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夏休み

「今年の夏休みイベント」

 凄いものを観て聴いてしまった。美術と音楽のレジェンド巡りです。遠出といっても、東京までのできるだけ戸外を避けた小さな旅。

のぞみは東へ
東京駅八重洲を出て東京都現代美術館へ。

 86歳のDavid Hocnyの27年ぶりの大きな個展。80年代に流行ったホックニーの作品ではわからない一人の画家の衰えない絵描きの欲望と探求。

 小さめのカタログデザインとロゴも生き生きとした新鮮なもの。展覧会もまた、舞台とは異なる総合芸術だ。カタログの奥付けを読めば、美術館企画者も作家も関係各所の見えない仕事量の多さ。展示構成やライティングがさりげなく、企画意図が体験できる構成になっている。集中できる鑑賞体験の質がとても気持ち良い。展示はHIGREさんの仕事。

そして
休憩を挟んでサントリーホールへ。

 94歳の湯浅譲二さんの新曲を含めた演奏会「作曲家のポートレートーアンテグラルから軌跡へー」杉山洋一さんのタクトによる東京都交響楽団の演奏。その演目は
▪️エドガー・ヴァレーズ『アンテグラル(積分)』小オーケストラと打楽器のための
▪️ヤニス・クセナキス『ジョンシェ(藺草が茂る土地)』
▪️湯浅譲二
『哀歌』オーケストラのための[編曲世界初演
『オーケストラの時の時』オーケストラのための
『オーケストラの軌跡』全曲初演、サントリー芸術財団委嘱作品

 ただただ、凄いとしか言えない音楽でした。普段意図せず圧縮されたmp3のデジタル音ばかり耳にしていることのおそろしさ。フルオーケストラは、まるで自然のような音楽を作れるのかと、サントリーホールの音が良いことも加わり、この上なく幸せな体験。

のぞみは西へと向かう。
いつものように。

 9月が近づくと、近くの公園で虫がチイチイとないている。駐車場や路上に転がっているセミを集めて、小さな植え込みの中へ置く。

 夏やすみも終わりで混み合う駅。車窓から見る入道雲はまだまだこれから今日も雷の準備に余念なく。

©︎松井智惠 2023年8月26日筆

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