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将来の夢が分からないと悩む人へ

 前回は「ブラック企業経験談②」として私の経験談と書かせてもらいました。

 今回はまた仕事編かどうか怪しいシリーズとして「将来の夢が分からないと悩む人へ」向けて私の考えを書いていこうと思います。

将来の夢=将来就きたい職業という洗脳

 私自身も「将来の夢は何ですか?」という質問に対しては読者様達と同様に分かりませんでした。はじめて「将来の夢」という言葉を聞いたのは恐らく小学校1年生くらいだったと思います。
 
 小学校1年生という事もあって、将来の夢なんて分かりません。小学校1年生の世界なんて小さなものです。そのため多くの生徒は自分の親を思い浮かべたのではないでしょうか。もしくはサッカーを習っていた子はサッカー選手、ピアノを習っていた子はピアノの先生など、身近な大人を連想したのではないでしょうか。そうして気が付けば将来の夢=親の職業、習い事関係の職業という図式が生まれてしまったのではないでしょうか。
 
 「将来の夢」という質問は小学校を卒業するまで続いたような気がします。もしかしたら道徳の時間のテンプレになっているのかもしれません。私はこの時間が苦痛でした。相変わらず将来の夢というものが無かったからです。かと言って白紙で出すことを今の日本の教育では許してくれません。そこで毎回親の職業を書いてやり過ごす事にしていました。実際には親が仕事で大怪我をして以来、絶対になりたくない職業のひとつでした。
 
 中学生にもなると「将来の夢」と言った言葉ではなく、代わりに「将来の進路」という言葉に変わりました。今までは将来の夢だったものが将来の進路へ変わった事で夢=進路になったような錯覚を受けます。そして中学校の進路とはやはり高校受験となります。そして高校受験とは大学受験への前哨戦であり、大学受験での選択は当然自分の職業に直結します。
 
 こうして気が付けば「将来の夢=将来就きたい職業」となってしまいました。

将来の夢=将来就きたい職業となった弊害

 では「将来の夢=将来就きたい職業」となってしまったことは何か問題があるのでしょうか。それは「将来の夢が無い人は就職活動時に迷いが生じる」ことです。「将来就きたい職業が無い、分からない」という状態が続いた時に果たして進路を決められるでしょうか。恐らく分からないと思います。そうなると高校受験、大学受験も自分が行ける最大限の偏差値を持つ学校を選ぶと思います。そしていざ就職活動を行う時に、偏差値や学歴と言った今まで最重要視していた判断基準を失い動けなくなってしまいます。迷いは恐れになり先延ばしにしていると、気が付けば時間が無くなり就職活動の中止や本来の自分のレベルより大きく劣るような会社へ就職してしまうのです。
 
 高校受験では多くの人が自分のレベルに合わせて最大限偏差値が高い高校を狙う事になると思います。問題は高校入学後です。高校では文系・理系に分かれます。その選択は高校1年生の最後と高校受験からわずか1年しか経過していません。たった1年で将来のビジョンが決まるでしょうか。そのため得意科目で選択する人が多いのではないでしょうか。より未成熟な人は仲が良い友達と同じ方を選択するかもしれません。ただこの選択は将来の職業を半分絞るレベルの選択です。本来であればかなり慎重に選ぶ必要があるはずです。
 
 大学受験では学部や学科など、更に将来の職業に直結する選択をしなければなりません。ここでも将来なりたい職業が分からない人は、大学は偏差値、学部学科は消去法で決めることになると思います。大きく変わるのが入学後です。将来の職業が決まっている人と消去法で選んだ人で明確に講義に対する姿勢が変わっていきます。自分から学ぼうという人と、学ばされている人で明確な差が生まれるのは当然ですね。そして当然自分から学ぼうと思う人の方が評価は高いです。
 
 就職活動が始まると、当然将来の職業が決まっている人のスタートは早いです。現時点である程度絞り込んでいるからです。そして大学での評価も高いので早々に就職先が決定します。一方でまだ将来の職業が決まっていない人はここでも迷います。もう偏差値や学歴などのこれまで基準にしていたものが無くなるからです。そして迷いによって時間が奪われます。迷っている間に大手企業や優良企業は人気ですから早々に募集枠は埋まります。そして中途半端な会社を選んでしまいます。ただしそれでも将来就職したいと思っていたわけでは無いので、面接でその熱意が伝わる事はありません。そして気が付けば周りはほとんど就職先が決まっている状況で自分だけが決まっていないという孤独な状態になります。ここまでくると焦りや不安、恐怖といった負の感情で溢れます。その状態で面接なんて受けてもうまくいくとは思いません。どんどん負のループにはまっていきます。最終的にはブラック企業に入社するか、最悪は就職活動をやめてしまうかもしれません。
 
 ほとんど私の経験談に近くなってしまいました。結局私は最後まで将来就きたい職業というものが分かりませんでした。結局30歳を超えた今でも正直分かりません。

将来就きたい職業が分からない=甘えなのか

 就職活動がうまくいかずに休んでいた頃に、よく親や教授には「甘え」と言われていました。「自分の事は自分が一番分かるはず」「自分と向き合う力が足りない」「企業分析が足りていない」「ただ逃げているだけ」など散々言われましたね。
 
