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【毎週ショートショートnote】「クリスマス」「カラス」

真っ黒な体のカラスさんは、いつもみんなの笑い者。でもその年のクリスマスの日、サンタのおじさんは言いました。
「暗い夜道は漆黒のお前の体が役に立つのさ」
曰く、近年はSNSの発達により見つかると写真を撮られてすぐアップロードされ、あることないこと書かれるという。
サンタだって腹は減る。なぜ立ち寄ったコンビニでチキンを買っただけで匿名のクレームを浴びなければならないのか。
ピカピカの鼻が目立つトナカイのせいですぐに見つかるのでは。そう考えたサンタはカラス達に頼んでソリを引いてもらうことにしたのだ。
「これがホントのサンタクロウズ……なんつって」
今年の冬はよく冷える。

「ホーホーホー」

結論から言えば作戦は失敗に終わった。
SNSは「サンタが魔女の使いを引き連れて世界に呪いをかけて回っていた」という話題で持ちきりだった。
頭隠して尻隠さず。トナカイを隠してもソリとサンタを隠さなければ何の意味もなかったのである。

「アホーアホーアホー」

(410字)


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前回のお題「穴の中の」「君に贈る」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
クリスマス:ツリー、プレゼント、サンタクロース、トナカイ、ケーキ、
カラス:黒い鳥、カーカー、アホーアホー、クロウ、賢い、夕暮れ、ゴミ捨て場、魔女の使い、死、

アイディアの組み合わせ
トナカイの代わりにカラスにソリを引かせる話:トナカイでは目立つので暗闇で目立たないカラスを使う。目立ちたくない理由がある。四六時中監視されてクレームを入れられるのが嫌だから。サンタクロウス的な単語を使いたい。カラスの鳴き声の「アホー」を使いたい。頭の悪いオチにしてカラスに鳴いてもらう。

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