見出し画像

【自由詩】そんざいしょうめい


手のひらからこぼれ落ちていく
花びらを眺めてた

風が強く吹くもので
目を閉じては
流されていく花びらの
その感覚だけを追っていた

風が。やんだ気がして
目を開けて
僕はまばたきを繰り返した


ーーここには僕以外、誰もいないのだと思ってたーー


僕より少し背の高い
君をそおっと見上げてみる
目を閉じたままの
その眼は見えなかった
何にも喋らず
君はただ微笑んでた

一枚だけ残ってた
これは君にあげる


幻でないことを祈って
代わりにそっと
君の両の手をとった。
君はまだ
なんにも言わない。

ねえ。
ぼくとやくそくしてくれる?

どこからきたのかなんて、きかないから。
きみのひとみをむりにのぞこうとしないから。

ここにいて?
ぼくだってここにいる。

僕らの手で囲った
この小さな空間を。

ぼくのたいおんを
もうすこししんじていて?

最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。