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秋の戯言カラスが言うよ

 ふと京都芸術センターからのメールを開けてみたら、京都国際芸術祭・「KYOTO EXPERIMENTAL」が先月末から始まっている。
https://kyoto-ex.jp/

 この催しはずいぶん昔からあったような気がする。2010年ごろだったかな。ホームページを見ると、フリンジの演目も結構多いなあ。暑さがおさまる頃は、あちらこちらで蟲たちが蠢く。
実験的なものがKYOTOには、伝統として転がっているらしい。チリンチリン、コロンコロンと音をたてて。

 2009年、フェスティバル/トーキョー第一回目で、どれだけワクワクしたことだろう。池袋を中心に、ミーハー魂に応えてくれる高揚感があった。

それがつい昨日のよう。

 フェスティバルトーキョーも、その後全てのアートフェスティバルと同じように、リサーチ作品と地域連携、ワークショップの嵐が吹き荒れて、ただ観劇の欲求に応えてくれるものを探すことが難しくなった。

 時代の作法に無理に合わすことは、疲れるものだ。
全ての芸術鑑賞は暇つぶしで娯楽なのだと、単純になってもいいのではないかい。世情を忘れて耽美な世界に溺れるもよし、同時代のメッセージに涙するもよし、ミニマルの反復による癒しに身を委ねるもよし。

トルコを挟んで、劇薬の鱗粉がさんざしの花を枯らす。

 もうすぐ夕暮れカラスが群れをなして、見えないところの出来事を教えてくれる。鳥の声は、全種類に共通して伝わるというから、翻訳などいらないわけだ。

 どんな世でも娯楽はとても大切


©️松井智惠               2023年10月14日筆

 
 *イベントが増え続けるのは観光との連携を見込んでのこと。面白いものを見つけるのは、数が増えるほど難しい。つまらなかったら、勉強代です。

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