マガジンのカバー画像

せめて私は、それを大切にしたいんだ。

42
自分が書いた詩や小説等を集めています。
運営しているクリエイター

#散文詩

【散文詩】一握の星屑の

テーブルの上には何も飾らない一輪挿しを置いていたい。あなたがいる、私がいる。灯りのもとでしか美しいものを見つけられないなら、真っ暗な夜空の下でその輪郭だけを見つめていたい。馬鹿みたいにはっきりあなたを誤解してみたくて、言葉を包んだカラフルな不織布だけを手元に残している。 "絶対に花束なんて、贈らないでください。" 愛は輪郭だけでお腹いっぱい。一輪挿しに夜空の下で見た輪郭を飾ればそれでちょうど良い、目をひらけば何もない方が。 *** 引用符:最果タヒ「不死身のつもりの流

魔女になりたい。

散文詩と詩の間くらいのもの。 *** わたしは魔女になりたい。 あなたは大丈夫、そう微笑んだときに わたしが心からそう信じていることを、知っていてほしいから。 大丈夫なんて思えなくても、何らかの魔法や呪文でもって、それを確信している魔女がいることを知っていてほしかったから。 お元気ですかと羽ペンを走らせるけれど、本当は、こちらは元気です、なんて返事を期待しているわけではないの。だって、すぐに返事が来ればあなたはきっと元気にやっていて、返信が来なければ、きっと元気ではない

どこかの誰かの、オレンジ色の光でありたい。

ただ''そこ''に何もないことを願っている。 僕が半透明ならば良かったのにと思う。 顔を合わせれば思い出してもらえるけれど、 会わない間は静かに忘れられているような。 誰の明日にも触れず誰の人生にも介入しない、 誰かの今日にだけ唯一すれ違うような。 道路脇を流れていく街灯のように単調に、 けれども確かに誰かの一瞬を照らすような。 そんな''半透明''が存在していてほしい。 僕はどこかの誰かの、オレンジ色の光でありたい。