夜風を浴びながら男二人がベンチに座っていた。 片手にはお酒を片手にはやきとりのようなものを持っている。 仕事にくたびれたとき私は、いつも帰り道に見かけるこの公園で一人で軽く飲んでから家路につくのだ。 お気に入りのビールとあたりめ。「お金持ちになる!」と田舎から夢見て上京してみたものの、 社会という現実に打ちひしがれたサラリーマンにとっては最高の贅沢である。 今日は夜風が気持ちいい日だった。 天気も良かったが、夕立なのか足元は少し湿っていた。 背中合わせのベンチで、私の後
彼は、険しい顔をしている。 「何か悩みでもあるの?」と私は聞く。 「最近調子が良すぎるんだ。仕事も君との関係もうまくいっている。 おかげで気持ちが浮かれ始めている。 このままじゃ、調子に乗ってしまうから、険しい顔をしてバランスをとっているんだ。」 彼の顔は、眉間にしわを寄せ、奥歯を噛み締め、口を固く閉じている。 彼なりの険しい顔らしい。 1か月後、彼は険しい顔をしていた。 「今日も悩んでいるふりをしているの?」と私は聞く。 彼は、「いや、これはふりじゃなくて、
ぽりぽりと音が聞こえる。彼女は、ソファに座り、テレビを見ながら、お菓子を食べている。 僕は、彼女と一緒に選んだダイニングテーブルに座っていた。仕事終わりに同僚の飲み会に付き合わされたが、日付が回る前に帰ってこれた。 やっと解放された僕は、家に置いてあるウイスキーを少しだけ煽りながら、そんな光景を眺めていた。 君の顔は見えない。 ただ、右手からお菓子が口へ運ばれるその後ろ姿を見ている。声をかけても、その身体が振り向くことはない。 どんな顔をしていたっけ?どんな顔で、
読む手が止まらなかった衝撃ミステリー小説の感想を書いたので、ぜひ読んでください! ↓購入はこちらから↓ こんな方におすすめ! ✔︎伏線を多く含む作品を読みたい! ✔︎展開がどんどん変わっていくワクワクドキドキする作品を読みたい! ✔︎人間の汚い部分など本性に触れる作品が読みたい! あらすじこれは、六人の就活生が内定を巡る最終選考で起きる「事件」を綴った物語です。 著しい成長を遂げるIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用の最終選考に残った六人の就活生。最終選考
うまく言葉にならない感情 ずっと表現できないと思ってた でも、違った ただその名前を知らなかっただけだった ああ、誰かにこの感情に名前をつけて 名前があれば、表現できるのにな 伝えたい気持ちがあるから 気に食わない 伝えたいと思わなければ こんな感情にならないのに ああ、仕草や表情だけで伝わればいいのに 言葉にしなくても伝わればいいのに あなたへの気持ち それは好意を伝えるだけじゃないよ 嫌なことも全部含めて伝えるよ うまく言葉にならない感情 ずっと表現できないと思
今日も日付をまわり、千鳥足で帰路につく。 「ああ、また飲みすぎた。」 何回目だろう。いつもの帰り道、いつもの反省会。ただ、明日の朝にもなれば開催された反省会の存在さえ記憶にない。回数を覚えていないのも当たり前である。 「今日は軽く飲んで、早めに帰るから」 飲み会開始直後に発するお決まりのセリフは、もはや宣戦布告と化した。本来の意味は、どこへ行ってしまったのだろうか。 お酒は常に強引である。こちらの都合も考えず、いつも飲ませてくる。 僕は飲みたくもないのに。 そう