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撮影禁止の場内に映し出されるQRコードと試される倫理観。

ルールと運用と実情って難しいよねという話です。

私が参加するライブはだいたい入場から退場まで会場内の撮影が禁止されています。それがルールです。しかし、実際のところはあるタイミングで堂々と撮影している姿をよく見かけます。そのタイミングとは、終演後のステージのスクリーンにアンケートのQRコードが映し出されたときです。

スクリーンにQRコードが映し出されるということは、運営からスマートフォンをスクリーンに向けていいですよと言われているのと同義です。昔はQRコードを読み取る専用のアプリケーションが必要でしたが、今どきは標準のカメラ機能でもQRを読み込むことができます。つまりQRコードを読み取るためにスクリーンにカメラを向けるところまではごく自然な行為であり、あとはうっかり手が滑ってシャッターボタンを押してしまえば、うっかり場内の写真が撮れてしまうわけです。

もちろん、ほとんどの人は撮っていませんが、肌感覚としてライブを重ねるごとに撮っている人が目に入る頻度は上がっています。最近は驚いたことに、ペンライトや推しグッズを画角に入れてQRコードを読み込んでいる(だけなのかなぁ)人まで見かけるようになりました。注意されないのをいいことに段々とエスカレートしているんじゃないでしょうか。

念のために私の立場を示しておくと、自分は撮ったことがなく、撮っている人を見かけても、相当の悪意を感じない限りは「あぁ、撮ってるなぁ」くらいで「この人、撮ってました」と突き出すつもりはありません。運営の判断に委ねています。ただこのままファンの行動がエスカレートし続けると、さすがに運営から注意されたりルールや運用が変わる場面が出てくるのではないかと思っています。今の関係は絶妙なバランスの上で成り立っているのではないか。このバランスは維持され続けるのかそれとも崩壊してしまうのか。そのあたりに興味を持って本項を書いています。

この件に関しては、そもそも会場内の撮影を禁止しておきながら、スクリーンにカメラを意図的に向けさせる運営に対して人でなしだなと思っています。「今からしばらく部屋にはあなた以外誰もいなくなりますがこの何枚あるのかよくわからない山積みの金貨は一枚も持ち出さないでください」と言われているようなものです。ルールの一線を越えたくなる葛藤を引き起こす環境を運営が自ら用意しているのです。多くの人は高い倫理観を持って一線を越えないでしょうが、中には通常であれば一線を越えなかったのにお膳立てされてしまったがために一線を越えてしまう人もいるでしょう。私たちはライブの興奮が冷めない中で倫理観を試されているのです。かく言う私も一度カメラを向けてしまえば誘惑に勝ち続ける自信がないので、そもそもカメラを向けないことにしています。もともと会場内でアンケートに答える習慣がないというのもあるのだけれど。

運営は果たして心の底から会場内の写真を撮られたくないのでしょうか。もし運営が是が非でも会場内の写真を撮られたくないのだとしたら、スクリーンにカメラを向けさせるのがそもそもの間違いで、まずはスクリーンにQRコードを映さなければいいのです。それをしないのは写真を撮られるリスクに気がついていないかリスクを負ってでもQRコードをスクリーンに映すメリットがあるからです。気がついていないわけがないのでメリットを考えると、最たるところはアンケートの回答率向上でしょう。鉄はアツいうちに打て。ライブ直後の正直な感想を多く得るには終演直後に答えてもらうのがベストです。熱も冷めた後日メールのアンケートに答える腰が重い気持ちはとてもよくわかります。アンケートの回答率が向上するなら、撮られたところで影響の少ない終演後のステージの撮影(うっかり手が滑っている程度)は現実的に把握もしきれないし許容する運用なのではないか、というのが私の見立てです。だったら実情に合わせてルールを変えて終演後のステージの写真は撮ってもいいことにすればいいのにとも思ってしまいますが、そのことを仲間内に訴えたところ、それはしないほうがいいだろうと指摘されました。

終演後のステージの写真を撮ってもいいことにすると、今度は終演後のステージ以外も撮る人が一定数現れてしまうというのです。なるほど。手が滑ることを公に許してしまうと、今度はうっかり腕や首や腰が滑る人が現れるわけですね。そこまでいかないように、一線を越えられたとしてもまだ許容できるように、倫理観を盾にしたバッファーを設けて本当に越えられては困る線よりもっと手前に線を引いておくやり方は、本当に守りたいものを守るための有効な手段であるように思えます。実際そのおかげで「撮られたとしても影響の少ない終演後のステージ」程度に抑止できているのかもしれません。

最初の話に戻ると、肌感覚では徐々に行動がエスカレートしているので、このまま本当に越えられては困る線を越えてしまう等、運用で許容できないレベルに達すると、そのときは運営としてもルールか運用を変えなければならなくなるだろうと考えられます。今の実情に甘えてうっかり手を滑らせたい人がいれば悪目立ちしないように気をつけるべきでしょう。あとは「スクリーンにQRコードを映すと回答率があがる」ことを示し続けるために是非アンケートに回答しましょう。

いやいやいや許容とか運用とかそういう問題じゃないでしょ。ルール違反はダメでしょ。ごもっともです。私もこちら側のスタンスでルールと実情の乖離にはモヤモヤしています。写真を撮らせない有効な方法のひとつは先に述べた通りQRコードをスクリーンに映させなければいいので「スクリーンにQRコードを映さなくても十分な回答率が得られる」ことを示し続けるために是非アンケートに回答しましょう。アンケートの中で「会場内の写真を撮っている人が増えてきているんですけど」と訴えるのもいいと思います。

このように世の中にはルールだけではうまく回らず、性善説頼みの倫理観と運用でなんとか回していることがごまんとあります。会場内の撮影禁止について、今後のルールや運用と実情がどう転がるかはわかりませんが、面白いことに、いずれにしてもアンケートを書こうというところに落ち着き(落ち着け)ましたとさ。

余談
最近、私がアンケートでよく書いているのは「ラブライブ同士のイベント被りやめてくれー!」です。イベント日程を組むにあたりアンケートを参考にしていないわけがないと思うのですが、意外とシリーズを跨いで応援している人が少ないんでしょうか。何かとバッティングの対象になるLiella! は特に。

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