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「コットンキャンディーえいえいおー!」はこうしてボクらの前に顕現した。

ついに地獄の釜の蓋が開くのか。

2022年3月5日に開催された「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~ <SUNNY STAGE>」のday 1を現地または配信で見たファンの多くはそう感じたのではないでしょうか。

地獄の釜の名は「コットンキャンディーえいえいおー!」。本稿はその釜の蓋が開くまでと開いた後の顛末をわかりやすくまとめようとしたものです。ネタバレが含まれますのでその点ご承知おきください。

その楽曲は2020年9月21日に発売された「LoveLive! Sunshine!! Kurosawa Ruby First Solo Concert Album ~ RED GEM WINK ~」に新録されました。キャラクター名義の2曲目のソロ楽曲です。問題……否、話題となったのはそのMV。こちらです。

サムネイルからぶっ飛んでいます。MVについては以前に述べた通り。他のキャラクターと比べるといかにぶっ飛んでいるかがわかると思います。再生数もぶっ飛んでいて450万再生て。外野からすると「やりやがったな!」で済む話なのですが、黒澤ルビィ推しとなると話は別で。2020年8月1日の第1弾の高海千歌で愛らしいMVが公開され、2020年9月19日の第2弾の桜内梨子で麗しいMVが公開され、第3弾の黒澤ルビィはどんなだろうとワクワクしながら蓋を開けたらコレだったときの心中、お察しいたします。ポジティブにもネガティブにも人によって様々な感情が渦巻いたことでしょう。

ラブライブ関連のライブは、開演前に各種CDの告知映像などが流れるのですが、いつからか、この楽曲のMVが流れ出した途端、会場にいくらかピンクのペンライトが灯り、Aメロで盛大なクラップが巻き起こるようになりました。まさに電子ドラッグ。スクリーン映像だけでもこの有様なのに、実際のパフォーマンスを目にしてしまったら、どんな感じにキマってしまうのか。

ついに現地で「コットンキャンディーえいえいおー!」が見られるかもしれない。最初にそう思えたのは公開から1年近く経った2021年8月14に開催された「AZALEA 1st LoveLive! ~In The Dark /*秘密の物語*/~」でした。この中で黒澤ルビィの姉である黒澤ダイヤが第4弾に相当するソロ楽曲を歌ったのです。黒澤ダイヤを見ながら黒澤ルビィに想いを馳せていました。黒澤ルビィ属するCYaRonのライブで「コットンキャンディーえいえいおー!」がくる流れではないか、と。当時の感想記事でも触れています。うわ、読み返したら当時CD積み増してるじゃん私(これはワケあって純粋にCYaRonのライブに行きたかっただけです)。2021年9月24日に開催された「Guilty Kiss 2nd LoveLive! ~Return To Love ♡ Kiss Kiss Kiss~」でも相当するソロ楽曲が披露され、疑惑は確信へと近づきました。

ところが待ちに待った2021年10月16日に開催された「CYaRon!2nd LoveLive! ~大革命☆Wake Up Kingdom~」でまさに大革命が。これまでセットリストに組み込まれ、当然やるだろうと思われていたソロ楽曲がなぜかなかったのです。着替えのタイミングである幕間が挟まるたびに「次か次か」とワクワクしていた人もいたことでしょう。特にCYaRon推しというわけでもないのに「コットンキャンディーえいえいおー!」のためだけにお金を払って来た人もいたことでしょう。でも、なかったのです。この日は顔認証のシステムトラブルで開演が55分も押していたため、その影響でソロ楽曲が削られたのではというウワサも流れましたが、公演は通常通り行われたと公式から明言されたことで、その可能性もなくなりました。day 2で日替わりで差し込まれることもありませんでした。いくらかの人が「コットンキャンディーえいえいおー!」に踊らされた2日間となりました。「なんでえいえいおーやらないんだよ金返せよ」というアンケート回答が届いていたとしても不思議ではありません。モラルの是非はさておき気持ちとしては理解できます。

しばらく間が空いて、2021年最初で最後となった9人揃っての「Aqours EXTRA LoveLive! ~DREAMY CONCERT 2021~」は感動的なままに幕を閉じ、舞台は翌年の「Aqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~」へと移されました。2022年2月12日に開催された<OCEAN STAGE>。1年生だけ取り残されて歌った後に披露されたのは「Aqours COUNTDOWN LoveLive! ~WHITE ISLAND~」から1年ぶりの冬のデュオトリオ楽曲。まずは3年生の2人から。1年前はオンラインライブだったため、有観客では初のお披露目となります。納得のセットリストです。気になったのは2日目に黒澤ルビィ役の降幡愛さんがMCで「えいえいおー!」と発言して会場がざわついたことくらいでした。

