい平凡」自解その25。

 グループで旅行などして、わいわいがやがや、一泊二日くらいのにぎやかな時間を過ごして、じゃあこのへんで、現地解散で、また会いましょう、などと言って、みんなと別れる。

 たいていはこれで帰途に就くわけですが、これで終わるのももったいない。ちょっとどこかへ立ち寄ってみようか。

 なんとなく、そんな気分のときに、秋の燕が空をよぎっていった。

 と、まあ、そんな光景を思い浮かべてもらえればありがたいですね。

 「旅行」と「旅」の微妙な言葉のニュアンスも感じ取っていただければ。「旅行」がべつに悪いわけじゃないけれど、やっぱり「旅」の感覚って、文芸には必要なのかもしれません。

 適度な孤独感。自由な気分。

 とくに俳句はそう。日々旅にして旅をすみかとす、と芭蕉は言いましたからね。

 この句、自分としては「現地解散」なんていう日常語をうまく俳句に取り込めたかな、なんて思っているんですけれど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?