 今の子達は分かりませんが、少なくとも私の子供の頃は学歴至上主義でした。そのせいで物心ついた頃から塾へ入れられ、テストの点のみが評価される。良い高校、良い大学にいくことが全てという時代だったと思います。物心ついた時からそうだったので、いざゴールである大学へ行ってしまうとその後どうしていいか分からなくなってしまうんですよね。誰かに教えられる事が当たり前になり、自分で考えるという能力が成長していなかったのだと思います。なんとなくこれまで化粧禁止だった女子高校生が、急に化粧を強いられるような状況に似ているかもしれません。
 
 ただこれらは「甘え」なのか。私は断じてそうは思いません。仕事と言う自分の人生の大部分を決めるのです。迷っていて当たり前です。たかだか20年程度の価値観や知識しかないのに、自分の将来の職業はこれだ!と決められる方がむしろ楽観的すぎないかとさえ思います。働いたことも無いのに、どんな仕事に適性があるかなんて分かるはずがありません。断じて甘えでは無いです。本来ならばもっと考える時間、悩む時間が与えられて良いと私は思います。しかし日本という新卒至上主義や敗者復活が難しい社会構造によって、このタイミングで決めるしかない状況にあります。

将来就きたい職業が分からない人はどうすれば良いのか

 では最後まで「将来就きたい職業が分からない人」はどうすれば良いのでしょうか。私は今一度「将来の夢」という本来の意味へ戻るべきだと思います。
 
 将来就きたい職業が分からなくても将来の夢なら分かるはずです。「将来の夢=将来やりたいこと」と言い変えられます。将来の妄想でも理想でも何でもいいです。将来はマイホームに住みたいとか、子供は二人欲しいとか、毎年海外旅行に行きたいとか、株をやってみたいとか、専業主婦になりたいとか、社長になりたいとか、家庭菜園をやってみたいとか何かしらあるはずです。それらの優先順位を決定してその結果から逆算すれば良いのです。
 
 将来はマイホームで子供二人作って毎年海外旅行に行きたいと思っていると仮定します。正直今のご時世かなり難しい要求ですけど今回は気にしません。マイホーム購入ということはやはり安定した収入を高い水準で得る必要があります。子供が二人ということはこちらも収入が大切ですが、同時に育休などの子育て制度が充実した会社が適しています。また海外旅行を毎年となると有給の取得しやすさや、お盆や年末年始などの長期休暇の有無が必要となります。当然収入もですが。このように仕事内容で決めるのではなく、待遇や福利厚生等で決めると割り切って就職活動を行うものアリだと思います。
 
 極端ですが、もう1例挙げれば、将来は専業主婦で空いた時間に株や家庭菜園をやりたいとします。専業主婦狙いであればまずは収入の良いパートナーと結ばれる必要があります。結ばれた後は家事が仕事となります。そのため美容系や栄養士、調理師なども選択肢になるのではないでしょうか。もしくは専業主婦とは言いつつも株でがっつり稼いで家計の足しにするのであれば証券会社や銀行等の経済系も選択肢に入ります。家庭菜園も本格的に行うなら農業系でも良いかもしれません。
 
 2例目は今考える私の将来の夢ですね。株や為替のために経済の流れを勉強してみたいので転生したら経済学部に入りたいです。このように将来就きたい職業と考えるから決まらないのです。なぜなら「根本的に働きたくないから」です。働きたくないのに働く場所を決めるなんて無理です。一方で将来やりたい事ならいくつか思い浮かべることができると思います。そしてやりたいこと突き詰めればおのずと進路や仕事がある程度絞れると思います。大学までずっと偏差値と消去法で選んできた私が、今は転生したら経済学部に入りたいとまで言えるようになったのです。
 
 それでも決まらない人はとりあえずどこでも良いので就職してみるのも手です。結局適正なんて分からないのでとりあえず給与良くて休みが多くて家に近い所から適当に選べば良いです。もしかしたらとても面白い仕事かもしれません。もしかしたら超絶ブラックかもしれません。ただ実際に働いてみないと分かりません。新卒と言う最強カードを失うよりは余程良いです。ある程度働いてやっぱりつまんねえとか他にやりたいことが見つかれば転職すれば良いのです。初めての就職活動より転職の方が余程簡単で楽です。気負わずに適当に決めて良いと思います。ちなみに私の現世はこのパターンです。もう何でもいいやで選んだ結果ブラック企業でしたが何度か転職して今に至ります。そんなもんです。

終わりに

 将来就きたい仕事なんて分かりませんでしたし、今の仕事に適性があるのか5年働いても分かりません。それでも結婚やマイホームの購入、株、趣味、海外旅行とやりたいことはそれなりにやれています。一方で将来就きたい仕事に就いた友人は今や幻滅して全然違う仕事をしています。憧れは理解から最も遠い感情と師匠が言ってましたが、やはり盲目になっている面もあると思います。
 
 そのため将来就きたい職業なんて分からなくても何も問題なんてないのです。当たり前ですが、仕事とは金を稼ぐことです。金は夢や妄想を叶えてくれます。順番的に根本にあるのは夢、妄想です。将来就きたい職業なんかで悩むくらいなら将来の夢、妄想を膨らませる方が余程有意義です。
 
 今回もお読みくださりありがとうございます。次回もよろしくお願いします。


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