見出し画像

《ネタバレ有り》ナイトメアアリーの感想と考察

ダークな雰囲気にそそられてナイトメアアリーを観てきました。
そしてわたしはまんまとナイトメアアリーに迷い込むことになったのです…。


以下ネタバレ含みます。観てる方への記事です。
面白い!と思った部分をわたしの理解で共有します。よろしくお願いします。

わたしがこの記事を投稿する段階で投稿されているもの、参考にしたものは以下のnoteのみです。
とても面白かったので、見ていただくことを推奨します。

また映画のレビューはこちらでも投稿しています。
よければみてみてください。


分かれ道


何か差し出すものが無ければ条件が飲まれない
終盤と序盤での違いに注目して比較

序盤 ラジオを売ることで仲間として仕事ができるようになり、信頼と居場所を得る
終盤 何も売るものがなくただ酒に目がくらんでいる

もし、終盤のあの場面で時計をまだ持っていたら、恐らく運命は変わっていたでしょう
すなわち、ピートのように、カーニバルでモリー(若しくは別の愛する女性)と余生を過ごすことができたはず

ピートと重ねるのは、カウンセリングの場面で
スタンが寝転がるときタバコの位置がピートと同じこと、人からもらった酒を飲むこと(酒をくれた人のせいでピートのように悲惨な目に合う)などが共通しているからです

メタノール


紹介させていただいたnoteを参考に考えたことですが、
初めは間違えてピートにメタノールを渡したのだと思いました
クレムの話を聞いていなかったのだと

しかし、ピートの死を悲しむでもない、その後メタノールの匂いに敏感になる様子からみると、意図的であるように思えます

ジーナ(母親のような存在)を独り占めにして、ノウハウ本を奪うため、ピート(父親のような存在)を殺害
フロイトの言うエディプスコンプレックスそのまんまです
さらにこれを解消するため、エディプスコンプレックスは他の異性に向けられ、克服されるとフロイトは説きます
これがモリーでしょう

しかし、ジーナ(母親)と比べてしまいモリーとは上手く行かなくなった
それによって、リリス(新たな母親)へと依存し、エディプスコンプレックスを克服することが出来なかった

過去と向き合うか逃げるか


ピートは読心術のノウハウ本を大事にしてきました。この本はおそらく彼の恥ずべき過去の象徴でしょう
ジーナの幽霊ショーはやってはいけないというアドバイスから、ピートの過去の失敗が想像できます
彼はずっと懺悔し、苦悩し続けながら今を生きていたのです

一方スタンは
酒欲しさに彼の「過去の象徴」である時計を売ります
これは懺悔と苦悩の生からの解放であり、理性から欲望への逃避とも言えるでしょう


ラジオと時計


上の考察に続きまして
逆にラジオや時計を持っている状態は過去と向き合っている状態とも言えるのではないかと思います
燃やした自宅にあった(この説が有力)、父親を殺害するとき使用していた(こっちは少し自信ないです)ラジオは彼の「過去の象徴」であると言える
従ってそれらを所持している=過去と向き合っている状態ならば
何か状況が好転する、悪い方へ進まないということをメッセージとしたいのかも


逆ハングドマン


無駄になること、徒労に終わることの象徴
これは幸せになったと思った夫妻が心中をはかることやモリーのためと思って稼いだ金を失い、またモリーの心も離れていくことを示していたのでしょう

目的と手段


窮屈そうなモリーに外の世界を見せたい、とモリーを連れ出すも自分が彼女を閉じ込めてしまう

カーニバルにいたときの方がモリーは幸せだったでしょうね
彼女はカーニバルに戻ったのでしょう…
スタンもカーニバルで働ければ、二人はまた一緒になれたかもしれないのに…

最後のオチ


因果応報①

スタンは色々な人を騙してきた報いをうけ、獣人となるシーン
色んな人に止められながらも、欲望を抑えられず、人々を騙してきた報いをうけることになった

受け入れないと生きていけないという笑い
自分はもう戻れない、自分が殴った獣人のような惨めな最後を遂げると分かっていながら、ただラリっているだけのようにも見える、絶妙な笑い

なんて訴える笑顔と声なんだ…
字幕で見てよかった…

因果応報②


最後のオチの少し前、焚き火に当たりながら酒を飲もうとするスタン
酒を飲むのを制して、彼に声を掛けたのは恐らくクレムでしょう
聞き覚えのあるセリフでしたし、後にスタンが訪れるカーニバルはクレムが閉業し、ゆずったとわかります
獣人を作りだしてきた報い、ということでしょう

感想


映画全体の一貫してのメッセージは
過ちと因果応報、欲望のこわさなのかなと思いました。
書きませんでしたが、エズラーもそうです

端的に言って、雰囲気は抜群、少し長く感じるが、最後の主演俳優の演技は最高、です。
おすすめですよ。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?