「きみのお金は誰のため」を読んで

ペンシルママです。先日「きみのお金は誰のため」という本を読みました。とても読みやすい経済教養小説でした。そして、最後は心が温まる話でした。そして、貯金投資、その先にFIREというブームに警鐘を鳴らしているようにも感じました。私たちは、貯金してお金を貯めれば、将来は安泰のように思っていました。少なくとも、ペンシルママはそのように思い投資を始めました。ですが、それは未来が現在と同じように人口が増えて、働いてくれる人たちがいて、物を作ったりサービスを提供してくれる人がいるという前提であることをすっかり忘れていたのです。

ペンシルママはFIREブームには賛同しかねますが、世の中ではあちこちで投資をして資産を気づいた人がリタイヤして自由奔放に楽しく暮らしている様子を紹介し、多くの人が憧れをもち、FIRE目指して頑張るというムーブメントが起こっているようです。ですが、若い人たちがそのムーブメントに乗ってリタイヤした先のことばかり考えてしまうのは、将来の世界が心配になってしまいます。仕事がリタイヤするまでの通過点になってしまっているのです。それでは世の中に大きく還元できる仕事を生み出そうとかアイディアを生み出そうなどと考えることもないでしょう。社会の一員であるとか、おかげさまでという気持ちになったり、助けていただいたという気持ちにもなるでしょうか。
仕事を含む活動が社会の中の自分という意識を思い出させてくれるのです。私は娘の小学校で、子どもたちが安全に登校できるようあいさつをした活動を通して、そんなことを思いました。たった1週間の活動でも社会の中の自分という意識を改めて思い起こさせてくれたのです。
FIREしてリタイヤした先にあるのは、どんな日々なのでしょう。少なくとも自分の子にFIREを早々に目指して、FIREをゴールに日々を過ごしてほしくはないと思います。

先日母が新聞で読んだ記事によりますと、ニセコ町の介護職員が次々と飲食店に転職しているそうです。理由はニセコのインバウンドにより、介護職員より、飲食店のほうが時給がぐんと上がってしまったからです。この話を聞いた時、私は先日読んだこの本を思い出しました。いくらお金を積んでも介護サービスを提供してくれる人がいなければ何の意味もありません。食料が不足し、農家さんが作った作物を売ってくれれなくなったら、漁師さんも沢山魚を市場に卸せなくなったら・・提供してくれる人たちがどんどん少なくなれば、いくらお金を持っていても手に入らなくなるのです。

似たような内容の話を、私は娘の加入しているブッククラブで届けてくれた絵本の中で見つけました。「みんななかよしけんかばし」という本です。
村の真ん中に川が流れてあり、その西と東で村人は対立していました。そして、この村ではお店は1件ずつしかなかったのです。かじやもぱんやもお医者さんも、仕立て屋も、おひゃくしょうも、みーんな。橋が壊れて、村人は「橋なんかいらない」と思い、そのままにしました。最初の一日は穏やかだったのですが、その次の日からが大変です。ぱんやさんはえんとつそうじやさんに仕事を頼みたくても、橋の反対側、えんとつそうじやさんは靴屋に行きたくても橋の反対側、靴屋はおいしゃさんに行きたくても橋の反対側・・という風にみんな必要なものが橋の反対側にあって、行けないことに気づいたのです。するとすべてのお店は仕事がストップしてしまいました。

というお話です。続きが気になる方は是非図書館で借りて読んでいただきたいのですが、私はニセコ町の話や、「きみのお金~」の本から、この絵本を思い出したのです。

本の中でも、「個人の視点ではお金を貯めることに意味があるが、全体でみると、みんなでお金を貯めてもなんの意味もない」と書いてあります。

母は街を歩く時、一生懸命働いている若い人たちに心の中で「ありがとう」とつぶやきながら歩いているそうです。働いてくれている人たちのおかげで今の生活があるんですよね。そして、一生懸命働いている人たちが報われる、働いている人たちに優しい社会になっていってほしいねと話していました。子育て中の人たちはこれからの社会を作っていく次の世代を一生懸命育てています。自分の時間もお金も、体力知力睡眠ほとんどのことを、ある程度犠牲にしないと子どもが小さいうちはやっていけません。そんな子育て中の人たちにも優しい目を向け、ありがとうとつぶやきたいし、一生懸命働いている人たちの一員として受け入れてくださったら、世界中全ての母親は慰められると思うのです。ペンシルママももちろんそうです。

今日は資産運用とは違った方面でお金について思ったことを書いてみました。個人レベルの蓄財はもちろん大事ですが、自分が社会の一員として存在していることを感じられる仕事や活動を持つこと、自分にとって意義のある仕事や活動を持つというのもとても大事なのだと思いました。モノ申す系のブログは書かないようにしようと思っていましたが、つい気持ちが入った内容となってしまいました。私も日々感謝して過ごしていきたいです。



この記事が参加している募集

#読書感想文

189,141件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?