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「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours EXTRA LoveLive! ~DREAMY CONCERT 2021~」で再び動き出したAqoursの時間。

2021年12月29、30日にピアアリーナMMにて「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours EXTRA LoveLive! ~DREAMY CONCERT 2021~」が開催されました。Aqours国内単独としては2019年6月の5thライブ以来2年半ぶりであり、2021年最初で最後の公演です。

本項はライブの曲ごとの感想というよりは久々にAqoursのワンマンライブを浴びた感想です。以下、ネタバレを含みますので、ご了承ください。

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タイトルと掛けられている「DREAMY COLOR」は果たしてどのタイミングで差し込まれるのか。セットリストは以下の通りです。

01: smile smile ship Start!
02: Wake up, Challenger!!
03: Dance with Minotaurus
04: JIMO-AI Dash!
05: 冒険Type A, B, C!!
06: 青空Jumping Heart
07: ハミングフレンド
08: Pops heartで踊るんだもん!
09: 待ってて愛のうた
10-1: HAPPY PARTY TRAIN
10-2: 恋になりたいAQUARIUM
11: Fantastic Departure!
12: Deep Resonance
13: Jump up HIGH!!
14: 心の羽よ君へ飛んでけ!
アンコール
15: DREAMY COLOR
16-1: ユメ語るよりユメ歌おう
16-2: 勇気はどこに?君の胸に!
17: Future flight

セットリストのコンセプトはわかりやすくて、ひとことで言えば「9人のAqoursの再始動」だったと思います(再動はスパロボでしか通じない用語なのね……!)。感染症の流行で無観客配信での披露となった楽曲たちをリベンジしたり、1st、2ndライブあたりの楽曲たちを並べたり、新曲たちを加えたり。ユニット曲や学年曲やソロ曲を挟まず、最初から最後まで9人のAqoursでした。ずっと9人はこれまでのファンミを除くワンマンライブで初だったんじゃないでしょうか。

無観客配信のLOST WORLDWHITE ISLANDについては過去にnoteを書いています。改めて読み返して気がついたのは、このとき開催が発表されたライブイベントはいずれも残念ながら中止に追い込まれてしまったということです。それらを乗り越えて、ようやく辿り着いたのが、このDREAMY CONCERTでした。まさに夢のような時間。かつては当たり前の現実だったのに夢のようになってしまった時間。「どこかしらで泣くんだろうな私」と思っていました。

泣きましたね。最初のキャラクター紹介映像で。キャスト登壇前に。あの9人が、帰ってくるんだって。地元公演ではなかったものの、中止になってしまった地元公演より地元からのアクセスがいいぴあアリーナMMで、心の底から「おかえりなさい」が溢れてきました。

「smile smile ship Start!」の壮大なイントロと共に現れたキャストたち。まず最初に私がしたのは人数を数えることでした。1、2、3、4、5、6、7、8、9。ちゃんと9人いる……! 涙が止まりませんでした。何なら今もちょっと思い出し泣きしています。感染症を乗り越えてライブ開催ができて尚、9人揃う保証はありませんでした。

ちょうど1年前にあたる2020年末のWHITE ISLAND前に体調を崩して、ライブに参加することができなかった国木田花丸役の高槻かな子さん。

その出演がほぼほぼ約束されたのはライブ開催の3日前。それでも体調の問題なので当日いない可能性を完全に排除することはできません。いる。9人いる。かつて当たり前だった光景は、活動が続いていたとしても、簡単に続けられるものではないことを、改めて知ることになりました。

ところで、2019年1月にラブライブ9周年を記念して、μ's、Aqours、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の3校が一同に会するお祭りイベント、ラブライブフェスが開催されました。歴史的なイベントであるにも関わらず、私はこのイベントの感想記事を書いていません。それは私のμ's歴が長くなく、このフェスのありがたみを完全には理解できていない自覚があったからです。決して筆が遅かったからではありません。ありません。μ'sの9人が登場したとき、仲間内の何人かがその場で崩れ落ちたといいます。正直なところ、私は懐かしさこそあれど崩れ落ちるほどの感情は抱けませんでした。崩れ落ちるにはμ'sと共に歩んだ時間が短すぎたのです。

一方で、Aqoursに関してはわりと初期から共に歩んできました。ワケもわからず地の利をイイワケにしてゲーマーズ沼津店のオープニングイベントに並んだあの日が懐かしいです。ラブライブフェス以来、約2年ぶりに目の前にAqoursの9人が登場した瞬間、ふつふつと湧き上がってきたうまく言葉で表せない感情。着席指定の席じゃなければ崩れ落ちていたかもしれません。これだ。これかもしれない。ラブライブフェスでのμ'sファンの気持ちが少しだけわかったような気がしました。

