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【毎週ショートショートnote】「ごはん」「杖」

家事場の魔法力シリーズ。

それは呪文を唱えて振りかざすだけで家事が終わる魔法の杖。第一弾のそうじ杖と第二弾のせんたく杖は飛ぶように売れたのに、次はコレだと確信して企画したごはん杖だけなぜか売上が芳しくない。

「どうしてだと思う?」
妻に問うと妻からは冷たい返事が。
「あなたは家事をしないからわからないのよ。やってみたら?」

こうして翌日からご飯を担当することになった私。朝起きてパン向かって呪文を唱えればトーストができるし、夕方帰って挽肉と玉ねぎと卵とパン粉に向かって杖を振ればハンバーグができる。やっぱり便利で素晴らしい商品じゃないか。

ところが一週間もしないうちに考えが変わった。メニュー毎に呪文を調べるのがめんどくさいし、そもそもメニューを考えるのがめんどくさいし、食材を揃えるのもめんどくさい。炊事だけをラクにしたところでご飯の負担は大きいままなのだ。

毎日ご飯を作ってくれる君に感謝を。ごはん杖には皿洗い機能も実装しよう。

(410字)


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前回のお題「親切な」「暗殺」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
ごはん:米、食事、栄養、何杯でもいける、炊飯、
杖:魔法、老人、転ばぬ先、ロッド、

アイディアの組み合わせ
魔法でごはんが作れる話:魔法でごはんが作れる便利な杖。思いのほか売れずに専業主婦の伴侶に問う。ごはんの大変なところは作るところではなくメニューを考えて食材を調達するところ。

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となる。