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私にできること。

訪問看護ステーションの事務所内でスタッフ同士の濃厚接触を避ける為、事業所の滞在は最小限にし、直行直帰・自宅待機・業務SNSでのやり取りという業務体制を始めてから、もう2ヶ月が経つ。
看護師による訪問看護が必要な方は、「新型肺炎のため利用休止」と言う訳にいかず、私たちは訪問看護を続けている。
しかし、新型肺炎の猛威は一向に衰えない。
連日、メディアから流れてくる状況は厳しさを増すばかりだ。

リーダーから報告があった。
事務所でスタッフがリーダーに向い、
「私が訪問に行っていいのでしょうか。免疫力の弱い利用者さんばかりなのに。(もし万が一、自分が感染していて利用者さんにうつしてしまったら)と思うと怖いんです。」そう言いながら泣きじゃくっていたそうだ。

出勤の前には検温・体調確認し報告。体調不良者は出勤せずお休みしてもらう。もちろん、泣きじゃくっていたスタッフとそのご家族に発熱や体調不良があるわけではない。訪問中は標準予防策を行っている。
そして看護師だから感染予防の知識も技術もある。
だけど、不安なのだ。
だから、不安なのだ。
業務中はいつも以上に緊張感を強いられている。
緊張感や精神的疲労が長期化し、蓄積している。
この大きなうねりの中に飲み込まれそうになり、看護師としての無力を感じることもある。
昼食を食べながら、ミニカンファレンスもしばらくやっていない。
「今日、こんなことがあってね・・。」と仕事の愚痴や相談も言えてない。
多分、彼女だけでなく、程度の差はあるかもしれないがスタッフは皆感じているだろう。
それでも、皆、黙々と業務に当たっている。

正直、私も同じくガス欠になりそうだった。
「仕方がない」
そんな思いがちらちら横切る。


「もういいや。と思ったらおしまい。私は私のできることをやる」
それが私の理念だったはずだけれど、人間って、すぐに忘れてしまう。
でも、スタッフが思い出させてくれた。

明日から、また、私は私のできることをやります。
おやすみなさい。


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