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解剖学を関係性で考える〜仙骨と腰のカーブ〜

今日はカパンディ関節の生理学の本を参考に仙骨を考えてみたいと思います。解剖学は暗記科目という印象を持つ方が多いですが、実際に触ってみたり、本を読んで、想像をすることでその骨の個性や役割が少しずつ見えてきます。

仙骨
仙骨は骨盤の中心を構成する骨で、腰椎の下、尾骨の上にあります。
両手で骨盤を触り後ろに手を回すと触れられる骨です。
触ってみると多くの人は平らな骨に感じますが、実際の体では仙骨はどうなっているのか、上下の骨とどんなふうに連なっているのかを考えてみましょう。

断面でみる仙骨

こちらの図からは仙骨は前傾していることがわかります。
触ると感じられた骨の部分は仙骨の下側、後ろの出っ張り部分でした。
仙骨はアイスクリームコーンのように平らな面で腰を受け止めていないのですね。前に傾いた仙骨には、前弯する形で腰椎が連なります。

さて、仙骨が前傾し、そこに連なる腰椎が前弯しているとしたら、正しい腰のカーブってなんだろうという疑問が湧いてきます。
腰椎を前弯すればいいのか、骨盤を前傾したらいいのか、いやいや骨盤の中で仙骨が自然と前傾しているのか、、、
そもそも腰のカーブがずっと固定されることは現実的ではなく、前屈みになったり、腰を反って見たりといろんな姿勢を行ったり来たりしています。

正しい湾曲の姿、傾きを追い求めるのは現実的ではなさそうです。
じゃあどんな仙骨がいいかと言われたら、いろんな力を許容できる仙骨が良いのではないかと思います。

例えば、寝ているときに比べ、立っている状態では、前に倒れた仙骨はその上端に連なる腰椎からの力を受け、身体を支えながらも少し前に撓みます。(上図の矢印P)

次に仙骨の背面を見てみると、この前方にかかる力に負けないようなつくりがみてとれます。図の数字は靭帯という軟部組織です。
靭帯はテーピングのように骨と骨を硬く結び付けながらも、多少の遊びを許容します。

一方で、この靭帯や筋膜が多少の遊びを許さないと仙骨と腰椎の撓むことができず、力の分散が適切に行われなくなることもイメージできます。
腰のトラブルは、仙骨の不寛容さが引き起こす可能性も見えてきますね。
最近、MLBで活躍するダルビッシュ投手が仙骨枕で調子を回復した話を聞きましたが、仙骨周りが寛容さを保つことの重要性を示唆しているなと思いました。

仙骨とその周囲の関係性や力のかかり方を想像すると、その周囲のつくりがなぜそうなっているのか、そして、トラブルを引き起こすような1つの仮説が見えてきますね。

今回は仙骨という骨を中心に骨盤や腰について考えてみました。
また、不定期ですがこういった投稿もしていこうと思います。


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