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TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」は遊びじゃない。

第11話の衝撃がすごすぎて、やっぱりこれ第12話を見る前に一旦気持ちを整理しておくべきだよなと思った第10話と第11話の感想です。

以下、ゲームをプレイしてアニメを見た前提で話が進んでいくのでネタバレその他諸々含めてご承知おきください。

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第10話

夏合宿回です。導入の構成から好みで、中須かすみの残念な期末テストの結果を示すことで、可愛いやり取りと共に、自然と1学期が終わったことを示しています。にゃんにゃん。ゲームをプレイしているファンはエマ・ヴェルデの横に静かに座っているだけの朝香果林の点数も実はあまり芳しくないことまで想いを巡らせていたのではないでしょうか。うまい。

基本的にはきゃっきゃうふふのわちゃわちゃ回です。第1話から第9話でそれぞれ課題を解決して一歩ずつ踏み出した彼女たちのサービス回。料理を作れば優木せつ菜のポイズンクッキングがさく裂し、肝試しドッキリを1年生組が仕掛ければ一枚上手だった3年生組共々2年生組、おもにせつ菜に叱られ、枕投げをかすみが試みれば、せつ菜の寝ぼけノールック枕投げがかすみにスマッシュヒットし……せつ菜ばっかりだな! いいキャラしています。水着もあるよ。セリフはアドリブらしいよ。

天王寺璃奈が合宿を心から楽しんでいたのが印象的でした。ポイズンクッキングを臆せず試食してみたり、かすみ提案の肝試しにノリノリで乗っかってみたり、枕投げでKOされるかすみを見て「オトナシクネルシカナイ……」と震えたり。宵っ張りで仲良しトークする気満々だったんじゃないかこれ! 中学時代はうまく人とコミュニケーションがとれていたかっただろうことから、その分も青春を取り戻そうとしているかのようで「本当によかったね……!」の気持ちでいっぱいです。

そして、きゃっきゃうふふのわちゃわちゃの裏で、しっかりと物語も動き出していました。

スクールアイドルが好きなみんなのためのお祭り――スクールアイドルフェスティバル!

これが第10話で見つけた高咲侑のやりたいこと。そしておそらく最終話に向けての着地点。第3話で「だったら、ラブライブなんて出なくていい!」と言い切った彼女が第9話を経てやりたいと思ったこと。選手として出場して競うのではなく、キャストとファンが一体となって空間を作り上げること。アイドルではない侑だからこその着地点で本当によくできているなと感心しました。ここにきてゲームタイトル「スクールアイドルフェスティバル」の回収ですよ。天才か。

この夢の祭典がすんなり開催されてしまっては話が続かないので、物語としては障壁が必要です。その障壁のひとつが、どうやらいちばん身近にいる上原歩夢になりそうなんですよね。

みんなが盛り上がっている中で、ひとりだけ心から喜べないでいる彼女。次回タイトルは歩夢の声で「みんなの夢、私の夢」と、これはもう間違いなく歩夢回なわけです。

第11話

表向きはスクールアイドルフェスティバルの開催に向けて奔走する話です。メガネだらけでたいへん私好みの生徒会室で開催の可否についての議論がなされます。最初は具体性に欠ける提案書でしたが、すかすかだったかすみん型ご意見BOXが何だかんだでいっぱいになり、そこから得た着想をもとに具体化し、生徒会の承認を取り付けます。めでたしめでたし。

その裏で展開されていたのが侑と歩夢とせつ菜の三角関係です。否、せつ菜は完全に巻き込まれ事故なので、侑と歩夢のすれ違いです。最終的に歩夢が侑をベッドに押し倒して足で足を挟んで耳元で「私だけの侑ちゃんでいて」と懇願しますからね。あれ? 見てたのアイドル作品だよな???

爆発のきっかけはピアノでした。第3話、おぼつかない手つきで「CHASE!」を弾いていたシーンがありました。第10話、そのときのシーンを再現しつつ、ピアノが上手になっているシーンがありました。いずれも侑とせつ菜だけのシーンです。つまり歩夢も視聴者も知らない間に侑はピアノの練習を本格的に始めてたらしく、その事実を最初に知ったのがせつ菜だったわけですね。歩夢の知らない侑がいる。せつ菜だけが知っている侑がいる。第10話で抱き合っている(ように見えただけで躓いたのを支えただけの)侑とせつ菜がいる。嫉妬ファイヤー大炎上。

スクールアイドルフェスティバルをはじめ、侑はみんなとスクールアイドルを楽しみたい一方で、歩夢は侑だけとスクールアイドルを楽しみたいという告白。みんなとの未来を描く侑と、みんなとの未来を拒絶して停滞を望む歩夢。虹ヶ咲スクールアイドル同好会にセンターという概念はないものの、何かと中央に立つことの多い歩夢が、実は物語のラスボスだというわけです。すげーや。まじか。そうきたか。ドキドキする。

