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「A・ZU・NA LAGOON」で叫んだ「大好き」と「ありがとう」

2023年2月4、5日に東京ガーデンシアターにて「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 UNIT LIVE! ~A・ZU・NA LAGOON~」が開催されました。R3BIRTHに続くユニットライブの第2弾。ありがたいことに2日目に現地参加することができました。

以下、ネタバレしかないのでお気をつけください。

本公演はふたつの意味でとても特別な公演でした。ひとつは先天性の難病発覚につき降板を決意した優木せつ菜役の楠木ともりさんのラストステージであったこと。もうひとつはラブライブ!シリーズとして2020年2月ぶり、つまり約3年ぶりに声出しが許されるライブであったこと。

この二つが重なったことによって、私たちはラストステージに立つ楠木ともりさんに直接「大好き」や「ありがとう」を伝えることができたのです。開催1週間前の国の方針変更に、開催2日前の運営の決断。本当にギリギリのタイミングで。声出し解禁直後はどっちでもいいなというスタンスでしたが、ライブを終えた今は運営さんありがとうの気持ちでいっぱいです。声出しの有無で、キャストとファン双方にとって思い出の強度が全然違っていたと思います。

ライブ前、ご本人は「楽しい」「おめでたい」時間を望んでおり、それを受けてか「このライブは悲むべきではない」とする旨のコメントを観測しました。個人的には、笑うも泣くも強制されるものではなく、各人の自由で、感じたままに受け取ればいいというスタンスです。これは楠木ともりさんがよく口にする「みんなの大好きを大切に」にも通ずるのではないかと思っています。

そんな私はといえば、楽しみながらも一曲一曲をいつも以上に大切に聴いていました。一曲一曲が「これが楠木ともりさん演じる優木せつ菜が歌う最後の○○か」になるんですよね。いつも以上に楠木ともりさんに注目していました。楠木ともりさんの表情を伺っていると、どの曲も憂いた表情をする瞬間があって。彼女は何を想いながら歌っていたのでしょう。

語りたい曲がたくさんある中で、印象的だった楽曲をひとつあげなさいと言われたらそれはもう間違いなく「CHASE!」です。ソロ楽曲コーナーの流れを辿ると桜坂しずくは「エイエ戦サー」を、上原歩夢は「Break The System」を歌っていました。並列に考えればここで優木せつ菜は同じアルバムから「ヤダ!」を歌ってもよかったはずです。しかしそうではありませんでした。アルバムのコンセプトの都合で「ヤダ!」はある意味で優木せつ菜らしからぬ変わり種です。楠木ともりさんが優木せつ菜として最後にソロで歌うべきなのは、ファンに届けるべきなのは、変わり種ではなく、真っ直ぐストレートに優木せつ菜らしい優木せつ菜の最初のソロ楽曲である「CHASE!」であると、運営や本人が望んだのかなと想像しました。2日目のMCによると1日目の「CHASE!」のシャウトは上手くできなかったらしく、一方で2日目は最高のシャウトが決まったとのこと。普段、あまり深く歌詞を考えていないのですが、この日は「CHASE!」の「ステージには一つも悔いは残さない」がグサグサと心に刺さりました。まさにそれを進行形で体現している楠木ともりさんが目の前にいたのです。

歌詞で言えば「フォルクロア ~歓喜の歌~」の最後の「生まれてきてくれて、ありがとう!」もジンときちゃいましたね。楠木ともりさん、生まれてきてくれて、ありがとう。これまで優木せつ菜を演じてくれて、育ててくれて、ありがとう。体に負担をかけながらも、このステージに立ってくれて、ありがとう。以前に触れたように、私は彼女がこのステージに立たない(立てない)可能性も十分あると思っていました。ステージの上で歌う彼女に対して感謝の気持ちいっぱいでステージを観させて頂いたので、この歌詞がスッと染みこんできたのだと思います。

最後のMCはA・ZU・NAの3人それぞれの感情が垣間見えて興味深いものでした。最初に挨拶をした楠木ともりさんは先に述べた通り「楽しい」「おめでたい」時間を望んでおり、しんみりしない挨拶を軽く済ませて終わりました。次の前田佳織里さんは、途中で耐えられずに泣きながら触れてしまいました。楠木ともりさんから「その話はしないって言っただろ!」という旨で(冗談半分に)怒られていたこと、楠木ともりさんの挨拶が最初だったことから、3人の中では「悲しい話はしないこと」と握っていたんじゃないかと想像します。それでも楠木ともりさんのパフォーマンスを側で感じて、大きな声援で盛り上げてくれるファンを目の前で感じて、流石にノータッチでやり過ごすのは違うだろ、と彼女の中でなったんじゃないでしょうか。思い切って切り出してくれた彼女には感謝しています。大西亜玖璃さんは前田佳織里さんの話を受けて「この話すると怒られるからなー」とちらちら楠木ともりさんを伺いながらも彼女から「もう好きにしていい、任せる」と承諾を得たうえで、彼女とのこれまでを語り始めました。大西亜玖璃さんの素晴らしいところはこれまでのことだけではなく、これからのこと、まだ公表されていない後任の子のフォローまでちゃんとしていたことです。後任がいる以上、「楠木ともりさんが演じる優木せつ菜」を必要以上に神格化してしまうことは悪手です。こういう気遣いがサラッとできるところを見る度に「だから大西亜玖璃さんが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の真ん中に立っているんだな」と思い知らされます。結果的に、楠木ともりさんの望む形ではなかったのかもしれませんが、三者三様の素敵な挨拶になりました。

そこから本当に最後の最後の「TOKIMEKI Runners」よ。この楽曲は楠木ともりさんが優木せつ菜として最初にファンの前で披露した楽曲です。そして最後に披露した楽曲となりました。後半はもうキャストも私も恐らくいくらかのファンも涙腺崩壊しちゃって。最初に彼女を観たときからこの瞬間までの思い出たちが私の脳内を一気に駆け巡りました。何度でも言いますが感謝の気持ちでいっぱいです。その気持ちを言葉に乗せて「大好き」「ありがとう」と全力で本人にぶつけることができたのは、本当にありがたい機会でした。

これからの優木せつ菜とどう向き合うのかは人それぞれだと思います。それでいいと思います。私自身はこのライブでいくらか折り合いをつけることができたので、新しい優木せつ菜を、新しいA・ZU・NAを、新しい虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を、すべてをやり切った楠木ともりさんを、これからも応援していく所存です。優木せつ菜として、これまでお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

余談
さて、今夜20時からの振り返り配信では何が語られるのでしょうか。このタイミングで生配信ではなく収録ということは、バトンタッチも兼ねて後任キャストの公表があってもおかしくはありません。個人的にはベストかどうかはわからないながらもベターな選択肢のひとつだと思うのですがはてさて。

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