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【毎週ショートショートnote】「執念」「第一」

とある令嬢は両親の薦めで見合いをすることになった。
しかし結婚する気など毛頭ない。
そこで彼女はお伽話のように無理難題を言い渡し、はぐらかすことにした。
「私と結婚したければ世界一深い海に眠っている宝石を持ってきなさい」
見合い相手の三人の男たちは考えた。
「風邪でもひいたら大変だ」
健康第一の健ちゃんは出発前に諦めた。
「鮫にでも食われたら大変だ」
安全第一の安ちゃんは出発早々に諦めた。
「……」
執念第一の執ちゃんはどうしても結婚したくて独り無言で挑み続けた。
病気にも負けず。
怪我にも負けず。
令嬢すら忘れた頃合いにボロボロの男がひとり、彼女の前に青く輝く宝石を持ち帰ってみせた。
「あなたはまさか……いいでしょう。私との結婚を認めます」
宝石が本物かはわからなかったが、その執念に根負けした。
「次は何を持ってくればいい?」
「え、私と結婚……」
「ミッションをくれ」
死線を越えた執ちゃんは、執念の矛先が変わって冒険家の道に目覚めたのだった。
(410字)


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前回のお題「クリスマス」「カラス」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
執念:いつまでも追い続ける、覚悟、
第一:安全、健康、ラジオ体操、

アイディアの組み合わせ
執念第一を座右の銘にする人の話。
執念のために全てを捨てた人の話。
何かに取り憑かれなように執着している人の話。安全第一と健康第一を出し抜く話:ケガも病気も恐れない執念第一の人。3人で無理難題に挑む。かぐや姫方式で。最後は執念のせいで結ばれない。

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