「ドアPETAハンコ」の着想にシビれた話。
まだまだ目から鱗の商品開発ができるのだなという話。
新発売! というわけでなく、何かしらのニュースを読んで今さら「ドアPETAハンコ」の存在を知りました。これです。
ハンコ周りを専門に扱う株式会社印友舎さんの商品で、身も蓋もない説明をするとハンコのキャップに磁石を仕込んだだけの製品です。しかし、逆にそれだけで人々の生活を豊かにできる可能性を秘めているからすごい。
ある日、インターホンで呼び出され、確認すると宅配業者さんで、今の時勢だとマスクをつけて応対し、宅配業者さんのボールペンで一筆入れて、宅配便を受領。接触を気にするこのご時世、ボールペンを借りるのも躊躇するし、突然の来訪にうっかりマスクを忘れるかもしれません。
そんなとき、もしも玄関にマスクを掛けられるハンコがあれば……!
この願いを叶えてくれるのが「ドアPETAハンコ」です。リップのようにオシャレに斜めカットされた蓋側の磁石をドアにつければマスクなどが掛けられるハンコ置き場に早変わり。玄関にリマインド用のメモを貼り付けることも可能に!
素晴らしいアイディア商品だなと思いました。未だに「鉛筆消しゴム」のようにありふれたもの同士の「1+1」で「2」以上の価値を生み出せる余地が残っていたんだなぁと。この場合は、新たに生まれた余地を逃さなかった、のほうがより正確かもしれません。流行病がなければ幅広い層に対する需要はなかったと思うんですよね。流行病でハンコ自体に何かが起こったわけではなく、あくまでハンコを取り巻く環境が少し変わっただけなので。つまりこれは、ハンコ周りを専門に扱う会社が、自社のウリであるハンコというフィルターを通して世の中を観測していたからこそ生まれた商品で、そこにいたくシビれています。
また、正直、なくても生活に困るわけではない商品なのですが、あったら便利であることがイメージしやすいところも好きポイントのひとつです。Excelのショートカットと同じです。知らなくても困るわけではないのでより便利な方法があるにも関わらず、自分が遠回りしていることを自覚しないまま思考停止でやり続けていること、世の中にはたくさんあるんじゃないでしょうか。
ここに切り込むための出発点は「みんな普通にやっているけどこれめんどくさくない? 私だけ?」というシチュエーションです。自分を「普通にやっているみんな」に合わせるのではなく、「めんどくささを解決した私」にみんなを引き上げることが出来たら、小さなことでも周囲の世界を自分発信でアップデートすることができます。
何かカッコよくないですかこれ。 自分というフィルターを通すからこそ見えることもあるんじゃないでしょうか。私も自分のためになるアイディアを思い付いて形にしたい! そして周囲をアップデートしたい! この「ドアPETAハンコ」はそんな刺激を私に与えてくれたので、思わず筆をとった次第。
余談
「キミが思い付く程度のことは世界の誰かがとっくに思い付いているよ」とはこの手の話題で言われる常套句。ただ、誰かがとっくに思い付いているのに世の中に浸透していないということは、思い付いたけどやってないとか、やってみたけどできないとか、できたけど届いてないとか、どこかしらに課題があるわけで、そこを解決すればいい。新しいものというのは小さな課題解決の積み重ねで生まれるんじゃないかと、そんな気がしています。
頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となり次の作品となる。