アニメ「ラブライブ!スーパースター!!」~君たちの名づけ親は~
第9話「君たちの名は?」の感想です。第10話に間に合わなかったので、抱き合わせで書こうかしらと思っていたらとんでもない爆弾が投下されたので記事を分けることにしました。以下、第9話までのネタバレと過去のラブライブシリーズのネタバレを含みますので、自分の目で確かめたい方は回れ右していただければと思います。
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名前って重要ですよね。ラジオ投稿やnote投稿に使うペンネームもそうですが、思いのほか長い付き合いになったりするもので、安直につけるとあとあと困ったりするものです。また、不思議なもので「名は体を表す」という言葉があるように、その名前らしくなっていくというか、その名前以外ありえないような気さえしてきます。「ラブライブ!スーパースター!!」の主人公たちのグループ名「Liella!」も例外ではなく、設定が公開されたのちに公募で決められたにも関わらず、今となってはどこからどう見ても「Liella!」であり、それ以外ありえないように思います。考案者のとらさん、素敵な名前をありがとうございました。
実際は公募で決められたグループ名ですが、それはそれとしてストーリーの中では誰かが名付けなければなりません。第9話はそれを決めるお話。「μ's」は3年生メンバーである東條希の計らいによるものであり、「Aqours」は3年生メンバーである黒澤ダイヤの計らいによるものでした。では「Liella!」は? 特に勿体ぶる必要もないので言ってしまうと渋谷かのんでした。今の自分たちが何者なのかを見つめ直して、オレンジ髪の主人公が決めるというありそうでなかった王道展開。全校生徒が1年生という構造上、先輩をたたせる(先輩を納得させるだけの理由づけを構築する)必要がなかったからでしょうか。ギャグが多めで、持ち越しの課題も見当たらないので、気楽に彼女たちのきゃっきゃうふふを眺めていられる回でした。似たタイトルの映画のように、誰かと誰かの外見と中身が入れ替わったりはしませんでした。それはそれで見てみたい気も……。
以下、第9話のお気に入りポイントなど。
・葉月恋、普通科の制服を着る。
音楽科の制服から普通科の制服ルートは嵐千砂都も通った道。千砂都は転科でした。恋も転科か!? と思っていた時期もありましたが、新たに導入された制服選択制によるもので、お金がなくて音楽科に居続けることができないとかだったらどうしようという心配は杞憂に終わりました。制服を買い替える程度の金銭的余裕はあるみたいです。制服が選択できるとしてなぜ普通科の制服を選んだのかという点は興味があります。メタ的にはキービジュアルがそうだから。政治的には音楽科の象徴ともいえる恋自身が普通科の制服を率先して選択することで壁をなくそうという意思をあらわせるから。心情的にはかつてお母様が着ていた制服(と同じかな? 色合いが似ているだけ?)だから。あたりでしょうか。
・個性あふれるグループ名候補。
平安名すみれは言わせてもらえず。唐可可はネットスラングのようなチクレカス。渋谷かのんは可可に「つまらん」と一蹴された結ヶ丘スクールアイドル。恋は複数考えていて面白かったです。「趣旨を理解していないもので……」と目を逸らしながら背後に隠したメモ帳には「綺羅星、絶世時空、流麗姉妹、円環乙女、九」の文字。これはこのまま読めばいいのでしょうか。それともカッコいい片仮名の読み方があるのでしょうか。誰か恋を問い詰めてください。九は何を書きかけたのかも気なります。私が真っ先に思い浮かんだのは九蓮宝燈。雀士葉月恋の概念……悪くない。千砂都は丸を崇拝するヤバい人でした。まるまるサークル。「かのんが大好きな千砂都に丸とかのんのどちらが好きか選ばせたらどうなるんですかね」と仲間内に聞いたら「かのんを丸くするんじゃないですかね」と返ってきました。PSYCHO-PASSでありそうなやつ……! 槙島聖護に目をつけられないことを祈るばかりです。千砂都的には恋発案の円環乙女はアリなんじゃないでしょうか。円いので。まるまるサークルと読ませることもできるので。見つかっていたら世界線が変わっていたかもしれません。
・葉月恋、動画配信に挑戦する。
動画配信を動画を配ると思っていた恋お嬢様の初めての動画撮影。挨拶でお辞儀するところがお気に入りです。頭を勢いよく下げたことで真っ直ぐ前方に垂れた細長いポニテを、頭を上げると同時に喋りながら腕で後ろに払う所作が美しい。この動きひとつで育ちがよさが伝わります。照れたり何だかんだあってかのんの両頬を抓るところもすっかり打ち解けていることがわかっていいですね。配信コメントが右から流れずに画面左下から湧いてくるところに時代を感じました。
・ジャパニーズ缶詰。
作詞がまとまらないかのんが恋のお屋敷のお部屋に閉じ込められるシーン。うっかり見つけた豪華なベッドに飛び込む作画コストが半端ない。ワンバウンドしたよ?? 「ごろりん」「すやぁ」「え゛」の三段の流れも美しかったです。再三、言及しているような気がしますがこういう何気ない場面のかのん役の伊達さゆりさんの濁点のつきそうな発声がとても好きです。
・Dreaming Energy
既存曲を挿入歌に使うのいいですよね。無観客リリースイベントで聞いた時は、「始まりは君の空」のような表題曲でもなく、「Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!」ほどハイテンポで軽快でもなく、「私のSymphony」ほど物語性を感じるでもなく、私の中では印象の弱い曲でした。どちらかと言えばスルメ曲で、かのんが作中で何かを掴んだ前向きなメッセージと共にじわじわ好きになっていくのでしょう。今思えば2021年8月末に開催されたOP主題歌&ED主題歌連動オンラインリリースイベントの締めがこの曲だったのはこの場面を意識していたのかもしれません(La-Pa-Pa-Paもやってるけど)。1stライブでもきっと披露されるはずで、アニメ準拠だろうことを考えると、どこに差し込んでくるのかは興味があります。順当にいけば「Wish Song」の後になるのかなぁ。
・Liella! 爆誕!
かのんの提案で名前も決まり、可可が大きくてカラフルな「Liella!」の横断幕を豪快に垂らしてエンディング。実は冒頭で同様に「Love Live!」の横断幕を垂らしていて、これはわかりやすいテンドンなんですね。「いつの間にグループ名の横断幕作ったんだよ!」というツッコミも野暮な様式美。大好きな演出です。
・チェケラッ!!
第9話で悩みに悩んだ作詞の末に生まれた楽曲が披露されるはずの第10話のサブタイトルが「チェケラッ!!」って、どういうことだよ! 困惑しながら1週間待つことになりました。
そんな第10話に関する記事も追って更新する予定です。こちらについても、check it out!
余談
名付け親といえばありがたいことに私もかつてラブライブ!サンシャイン!! のユニットファンネームの名付け親になることができました。私が「しゃろとも」を応募しなければ違ったユニットファンネームになっていた世界線があり、近々開催されるライブのバンド名も「CYaRoTOMO'S」ではなかったんだろうなと考えるとちょっと不思議な感覚です。ifの世界と比べることはできませんが、今の名前を愛してもらえているならば、私としてはとても嬉しく思います。
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