「いやいやμ'sとAqoursは置かれている状況が全然違うでしょ」という異論は認めます。そうなんですよね。AqoursはAqoursで特殊な状況に置かれているんですよね。2年半前までは、先輩スクールアイドルであるμ'sと同じ枠組みの中で差別化を求められながら、比較されながら活動を行ってきました。枠組をなぞれるのはμ'sが辿った劇場版をベースにしたライブを行うところまで。劇場版が終わってキャラクターとしての物語がひと段落ついてしまったのにキャストとしての活動が終わらない場合、彼女たちは何を目指して進めばいいのか。それをμ'sは教えてくれません。Aqoursは自ら道を作らなければならないのです。

そんな誰も知らない未体験HORIZONを「さぁここから目指していこう」としたところで感染症の世界的流行です。予定されていたスケジュールはもうめっちゃくちゃ。特にAqoursは巡り合わせがよくなく、有観客ライブが発表されては延期か中止を繰り返す日々が続きました。歩みを止めたAqoursにはお構いなくラブライブ自体は歩みを止めません。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とLiella! はめっちゃくちゃにされながらも活動を積み重ね、着実にファンを増やしていきました。まさかのラブライブ3シリーズ同時並行。嬉しいといえば嬉しいですが、個人の時間とお金のリソースは有限です。他のコンテンツはもちろん、ラブライブシリーズの中ですら取捨選択を迫られた人がたくさんいることでしょう。その末にAqoursから少し距離を置くことにしたファンがいたとしても、何らおかしいことではありません。

そんな中、キャラクターとしての物語が止まってしまったAqoursがファンを繋ぎ止めるためにできることは何かといえば、やっぱりライブなわけで。それができなかった焦りや悔しさ、それができた喜びや安心感をそれぞれの言葉で語るキャストの挨拶を涙なしでは見られませんでした。いつもボロボロ泣いているギルキス組はさておき、ライブではほとんど涙を見せない斉藤朱夏さんと小宮有紗さんがそれぞれ1日目と2日目の最後にボロボロと泣かれていたのが印象的でした。5thライブ以来、個人名義のソロ活動が活発化し、ソロアーティストデビューなど、それぞれの道を進み始めています。ドライな言い方をすればAqoursとしての活動は彼女たちのキャリアの通過点にすぎないのですが、そんなAqoursに対して強い想いを抱き、大切にしてくれていたことを、彼女たちの口から直接聞くことができました。そして、全編を通してその気概が存分に感じ取れる素晴らしいパフォーマンスだったと思います。

先ほど、キャラクターとしての物語が止まってしまったと言いましたが、それに動きを与えてくれたのが意外なことに幕間アニメでした。Aqoursのライブの幕間アニメといえば、版権ギリギリを攻めた狂気がクセになるギャグ要素の強い作風が恒例です。ところが今回は一変。Aqoursのキャラクターが学校のあった桜の木の下にタイムカプセルを埋めようという心暖まる話を3度の幕間に分割して展開したのです。テーマは10年後の自分宛の手紙。2度の幕間を通して2人ずつ8人に焦点が当てられ、アンコール前の幕間で、悩みに悩んだ高海千歌が彼女なりの答えを見つけ、手紙を書き終えてイイハナシダーとまとめたところで看板曲の「DREAMY COLOR」を披露。そうきたか。膝を打ちました。改めて「DREAMY COLOR」のMVを見てください。高海千歌役の伊波杏樹さんが手紙を書いているのです。桜の下で9人がキャッキャしているのです。ここでリンクするとは思いませんでした。改めて歌詞を読んでください。私たちへの応援歌でもありながら、ここ数年でさらに特殊な状況に置かれてしまったAqoursのこれからを鼓舞する歌でもあるのです。

見事な伏線回収。思えば今回のライブはまさに2年半前のタイムカプセルを掘り起こして開けたようなライブでした。いろいろとあって、時は止まってしまったかもしれないけれど、想いは決して離れることはなくて、集まればいつものようにわちゃわちゃしていて、3曲連続で歌って踊れるパフォーマンス力も維持されていて。あの頃と変わってしまったものもあるけれど、あの頃とまったく変わらないものもあって。むしろ成長している部分もあって。根っこには9人のAqoursに対する確かな強い想いがあって。

今回のライブを見たことで、少し距離を置いていたファンのいくらかは「やっぱりAqoursはすげぇや」と引き戻されたんじゃないでしょうか。そのうちいくらかは「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~」のチケット情報を確認したんじゃないでしょうか。一般発売受付、間に合います。

環境が一変してしまった今、ドームツアーや地元凱旋公演など、止まってしまった時の中で失ったものを取り戻せるのかは正直わかりません。Aqoursが、ファンが、それらを取り戻すために、新しい夢を叶えるために出来ることは、その時々で最高のパフォーマンスをして、その時々でめいっぱい応援をすることです。

私は見守ろうと思います。再び動き出したAqoursが切り開き、たどり着くだろう未体験HORIZONのその先を。

余談
これ2021年最後のnoteになる予定だったのですが、全然間に合いませんでした。私の筆が遅すぎました。読んでもらって興味を持ってもらってアーカイブに誘導することは、私にできる応援の仕方のひとつです。しかしアーカイブ期間は終わってしまい……無念。カ、カウントダウンライブのアーカイブはまだ間に合います!

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