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引きこもりというネコを脱ぎ捨てたら、いろいろと制御が効かなくなった件。㉔

17回目のリハビリで、「5月2日から運転することになりました」引きネコ⑱ 参照 と、理学療法士の先生に伝えた瞬間。



「え?」
真顔で驚かれました。

やはり、運転するには厳しい回復具合だったようです。

素人の私でも懸念していた「運転」は、玄人からだと更に不安要素が多いようで「何か痛みを感じたら、すぐに運転から降りるように」と、念をおされてしまいました。

そのとき頷きはしたものの、私としては、そうならないように努力するのはもちろん、そうなったときを考えて運転するしかないという諦念しかありませんでした。

なにせ、一度乗ってしまえば、責任の主は運転士にあります。
車両が運転とは関係なく故障したとしても、強風で架線に何かが貼りついたとしても、運転士には停止位置目標まで車両を運ぶ義務があるからです。

しかも、私自身がトラブルを引き寄せる体質なのか、先輩や同僚から「のどかさんの勤務日って何かが起るよね」と挨拶がわりに言われる始末。
「トラブルって美味しいごはんのことですか?」と皮肉るぐらい経験してきたのです。

だから、不安が暴発させてしまうのは、対処できるスキルがないから。

痛みがあったら、あったときの対処を考えられるだけ考えておき、万が一のときは、その練習通りに動くようにする、それだけの話。
不安はあっても、それを抑えこむだけの経験値があれば冷静でいられると、私は実体験で分かっていました。

それでも未知の経験をする恐ろしさは抱えなければなりません。
実際、初日に運転するまで、喚呼用語を間違えないか、ブレーキを適確に作用させることができるのか、手順に誤りはないのかなど、数え上げれば際限がないぐらい悩みました。
でも、1本終わり添乗をお願いしている後輩に「何か間違えなかった?」と問いかけると。

「いつもどおりの運転なんで、びっくりした」
「4ヶ月も離れていたのに、喚呼がひとつも抜けてないし、ブレーキも正確。問題あるどころか、いつ休んでたのって聞きたくなるぐらい」
という答えが。

私は、その答えに全身から力を抜くことができたと同時に。
「2~3日前から見習い当時やってたエア喚呼してたからね」
内緒話をするようにタネを明かしました。

運転開始から停止まで、喚呼用語だけでも50以上あります。
毎日繰り返し呪文のように唱えていれば、身に染みついて、無意識でもでてくる喚呼用語。

でも、4ヶ月離れていれば、忘れてしまうのが自然です。実際、試験形式でエア喚呼をしたところ、所々で穴ができていました。ここだけの話ですが、2~3日前からではなく1週間前から必死に食らいついて、ようやく戻せたぐらい時間がかかりました。

ただし、ここはあくまでスタート地点。

初日は優しい後輩が指導、添乗してくれましたが、独り立ちまでには直属の上司どころか、現場長の前で運転しなければなりません。それが独り立ちするための条件であり、乗り越えなければならない見極め試験なのです。

それでも、今回のリハビリの時点では、”歩けるようにしておこう”ぐらいしか思っていなかったため、理学療法士の先生に対して主張することはできなかったのですが・・・・・・。

「隣に誰かを乗せても、安心してもらえる運転士に戻ること」を理想に、がんばります!!

つづく



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