【12】ダイエットでプールを活用したいなら知っておくべきこと
↑前回記事の続き
「プールって全身運動でしょ?ダイエットエクササイズも部分痩せエクササイズより全身運動の方が痩せるって言うのに、なんでダメなの?」
お母さんが身を乗り出して聞いた。
「ダメではないの。ただ、プールエクササイズのやり方を間違えると脂肪が付きやすいって言ってるの。ちゃんとやれば陸上運動より関節に負担をかけない上に常に体に水圧がかかっているからマッサージ効果もあって、しなやかな体になれるわ。」
「プールエクササイズのやり方を間違えるって、そんなに間違うことある?さっきプールなら歩くよりガシャガシャ泳げって言ってたけどガシャガシャ泳ぐ以外はダイエット効果ないってこと?」
「まあまあ、順を追って説明するわね。プールの水温って大体どれくらいか知ってる?」
「プールなんて香織が小さい頃一緒に行って以来行ってないから・・・何度くらいなんだろ?香織分かる?」
「あ~なんか高校の時にプールの水質検査、先生に言われてやったことあるなあ。その時水温も測ったけど・・・28℃とか・・・それくらい?」
「正解よ。選手が使うような競泳用プールだと25~28℃で大体27℃くらいに設定されていることが多いわ。スポーツクラブみたいな一般人が泳ぐところでは28~29℃くらい。泳がず水中ウォーキングがメインになるプールは32℃前後ね。」
「その水温がなんか関係あるの?」
「つまりプールは人間の体温よりも低い温度で設定されているでしょ。プールに入ると体温が奪われるから、体温を保つためにエネルギーをどんどん産生しはじめるのね。」
「プール入ると運動しなくても体温維持のためにエネルギー消費するってこと?じゃあ、全然良いじゃん!!それでさらに水中で体を動かせばエネルギー消費上乗せでダイエットに最適じゃん!」
「そう。体温維持のためにエネルギー消費するわ。泳ぐことで筋肉を使い、筋温が上がって体温が上がれば体温維持のためのエネルギーは不要になるけど、タラタラ歩く程度の水中ウォークでは筋温はなかなか上がらず、体温維持のためのエネルギーは産生され続ける・・・わけじゃないのよ!!!」
「エネルギー産生され続けられないから、寒くなってすぐにプールから上がって運動時間が短くなるってこと?」
「ぶぶー。違います!人間の体の自己防衛本能は賢いの。体温維持の方法は体温を奪われた分エネルギーを産生することだけじゃないのよ。毎回毎回水に入って体温を奪われることが続くと
体温を奪われてからエネルギー産生は効率悪いから、体温を奪われにくくしよう
って体は考え始めるの。」
「体温を奪われにくくする?そんなことできるの?」
「香織、寒い時暖房器具は点けちゃダメって言われたら、寒さ対策どうする?」
「えっと重ね着して分厚いコート羽織ったりする。」
「それと一緒。体も寒さから身を守る為、脂肪というコートを体につけようとするの。」
「体温が奪われないように皮下脂肪が分厚くなってくるってことか・・・。」
「ペンギンやアザラシの体脂肪率は40~50%と言われているわ・・・。毎度毎度水中ウォークでタラタラ歩いているだけだったら、トドやアザラシのようになるわよ。」
冷たい場所で暮らし、冷たい海にも入るから脂肪率が高いのか・・・。ただでさえだらしなくなったこの体が・・・トドやアザラシのように・・・。
「じゃあ、速く泳ぐことしないとダイエットにはならないってことかあ~。せっかくスポーツクラブのプール使ってみようかなってやる気出てたのに。」
お母さんががっくりと肩を落とした。
「育江ママ、速く泳ぐことだけがダイエットのプール利用法じゃないわよ。水中でダイエット効果のある動きをすれば良いの。」
「ダイエット効果のある動き?」
「水中でダイエット効果のある動きのポイントはスピードよ!」
「スピード?だから早く泳ぐってことでしょ?」
「何も泳ぐことだけを指しているわけじゃないの。水中での動きをすべて速くするの。水中ウォーキングもウォーキングではなく早歩きにしたりね。水中で早く動くことにより筋トレだって出来るんだから。」
「水中で筋トレ?例えば?」
「例えば水を蹴り上げるようにして歩くと太ももの前側の筋肉のトレーニングになるし、後ろ向きで後ろに脚を蹴り上げながら歩けばお尻と太ももの裏側のトレーニングになるの。ただし、ゆっくりやると筋トレにはならないから、歩くのはゆっくりでも蹴り上げるスピードをとにかく速くするの。」
「なるほど。スピードを付けることによって水圧も高くなるもんね。水圧を負荷にするわけね。」
「そうそう。しっかり肩まで水に沈んで両手を前側に大きく交差させれば胸のトレーニングになるし、両手を広げて両手に水圧を感じながら体をねじれば脇腹の筋トレにもなるわよ。やりようによっては色んな筋トレが出来るの。」
「じゃあ、スポーツクラブのおばちゃんたちが毎日プールに通ってるのにブヨブヨしてるのは、ダラダラ歩くだけだから脂肪が厚くなっちゃったからなんだ。」
「まあ、健康寿命が長いと言われているのは脂肪がそこそこついたぽっちゃり体型だし、ぽっちゃりはしているけど関節の負担にならない運動を毎日しているから健康体ではあるだろうし、高齢者の健康増進という意味では良いんだけどね。
ダイエット目的でプールで運動したいって言うのならダラダラウォーキングじゃ逆効果ってことよ。」
「じゃあ、プールでダイエット目的の運動するってなったらキャッキャ言うような運動じゃダメってことかあ。水中ウォーキングとか水中エアロやってみたかったんだけどなあ・・・。」
お母さんは多分一人で黙々と運動するのが苦手なんだろう。プールはやってみたいけど、思ってたような雰囲気ではないのでプールへ行くのをためらっているようだ。
「良いじゃない、育江ママ。スポーツクラブに入会してプール通ってみたら?水中ウォーキングや水中エアロも受けてらっしゃいよ。水中ウォーキングならみんなが2m進むうちに育江ママは5m進んで、水中エアロなら育江ママだけ2倍速で動けばいいのよ!」
そんな生徒さんがいたら、インストラクターさんはさぞかしやりにくいだろうなと思った。
結局お母さんは私が一緒にプールに行く気になるまで待つと言い、今回はスポーツクラブへの入会を見送った。
だけどピバちゃんは2倍速ウォーキングと水中エアロをメチャクチャ勧めてた。「想像したら見ため的にメチャクチャ面白そうだから。」という理由で・・・。
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