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「様」、さまさま

時々、身の回りなささいな言葉が気になって仕方がないことがある。

「お宅さまの型式はA13です」
うちのガス台の横のシールにそう書いてある。今まであまり気に留めたことはなかったのだけど、この前、そういえば「お宅『さま』」ってなんだ?と気が付いた。一度目につくと妙に気になってしょうがない。お宅「さま」って、なんだ…?

もうひとつ、「様」をめぐる記憶があって、それは大学生の時に家電量販店でアルバイトしていたときのことである。お客さんからの電話をとった社員さんが、そのお客さんの名前を尋ねようとしてこう言った。
「それでは、お客様のお名前様を頂戴できますでしょうか?」
お名前「様」!いくらなんでも丁寧すぎやしないか。数年経った今でも忘れられない、衝撃の「様」である。

念のため補足しておくと、ここでガス会社や社員さんを吊し上げるつもりは全くない。でも理由は分からないけど、そのことについて考えてたらなんだかめちゃめちゃムズムズしてきた。このムズムズはなんだろう、とちょっと考えてみた。

思うに、「様」は人(自然人)の呼称に対して使われるのではなかろうか、ということである。さらに「さん」とも互換可能なのではないか。
例えば、「お父さん」も「お父様」もどっちも使えるし、「お客さん」も「お客様」も使える。人であるかどうかは一旦さておいて、「お稲荷さん」と「お稲荷様」もイケそうだ。
だけど、「お宅」とか「お名前」は人じゃない。だから違和感を感じたんじゃないかなぁ、と思う。(ちなみにゴミ袋を買った時に「スーパーさんのレジ袋」と書いてあるのを目撃したこともある。スーパーも人じゃない)

ここまで考えると、周りのみんなはこれをどう受け止めているのかとても気になる。特に気に留めないのだろうか?それとも、やはり同じように多少はムズムズするんだろうか?

ちなみにちょっと脱線すると、「様」は省略することはできるんだろうか、とも考えてみた。
「お客」は名詞として使えそう。「お稲荷」もアリか。「お父(おとう)」はどうなんだろ。日本昔ばなしでは聞いたことある気がするけど現代ではあんま耳馴染みはない。ということで、省略してもOKかどうか(と、それが広く使われているか)はモノによりそうだ。

さらに脱線すると、「さん→様」の置換ができるかについても考えてみた。
「お客さん→お客様」とかは大丈夫だけど、「お肉屋さん→お肉屋様」はちょっと無理があって、同じように「お巡りさん→お巡り様」も使わない。「様→さん」は変えられても、「さん→様」にすることはできない例もありそうだ。

同じ職業名でも「美容師さん」は言えるけど「先生さん」は言わないよなぁ…とか他にも気になる事は沢山あるけど、きりがないので今日はこの辺で思考をストップしておく。こんな感じで日々ちょいちょい気になる言葉を見つけては考えているので、まだまだ退屈しなくてすみそうだなぁと思う。


写真は、エジプト考古学博物館にいたニャンコです。そういえばエジプトのスーパーで買い物した時、おつりの小銭を切らしているからと、同額相当の水をおつりの代わりに渡されたことがありました。いや、いらねえよ!と思ったけど、今となってはいい思い出です。

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