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《FRIEZE SEOUL》ダミアン ハースト 「薬棚」


イギリスの代表的な現代アートのアーティスト。
末梢神経を刺激するイメージや作品でいつもセンセーションを起こし、現代アートをいつもホットなものにしてくれる張本人。

初期話題作、フォーマリン漬けされたサメの姿は、斬新で衝撃的だった。

彼の違う代表作である、Pill Cabinetsの2点をFRIEZE SEOULで観れた。


Thirteen Pills 2008, Oil on canvas 121.9 ×91.4, WHITE CUBE GALLERY , Frieze Seoul 2022


彼の主要テーマである死(mortality)を日常でもっとも身近で無意識的にも認識しながら、行動してる対象物が、まさに薬である。

この薬は、カラーフルな可愛いキャプセルやパッケージで包まれ、私達に死から離れた“安心”を呼びかける。


得たいの知れない薬への盲信。
ピンクや可愛い色で近づいて来る洗練され、商品化された“薬”へのその盲信の裏側には、“死”への不安が宿っている。
認識するであれ、しないであれ。この薬で幸せになれると盲信している。

このPill Cabinetsシリーズに対して、彼の以下の言葉が。

I like the way art works, the way it brightens people’s lives up…but I was having difficulty convincing the people around me that it was worth believing in.
And then I noticed that they were believing in medicine in exactly the same way that I wanted them to believe in art.

この“死”への不安を和らげるための薬への“盲信“的な人々の態度、行動パターンを、芸術でも同じく見いだせるようになったとのこと。

芸術を通して、私達は、いつかは“生”を終わらせてしまう、“死“への不安を和らげることができるでしょうか?

その視点で彼の作品を改めて観てみると面白いものが見えて来る。。。。


写真2番目の作品では、Cabinetが鏡になっている。芸術を通して“死“の不安から安堵を得ようとする鑑賞者の顔が見えるのである。
実によく出来た仕掛けである。

素晴らしい作品が Frieze Seoul で観られてよかった。



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