どうやって解決するんだこれ。

鍵を握るのは「上原歩夢がなりたいスクールアイドルとはなにか?」であると私は考えています。第1話から第9話で「なりたいスクールアイドル像」について、それぞれ課題を解決して一歩ずつ踏み出してきました。踏み出してきたようでした。しかし、ここにきて第1話を振り返るとめちゃくちゃ面白いんですね。当時、私も疑心暗鬼になっているのですが、歩夢はとりあえず始めてみたにすぎず、スクールアイドルになりたい動機は何となく描かれていても、なりたいスクールアイドル像が描かれていないのです。だから、第11話で「ライブをやりたい場所」を聞かれても答えに詰まりますし、第10話で「こんなライブがしたい」とみなが口々に言う中で「ステージに立つだけで胸がいっぱいになっちゃいそうだよ」と言うに留まってしまいます。

スクールアイドルになりたかった動機も侑ありきなのでしょう。ここまでくると、せつ菜のパフォーマンスに感化されてスクールアイドルを調べたというよりは、せつ菜に感化された侑がどこか遠くに行ってしまうことを恐れて、自らがスクールアイドルになる道を選択したように思えてなりません。ゆえにせつ菜に対する嫉妬心が強いのです。もしも侑が流しそうめんにトキメいていたら、侑と一緒に流しそうめん同好会に入って、凄腕の部長に嫉妬していたのかもしれません。

二人で、二人で始めようよ、侑ちゃん。

第1話の告白シーンです。ここにきて第1話を振り返るとめちゃくちゃ面白いんですね! 第2話以降も他のメンバーと侑が絡むと細かく歩夢が表情を変えるシーンが挟まれていました。スタッフによる「遊び心」のようなものだと思っていて、笑いながら見ていましたが……いやこれ遊びじゃない……この日のためのマジのやつだ……! そう思わされる第11話でした。

第12話のタイトルは侑と歩夢の声で「花開く想い」です。第11話のタイトルは1stアルバム楽曲の「夢への一歩」を彷彿とさせますし(とんでもねぇ一歩だったな)、第12話のタイトルは2ndアルバムの「開花宣言」を彷彿とさせます。この中で、彼女が「なりたいスクールアイドル像」を見つけて、侑がやりたいスクールアイドルフェスティバルとベクトルが一致するといいのですが、そんな針の穴を通すような都合のよい展開はあるのでしょうか。

どうやって解決するんだこれ。

ピアノか。ピアノだよなぁ。侑がなぜピアノを始めたのか。私はすっかり最後に歌うだろう全体曲の作曲をするとばかり思っていました。しかし、ベッドに押し倒される前のやり取りを聞いているとどうやらそうでもないような気もします。これ、歩夢のための楽曲を作ろうとしていたのではないでしょうか。侑がやりたいことのひとつは、みんなが楽しむスクールアイドルフェスティバルの中で、侑が作った楽曲を歩夢がみんなの前で楽しんで歌ってくれることなんじゃないでしょうか。最後のCD、私はすっかり最後に歌うだろう全体曲とそのオマケだと思っていました。しかし、新規楽曲2曲のうち1曲は侑が作った、欲を言えば侑が伴奏を弾く歩夢ソロ曲じゃないかという気がしてきました。もう私の中ではリアルなライブでピアノを弾くことになるスペシャルゲスト矢野妃菜喜さんの姿が目に浮かんでいます。落ち着けよ私。

どうする第12話。冗談で「終盤に刺されるんじゃないの?」という話はしてきましたし、いろんなところでされていたように思いますが、まさかここまでやってくれるとは。もちろん「School Days」よろしく「ナイス(キー)ボート(゛)」な展開になるわけはないでしょうが、ここからきれいに1話で畳む道筋も思い描けず(侑が歩夢いちばんであると承認するしかないよなぁ)、どう見せてくれるのか構成の手腕が楽しみで仕方ありません。ドキドキする。

余談
細かい伏線や描写が散りばめられているアニガサキ、第11話は特に顕著だったように思います。何だか演出がシャフトめいているといいますか。赤信号。非常灯。右折禁止。重なる二人の携帯電話。右折禁止の標識と同時に映った看板に描かれている標識の「484」に関する考察もされていて、興味深く読ませて頂きました。エンジェルナンバー 484については以下のように書かれています。

成長の先に、様々な豊かさを受け取れることを示唆しています。心を決めて、成長を望んでください。成長を拒否し快適なゾーンにいつまでもダラダラいてもそれ以上の成長はありません。精神的、肉体的、物質的など様々な豊かさや繁栄が届くことはありません。今の現状よりも少しでも豊かさがほしいと願っているのなら、成長を求めてください。成長の先には、多くのチャンスが転がっています。(人生を楽しく生きるより)

うわああああ歩夢じゃん!

……みたいな話をしたらスマホでポチポチ調べてくれて、東京都道484号が実際にビッグサイト近辺を走っていることを知りました。少しばかり考えすぎだったのかもしれません。いや、この一致が逆に怖いわ。

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