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【6】骨盤後傾タイプの骨盤ニュートラルエクササイズ


↑前回記事の続き

「はい!じゃあ育江ママ、そこの壁を背にして立ってくれる?壁にピッタリ体をくっつけてね。」

「えっと・・・こう?」

「はい、後頭部を壁にくっつけてー、両肩も壁にくっつけてー、肩甲骨辺りもくっつけてー」

「こ・・・こう?」

「あ、両肩浮いたわよ。背中も両肩もしっかり壁にくっつけて。」

「なんか背中が変に力入って動きづらいんだけど・・・。」

「はい、まだよー。上半身ぴったりくっつけたまま今度はお尻を壁に押し付けるようにくっつけてー、ふくらはぎも壁にくっつけてー。」

「ちょちょちょちょっ!何かうまくできないんだけど。」

「育江ママー、後頭部が壁から離れてるわよー。」

「あっ・・・。頭ね・・・。」

「あ、今度は背中浮いてる。両肩ももっと意識して壁にくっつけて。はい、肩すくめない!!」

「ふんんんん~~~~・・・・。」

ただ体の背面全体を壁にくっつけるだけなのに。そんなに大変なのか。そんな風に思ったので自分も横に立ってやってみた。

確かに肩周りや背中に力が入って窮屈な感じはするけど、そこまで大変ではない気がする。

「ちょっと、お母さん。こんなのもキツいの?確かに全身に緊張が走るけど、壁から離れないように意識すれば出来るでしょ?」

「何言ってんの。香織!お母さんだってそうしたいけどね!あっち立てればこっち立たずで思うように体が動いてくんないの!!」

「香織と育江ママはタイプが真逆って言ったでしょ?香織の骨盤前傾タイプでは難なく出来ることが、タイプが逆の後傾タイプだと難しいのよ。骨盤前傾タイプは猫背だから体を反らせる方の筋肉をいっぺんに使うのがしんどいの。」

こんな些細な動きで骨盤タイプの差が出るのか。お母さん、何か立ってるだけなのに汗かいてきてる・・・。

「育江ママ!立って終わりじゃないわよ。ここからさらに動き入るわよー。」

「え?これで十分!!!」

「はい、つべこべ言わない。壁に体をぴったりくっつけたまま両腕で万歳してー。腕も壁にぴったりくっつけてね。」

「なんか!肩周りがすんごく窮屈っていうか、思うように動かないんですけどー!?」

「両肩壁から離れてるわよー。しっかりくっつけて。腕だけじゃなく手の甲までしっかり壁にくっつけて!」

「ひいいんっ!」

「万歳したら肘を曲げながら腕を下ろしてきて。もちろん壁から離れないようにね。ほら、肩に余計な力入れないで。肩すくめないの!」

お母さんの動きがすごくぎこちない。痛いとかはないようだが、本当に思うように体が動いてくれないって感じが見て取れた。

「ねえ、ピバちゃん。お母さんのこのエクササイズって・・・何?何を鍛えてるの?」

「まずは猫背を壁というガイドラインを使ってまっすぐにしてるの。特にお尻の下の方を壁に押し付けるようにすることで骨盤の後傾をまっすぐにする筋肉を刺激してるのよ。」

「あの腕の上げ下げは?何か意味あるの?」

「今、育江ママの腕はね、猫背の姿勢で使われることが前提になっているの。だから腕を使って何か作業しようとするとすぐに猫背になるの。だけどそれじゃあこの壁エクササイズの意味がないでしょう?だから猫背ではない、ちゃんとした姿勢、背中や肩甲骨周りの筋肉で姿勢を保った状態で腕を上げ下げする動きがスムーズになるように練習してるのよ。まあ、体にまっすぐな姿勢で体を動かすことを思い出させてるってとこかしらね。」

「思い出させるって?」

「筋肉はね、長い間使われていないと使い方、動かし方を忘れるのよ。それは筋肉が落ちて動かせないのではなく、動かし方を忘れて動かしづらくなるの。香織自転車は乗れる?」

