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台所
昭和硝子の嵌った台所の窓のところに、ずい分水気が飛んでどす黒くなったしょう油。
何年も動かしていない酢の瓶と、ラベルがしみったれているみりん、何に使うのか名前がもう分からない液体たち。あるいは粉末たち、そのたぐい。
かけ算よりも先に素数を覚えた。
素数の話をしても同級生は誰も喜びはしなかった。
プールサイドに並ぶ13人の水着の子ども。帽子の色で組分けされて、白い子はいつまでも下級生と7m泳げるまで夏休みの最中。
黒々としたしょう油には手が届かない、出窓は流しの上、さらに奥まって。
それでも5年生なら、ママが帰ってくるまでに夕飯の準備をしなくてはだめ。
ガスは使っちゃいけないから、果物ナイフで野菜を切っていた。おとなになっても未だにそうしている。どうしたらいいか分からなくて。
ランドセルに目いっぱいの教科書、A4のプリントとB4の資料集が横幅にいつまでも合わない。
使ったことのない連絡帳だけがずっと入ったポケットから、オシロイバナの種と、隣の家からもぎった椿の葉。
投げつけられても割れない防犯硝子、ベランダの窓の格子数えて夜を待つ、223個、233個?もうやめた。
増改築を繰り返してちぐはぐの家の中、狭い台所の踏み台に座ってポテトチップスを食べている毎日。
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『窓』と『素数』の二つともを題としてつくりましょう。
というお題で書きました。
ーーーここで突然の宣伝ーーー
志邑が所属する詩作サークル詩会クレプスカは
年2回の「文学フリマ」にて、機関誌を頒布しております。
春の文フリ(5月)では小冊子『春のクレプスカ』
秋の文フリ(11月)では機関誌『クレプスカ』
を毎度発行しております。
この度も5/17(土)に開催の文フリに参加が決定(しているはず)。
『春のクレプスカ』2021年版を新刊として頒布、その他既刊の機関誌各種なども頒布の予定。
ちなみに会員は普段、月1程度集まり(現在は主にオンライン)、各自持ち寄った自作を合評したり、即興詩(毎回noteに書いているみたいに、共通のお題に合わせてその場で1〜2時間で詩作する)や、匿名詩会(名前を伏せて合評して、作者を当てる)などの活動をしております。
HP:http://krepuska.starfree.jp/
Twitter:https://twitter.com/krepuska001
HPではお試しで会員の作品読めたり、通販で既刊買えたりするよ。
今回のお題は、直近の活動で即興詩のお題になったものを使用しました。
わたし、用があって当日参加できなかったので。
良かったら遊びに来てね、文フリのブース。
志邑でした。
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