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やっぱ映画館っていいね

もし今、「好きな映画は?」と聞かれたら、なんと答えるだろう。
You got mail, プラダを着た悪魔、メリーポピンズ、アニメだったらトイストーリー(私は特に2が好き)、リメンバーミー、魔女の宅急便などなど…。
人生の色んな場面で何度も見返しては、映画の持つ力に助けられてきた。

ただその中でもTHE FIRST SLAMDUNKは、私の映画史の中でも特別な存在と言える。

11月の前売り券販売開始日は、0:00にパソコンに張り付いてチケットを確保。公開日を今か今かと待ちながら原作マンガを何度も読み返した。またTHE FIRST SLAMDUNKはプロモーションや前情報が殆ど無かったため、期待とドキドキをMAXまで高め、池袋にあるグランドシネマサンシャインで初めてTHE FIRST SLAMDUNKを鑑賞した。

…結果、とてもじゃないけど1回観ただけでは気持ちの整理がつかなかった。初めて明かされたリョータのルーツ、選手一人一人の苦悩や葛藤、そこからの成長。そして待ちに待った映画を観ることができた嬉しさ、自分が試合会場にいたのではないかと錯覚するほどのリアルな描写、体育館に響く応援の声、ボールが跳ねる音、バッシュが擦れるキュッという音、そしてあのシーンの無音。あとからあとから湧いてくる不思議な感情と高揚感に浮かされながら、冬の池袋を後にした。そして思った。「これはもう1度観たい」

それから2023年8月31日の上映終了までの間、THE FIRST SLAMDUNKを合計22回鑑賞した。巷では何百回も観たという人もいるので決して数を自慢したいわけではないが、このことを人に話すと「それって同じ映画だよね?」と確認される。正真正銘同じ映画である。私も自分の人生で同じ映画をこんなにリピートしたのは初めてだった。しかも、うちで観るのではなくて映画館で観た、のである。

それまでは「映画館で映画を観る」といっても、どこの映画館で観るとか、どの席で観るとかそういうのにこだわりはなくて、「とりあえず近くの映画館で、真ん中らへんの席で」と思っていたし、1回映画館で観たら次はDVD化されたときかな、という感じだった。しかし22回の間に色んな映画館に行ってみたことで、映画館には実に多くの楽しみ方があることに気が付いた。

例えば同じスクリーンでも座る位置によって見え方(視界)や聞こえ方が異なり、同じ映画でも違う発見がある。またTHE FIRST SLAMDUNKでは、ドルビーシネマ、IMAX、FLEX SOUND(音響体感シート)、轟音上映、応援上映、実況付き上映など様々な上演形態があったが、それらを実際に体験してみることで、それぞれに違った良さや特徴があるのだということが実感できた。THE FIRST SLAMDUNK自体が素晴らしい作品であることもそうだが、そこに映画館という要素が加わることで22回観ても全く飽きることがなかった。また映画以外のことで言えば、同じ系列の映画館でも、映画館がある場所(立地)によってカーペットの柄や壁紙の色が違っていることに気が付いた。のちのち調べたらそれが意図的にそうされているのだということが分かり、映画館それぞれにストーリーがあることに感動した。

しかし、これだけ映画館に通ってみて一番の大きな発見は、一緒に観た人たちの中に流れる「一体感」かもしれない。自分も画面に集中しているからじっくりとは見ていないのだけど、試合のシーンでは皆の気持ちが前のめりになるのを感じたし、緊張の瞬間は息を飲むのが分かったし、最後のあのシーンでは鼻をすする音がそこかしこから聞こえた。ひとりじゃない、という感じがした。周りの人と同じタイミングで笑ったり泣いたりする一体感があって、映画館っていいなあ、と温かい気持ちになった。

応援上映で印象深いエピソードがある。2023年4月に応援上映に行ったときのこと。平日夜の回だったので仕事終わりにひとりで参戦したのだが、私の両隣も同じく仕事終わりと思われる同年代の女性の方だった。
応援上映は2回目だったが、ひとりで来るのは初めてだったため、一人で大声を出すことに初めは若干の気恥ずかしさがあった。しかし上映が始まると、両隣の2人が全力投球、フルスロットルで応援しているではないか。つられるように私も応援し、シリアスなシーンでは共に涙を流し、最後は選手の健闘を拍手でたたえ終演した。言葉を交わすことこそなかったものの、あの時「仲間」という言葉がよぎったのは、私だけではなかったと思う。応援上映は通常上映と違うので少々特殊な環境だったかもしれないが、映画館じゃなければ体験できない一体感だった。

家でのんびりソファに座って観る映画もいいけど、大きなスクリーンで、色んな人と一緒に空気を分かちいながら観る映画もいいなと、映画の新たな魅力を知った、そんな9ヶ月間だった。

もともとSLAMDUNKが好きで、強くありたいと思った時に読み返すくらい、自分の中で大切な作品だった。映画を観たことでさらにその気持ちが強くなったことは言うまでもないが、映画館の面白さに気付くきっかけになったことで、またひとつ大切な意味を持つ作品になった。


写真は、たまらず2回目を見に行ったときの一枚。(1回目を見たときの写真は残っていなかった。多分それどころじゃなかったんだと思う(笑))
池袋グラシネのIMAXのスクリーンはは日本最大級の大きさで、確か幅25m✕高さ19mくらいだったはず。スクリーンに入った時、あまりの衝撃で「でかすぎてプラネタリウムかと思った」と友達にLINEで報告しました。ちなみに真ん中らへんの列でも視界いっぱいにスクリーンが広がるので、全体感を観たい人は真ん中よりちょっと後ろめがおすすめだよ。私はまだ未体験だけど、最前列にはリクライニングシート(リクライニングすぎてもはやベッド)もあるよ。


#映画にまつわる思い出 #エッセイ #日記 #スラムダンク  


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