そしてやってきました。2022年3月5日の<SUNNY STAGE>。同じような展開で1年生だけ取り残されて歌った後に披露されたのは冬のデュオトリオ楽曲……ではなく、桜内梨子のソロ楽曲でした。こ、この流れは……!! まぁ待ちなさい。桜内梨子ソロはすでにGuilty Kissの2ndライブで披露されています。未披露曲は例外かもしれません。かつて期待してやられたでしょ? 次に披露されたのは高海千歌のソロ楽曲でした。こ、この流れは……! 未披露曲きた。大革命でやらなかったソロ楽曲きた。まぁ待ちなさい。「Aqours 3rd LoveLive! Tour ~WONDERFUL STORIES~」を思い返してみると、ソロ楽曲はday 1とday 2に分割されていました。Aqoursのライブは9人分をすべて組み込めるほどセットリストに余裕がないのです。1年生が取り残されていたということは、他の学年が次に備えて着替えているわけなので1年生の黒澤ルビィはday 2が妥当。この予想は的中し、この日は2年生と3年生の黒澤ダイヤがソロ楽曲を披露するに留まりました。

翌日の3月6日。同じような展開でこの日は1年生ではなく2年生だけ取り残されて歌いました。ということは1年生と3年生が次に備えて着替えているということ。くる。いよいよくる。残り5曲の何曲目かはわからないけどいつかくる。

「お待たせしました、いや、お待たせしすぎたのかもしれません!」

1曲目でした。どこかで聞いたことのあるセリフと共にステージに現れたのは、MV以上に盛り盛りにデコられた衣装をきた黒澤ルビィ、MVにも登場したシマウマ(小道具)、そして制服姿でシマウマを動かす黒澤ダイヤでした。お、おねいちゃん?? もう何が何だかわかりませんでした。その一部が「MAiDiGiTV」で紹介されていたので紹介します。

2:30から2:52あたりを見てください。小道具を手渡す黒澤ダイヤ。無表情で決めポーズをする黒澤ダイヤ。「さすが何でもできる可愛い妹ですわ」と言わんばかりに優しく微笑みかける黒澤ダイヤ。さっと黒髪ストレートをかき上げて整える黒澤ダイヤ。キレッキレでよっしゃよっしゃわっしょいする黒澤ダイヤ。ちゃんと人間でもよっしゃよっしゃわっしょいの動きができるんだね……。メインの黒澤ルビィの話抜きでこれです。22秒でこれです。この曲、4分半くらいあるんですけど?? 終始とにかく情報量が多くてすごかったです。欽ちゃんの仮装大賞もびっくりするくらい次から次へと小道具が。感情が追い付きませんでした。感情が落ち着いてくるといろいろと筋が通っていたことに気が付きます。そうか。だから黒澤ダイヤのソロ楽曲(先の動画の2:04から2:30あたり)を1日目に終わらせておいたのか。そうか。だから黒澤ダイヤのいないCYaRonのライブでは披露できなかったのか。

お待たせしすぎて上げに上げたハードルを軽々と飛び越えるパフォーマンス。聴かせるより魅せるに徹したパフォーマンス。これを見せられてネガティブな感情を抱いた人がどれだけいたでしょう。MVほどは賛否が分かれていないのではと想像します。MVにネガティブな感情を抱いていた人ですらパフォーマンスを見て和解したケースをいくらか観測しました。しがらみもろともぶち壊すパワーがありました。MVの破壊力を上書きできる破壊力を現実世界で見せつけられるとは思ってもいませんでした。アップデートされた私たちは「コットンキャンディーえいえいおー!」を聞いた時に頭の中に思い描くビジョンを選択できるようになったのです。

この大事件、流石にトレンド入りする程度には話題となり、普段はデレマスを追っているプロデューサーからも「コットンキャンディーめっちゃ見たい」とメッセージが飛んできました。プロデューサーのみなさん、2022年5月に開催されるバンナムフェスは行かれますでしょうか? Aqoursからは4人しかキャスティングされていませんが、その4人の中に黒澤ルビィと黒澤ダイヤが含まれています。常識的に考えれば夏のデュオ曲である「真夏は誰のモノ?」を歌うはずですが……。

いくらかの人は地獄の釜の蓋が開いて尚、「コットンキャンディーえいえいおー!」に踊らされています。

余談
ライブそのものの感想を書けよという話ですが、この曲の部分だけ分厚くなるのは目に見えていたので、先に切り出しました。R3BIRTHの全速ドリーマーにも通ずる初見で腹を抱えるタイプの愉快なライブ体験でした。

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