「え?一応。でももう5年以上乗ってないから怖いかも。」

「怖いってなんで?」

「何でって・・・久しぶりだからフラフラしそうだし。」

「そうね、何年も乗ってないから乗ってバランス取るのにフラフラしそうね。でもそれって筋肉が落ちてるからフラフラしそうってわけではないでしょう?筋肉がついていても、自転車を乗る時に働く筋肉や感覚がずっと使われていなかったから、筋肉の使い方を忘れちゃってるからフラフラするの。」

「お母さんも昔っからあんな猫背ではなかったし、お母さんは体を後ろに引く筋肉の使い方を忘れちゃってるってこと?だからあんなにぎこちないの?」

そう言ってロボットのようにぎこちない壁エクササイズをしているお母さんを見た。

「そう、体を後ろに引く筋肉を使い続けながら腕を動かすって今の猫背の姿勢ではほぼ皆無だったはずよ。だからあのエクササイズをやってもらってるの。猫背が改善されれば自然と骨盤もニュートラル位置に近づくはずよ。」

「ねえ、ピバちゃん、一回休憩していい?」

お母さんがいつの間にか汗だくになっていた。動き自体はそんなに大きくないのに、こんなに汗をかいているということは普段本当に使っていない筋肉だったんだろう。

「じゃあ、ピバちゃん、私もお母さんもそれぞれピバちゃんに教えてもらった骨盤エクササイズをやるとして、このエクササイズの後の本格的なエクササイズはどんなのをやればいいの?」

そう聞くとピバちゃんはキョトンとした顔で

「エクササイズは当分はこれだけで良いわよ?」

「え?さすがにこれだけじゃ痩せないでしょ!筋トレとか有酸素運動は?」

「骨盤がニュートラル位置に戻ってない状態で筋トレなんかしたら、体は使い慣れた筋肉を無意識に使ってしまいやすいから、筋トレ中に骨盤が元の癖に戻っちゃうわ。とりあえずは骨盤エクササイズだけで良いわ。」

「じゃあ、痩せるのはまだまだ先かあ。」

「っていうか香織も育江ママも体重が重いから食事管理である程度体重を落として軽くしてから本格的な運動に入った方が良いわ。体重が重いまま下手に筋トレや有酸素運動すると関節痛めるわよ。」

「そっか、そうだよねえ。やっぱり食事制限かあ。やっぱり鶏むね肉とブロッコリーみたいな食事がおススメ?」

「ダイエットの王道でそのメニューよくあがるけど、毎日同じような低カロリーの食事続けて何が楽しいのよ。」

「楽しいのよって・・・別に楽しくないけどさ。」

「目標体重まで落ちてもその後もその楽しくないメニューを続けていくってんなら良いけど。美味しいものをたくさん食べたいって思うなら、美味しいものを食べても太らない食べ方をマスターした方が良いわよ。ダイエット期間中のみストイックな食事内容なんてリバウンドフラグびんびんじゃない。」

「じゃあ、食事管理ってどうすればいいの?」

「それは夕食の時にゆっくり話すわ。育江ママ!今までどんな食事をしていたか見たいから、今日のメニューはいつも通りで良いわよ。」

このカピバラ、家で夕食まで食べる気か・・・。

「ピバちゃん、夕食準備するのは良いけどピバちゃんの分はどうしたら?・・・カピバラって何食べるの?・・・草??」

「育江ママ・・・私はね、喋れるし、二本足で立てるし、文字も絵も描けるのよ?普通のカピバラじゃないの!!だから育江ママ達と同じメニューで問題ないわ!!」

改めて聞くと確かに普通のカピバラじゃない。カピバラの皮を被ったオカマだ。


カピバラと囲む食卓・・・シュールすぎる・・・


もうすぐお父さんが帰ってくる・・・。

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