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この映画が与えてくれたもの ―上映委員 荒木大輔―

【感想を送って下さった方】荒木大輔

日本大学芸術学部映画学科監督コース・学生

「僕とオトウト」上映委員会・副会長



4回観ました、この映画。理由はたぶん、僕の“映画“というものへの理解を一歩深めてくれた作品だからでしょう。

今まで僕は、小津安二郎監督の映画で現存するものは全て観ましたし、黒澤明監督の映画も全て観ました。大好きな山中貞雄監督の映画に至っては、数秒のみの断片も含めて現存するものは全て観ました。

それはそれで豊かな映画体験だったのですが、映画「僕とオトウト」と出会って、今まで僕が観て来たものは“映画作品“だったのだと気づきました。

「僕オト」上映委員として映画の配給を微力ながらお手伝いするうちに、”映画”は作品だけで完結するものではないことを知りました

信じて助けてくれる「僕オト」上映委員のメンバー、試行錯誤の猶予を与えてくださる池谷薫プロデューサー、大好きな元町映画館の林未来支配人、見返りなしに応援してくれる映画チア部のメンバー、互いの良い点も悪い点も見え始めたのに友達で居続けたい髙木佑透監督。

そんな人たちとの関わり合いの中で得た気づきや暖かみも含めて“映画”なんだ、と思いはじめました。

思えば、14歳で「東京物語」を観て以来、“映画“とは何かを常に問い続けてきた人生でした。僕の映画人生の中で、「僕とオトウト」という”映画“に触れる前と触れた後では、その解釈が大きく異なるでしょう(今はまだ触れている最中です)。14歳の時より少し映画を理解出来るようになった気でいましたが、まだ僕は”映画”を理解しきれていなかったようです。

本編の中で、重度の知的障害を持つ弟の壮真くんが、兄である髙木監督を成長させてくれるシーンがあるのですが、それは監督にとって試練ともいうべきつらい出来事の後に起こったものでした。僕にとってもこの“映画“との触れ合いは試練といっていいほど大変なことがいくつかありましたが、その全てが自分を成長させ、より深い希望を僕に与えてくれました。

ほんの数週間前まで、自分は子どもも結婚も諦めようとか、今死ねたら楽だろうな、とか考えていたのですが、今ではそういう考えが頭をよぎることがなくなりました。

「僕とオトウト」は僕に深い試練と深い希望を与えてくれた”映画”です。

全ての人にとってそういう”映画”になり得る訳ではないと思いますが、個人的なお話しをさせていただきました。


(編集担当:Linda)
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【上映委員 タレコミ】
実は、監督は宇多田ヒカルファン
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「僕とオトウト」公式サイト https://boku-to-otouto.com
お問い合わせ bokutootouto@gmail.com

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