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「いや、そういうことでは、ないんですよ。」

当社は訪問看護ステーションだけれど、看護師のみの事業所ではなく、理学療法士・作業療法士・言語療法士などの他職種と言われるスタッフが大勢所属している。しかも、看護師の数より多い。
私は、本部と2つのサテライト(企業でいうところの営業所のようなもの)全体の看護部門の副管理者だけれど、それぞれの事業所には責任者がいる。

サテライトは数年前、リハビリ部門が先行して開設して訪問業務を軌道に乗せてきた。看護部門は本格的に始動して1年になる。
1年前、看護部門開設当初。サテライト責任者の彼を始めサテライトの雰囲気は、いわば新参者の私たちを歓迎しないムード満点だった。それでもこの1年間、サテライトの看護部門業務開始にあたり、彼とも話し合いを重ね、看護部門が軌道に乗るよう、少しづつお互い歩み寄ったつもりでいたし、協力して業務を行う基礎ができたと思っていた。
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新年度が始まり、新入社員さんの研修や新規ご利用の打ち合わせなどで忙しく、数日ぶりにサテライト事業所へ行った時の事だ。

詳細は控えさせていただくが、責任者の彼が看護スタッフに対してとった行動と指示が「それはないだろう」と思う内容だった。
彼の業務の利便性のみを最優先にしてはいないか、また事前に看護スタッフに打診して同意を得た上での事なのか疑問だった。彼からはのらりくらりと返答があったが、それは「いや、そういうことでは、ないんですよ」と言いたい内容ばかりだった。

私は、彼がサテライトの看護スタッフに対してとった行動が大変不快だった。それから、この1年一緒にやってきて、私はサテライトをここまで軌道に乗せた彼の能力や良いところも理解したつもりでいた。それなのに…。少々、感情的になりながら抗議した。

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1つ思い出した。
次男が小3くらいの時、男友達との遊びがエスカレートし、次男は随分我慢していたのだが、ついに我慢しきれなくなりお友達に「グーパンチ」をお見舞いしてしまった。
しかも顔面…。
幸い怪我は無かったものの、学校の担任から連絡が入り、先方に謝罪する事態となったことがあった。

次男の話を聴いていると、次男が腹を立てるのもやむを得ない経過だったが、私は次男に「腹が立ったのはよくわかった。だけど、手を出したことはあなたが悪いよ。明日、ちゃんと謝りなさい。」と話した。
翌日の朝、次男は少し元気がなかった。
でも、
「お母さん、俺、ちゃんと謝ったし、〇〇も謝ってくれたよ!
俺ら今まで通り友達だよ!」と元気に学校から帰ってきた。

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次男は
「俺、グーパンチした。でも、ちょっとだけ優しくグーパンチしたんだよ。」と言っていた。グーパンチに「優しく」とかはあり得ないが、彼なりに手加減をしたらしい。

私もやってしまったのだ。
「言葉のグーパンチ」
彼にお見舞いしてしまった。しかも手加減なし。(注:言葉の暴力という意味です。念のため)

経過が納得いくものとはいえず、彼の看護スタッフに対する理不尽な言動に腹が立った。でも、彼に対して感情的に発言をしたことは私が悪い。
1つの出来事で崩れてしまうような、そんな1年を過ごしたわけではないはずだ。

誰も私に言ってくれないから、自分で自分に言う。

「彼に会ったら、ちゃんと謝りなさい。」

次男みたいに、ちゃんと謝れるかな。

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