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すばらしい空の世界 【006 吉野•その1】

長谷寺を出発したツアーバスは、素麺で有名な三輪や大和三山(畝傍山・香具山・耳成山)の近くを通って吉野へと向かう。添乗員さんの解説は、何の知識も無く訪れる関東民の私にとっては、ありがたい情報である。 どうやら、直接吉野に向かうわけではない。現地の食堂が行列で入れない時のための予備の食糧確保のために、柿の葉すしの売店に立ち寄るらしい。 ということで暫くは添乗員さんより、柿の葉すしに関する四方山話が始まる。 京都で有名な鯖ずしは、若狭(福井県)の小浜などからいわゆる『鯖街道』を通って運ばれるが、奈良の柿の葉すしの鯖は、紀州(和歌山県)より運ばれる。 昔は保存のために鯖は塩漬けにされていたので、そのままでは食べられない。 ご飯と合わせ、柿の葉で包み重石を乗せて熟成させていたのが現在の柿の葉すしの原点であるという。

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今回ツアーバスで立ち寄ったお店は『柿の葉すしたなか』…JR橋本駅の駅弁としても知られる。

柿の葉すしで使われる魚は…定番が鯖、次に鮭、最近人気なのは鯛、春先に人気なのは下のご飯が山菜で、その上にちりめん山椒が乗っているものらしい。

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一口サイズで、渋柿の葉で包まれている。葉には殺菌効果や日持ちをさせる効果がある。

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季節や店舗によって、変わり種の柿の葉すしもある。 写真下段のさんまや金目鯛が、その一例。

柿の葉すしは、購入した当日よりも翌日の方が美味しい場合もある。 念のため、調達した際にお店の方に確認して頂きたい。

ということで、閑話休題…バスはお店を出発して、いよいよ吉野に向かう。 ここで添乗員さんより、現地の詳しい説明がある。 初めて来訪される場合、ここが重要なポイントになる。 吉野と一括りで言われているが、『上千本』『中千本』『下千本』『奥千本』と4つのエリアに大別される。 今回は、下千本側の駐車場にバスは停まる。見頃なのは(来訪したのは2022年4月3日)下千本エリアのみで、中千本より先に行ってもまだ咲いていないとのアナウンスがあった。 実は昨年実施した吉野ツアーは、上千本でも散り始めていて…実質葉桜見物ツアーだったらしい。 YouTubeで後日確認したところ、2021年は3月31日の時点で上千本が満開であった。(参考:毎日放送・桜カメラ/2021年3月31日:中千本・上千本) 添乗員さんにお伺いしたところ、ピークの日を予想してツアーの募集をするけれど実際に見頃となる確率は全体の3割程度らしい。

下千本の駐車場に到着…観光バスが、やたら多い。当日は小雨が降っていたので、安全確保のためそのバスの写真は撮れなかった。 もうバスが何台停まっているか、瞬時に数えることさえ出来なかった。 それだけの人数が、吉野エリアに集結している。 下千本エリアの桜を、ウェザーニュースの『桜フォト祭り』に投稿した分も併せてご紹介したい。 ピークを外した15時前後に撮影した写真が多い。

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どの位置で撮影したか…是非シーズンになった時、現地で確認して頂きたい。 平面的な写真より、立体的な現物を観る方が感動は大きいと思う。

下千本より先のエリアとその名所、吉野の有名なお店・お土産などについては次回(#007で)ご紹介したい。 下千本より奥千本まで歩いて行くなら宿泊すべきだと思う位、吉野は実に広範囲な桜の名所である。

◆ここで再び『柿の葉すし』に、話しを戻したいと思います。 紀州(熊野灘)で獲れた鯖を塩漬けにして運んだ…と書きましたが、そもそも紀州には、『なれずし』と呼ばれる鯖のすしがあります。 奈良県の五條・吉野周辺と和歌山県の紀ノ川流域(吉野川の下流)で『柿の葉すし』は普及していて、同じ奈良県でも十津川村ではお正月に『なれずし』を食べているそうです。 また現在では奈良駅や奈良市内で『柿の葉すし』を調達出来ますが、もともと奈良市周辺で普及した食文化では無いらしいです。 調べれば調べる程『柿の葉すし』は、地域限定の特別な時に作り食べられた伝統ある食文化であると認識した次第です。

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