見出し画像

アイドルという存在

以前から好きだったアイドリッシュセブンの映画『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit Compilation Album "BEYOND THE PERiOD"』のDAY1を見に行ってきた。
簡単に言うと、アイドリッシュセブンとは二次元の男性アイドルグループ達が奔走するゲームで、現在ではライブ、アニメ、映画など様々なツールで彼らと邂逅することができる。
今までのライブはキャラクターを演じている声優さんが歌い踊る感じだったが、今回はキャラクター自身がライブを行うスタイルになった。

今まで『推し』という存在に救われてきた私にとって、アイドルもまた『推し』になり得る存在である。
また、アイドルだけではなく、芸人、バンドマン、コンカフェのキャスト、声優、アニメのキャラクターなど、『推し』の存在は多岐にわたる。
人が推しを応援する姿は、いわば神を崇拝するソレに近い。
推しは自分の生きる糧となり、血肉となり、時には死の淵から救済してくれる神となり得る。
最近流行のYOASOBIの『アイドル』でも「歌い踊り舞う私はマリア」というフレーズがあるが、正にその通りであろう。
ファンからの熱量や期待、度を過ぎた愛を押し付けられても、なお表舞台に立ち続ける彼らもまた、眩いステージに魅了されているのだろう。

映画について詳細は伏せるが、とても良かった。
一緒に観ていた友人は二度目のはずなのに号泣していた。
人はどうして魅力的なモノを見ると涙が出るのだろう。

幕が上がり、暗いステージに光が灯る。
興奮で震える体を押さえつけるように呼吸を整え、ステージの端から端へと目をやる。
静かに足音が聞こえる。客席から悲鳴があがる。
苦しいくらい大好きで、きっとこの先も、死ぬまでずっと、世界線が交わる事が無いあなたに、気持ちを届けるつもりで、あなた色の光を宿したペンライトを握る。
目が眩むような光と共に、ライブが始まる。
今まで応援してきた時間が正解だったと、お互いが答え合わせをするように、虹色のライトが天の川のように我々を飲み込んでいく。
間違いだらけの人生のなかで、奇跡が奇跡を積み重ね、今こうして巡り合えた数刻だけは、絶対に正しいと思えた。

映画館を出て、鏡を見ながら目元のメイクを直す。
汚れた自分の顔は美しいものでは無かったけれど、今日はどことなく満足げだった。
次元すら違う彼ら。全ては作り上げられたものであったとしても、それでも、明日へ踏み出す勇気をくれた彼らのパフォーマンスに偽りはないであろう。

「ありがとう」
ライブ中、何度も私達に感謝を伝えてくれた『推し』を想いながら、「こちらこそ」を伝えるように、懸命にペンライトを振った私なのであった。

この記事が参加している募集

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?