見出し画像

【毎週ショートショートnote】「メガネ」「朝帰り」

朝、玄関を開けると何かが落ちていた。

メガネだ。

ふふ、貴方も戻ってきたのね。

女はメガネを拾い上げると部屋に戻った。
壁には無数のメガネが飾ってある。
さっき拾ったメガネもそこに加えた。
一体いくつあるだろう。
メガネの数だけ、いやそれ以上の男を抱いた。
だけれど側に男はひとりもいない。
男はみな他の女に浮気してしまうからだ。
腹が立ったので男を抱く度に魔法をかけることにした。
朝帰りをしようものならメガネ以外は消えてしまえ、と。

最初はメガネを拾うたびに寂しい思いをした。
しかし不思議なことに慣れてくるとだんだんメガネ収集が楽しくなってきた。
メガネの良し悪しで男を選んだこともあった。
よくよく考えれば男に捨てられたわけではない。
戻ってくるからメガネになるのだ。
愛されているからメガネが増えるのだ。
捨てられる前にメガネにするのだ。

今日も素敵なメガネ男子を見つけて声を掛ける。
ふふ、きっと貴方も他の女に走ってメガネになってしまうのでしょう。

(410字)


こちらに参加しています。

前回のお題「火星の」「別件逮捕」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
メガネ:伊達、近視、遠視、乱視、老眼、フレーム、レンズ、かける、鼻メガネ、
朝帰り:浮気、裏切り、

アイディアの組み合わせ
朝帰りの魔女の話:

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となる。