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地震 雷 火事 車

鉄道がすきだったころ、くるまに乗ることなど考えてもみませんでした。

高校を卒業する年に父が旅立ち、途方に暮れた時に、父の代わりをしてくれる恩人に出会いました。ぼくが大学へ通いながら働く新聞販売店の所長だったそのひとに自動車免許をとってくるように勧められました。お金はいつでもいいからと。19歳のとき初めて免許を取得して、もう30年以上もハンドルをにぎっています。

中古車を2台乗り継いで、はじめて新車に乗ったのが2000年。

その5年前に阪神淡路大震災を経験しました。あの衝撃は一生忘れることはできません。西の方から地鳴りがひびいてきて目が覚めた瞬間に大きな縦揺れがありました。数時間後テレビにもえさかる神戸の街が映し出され、この世の終わりかとさえ思いました。数年間は鮮明に思い出し、今も心の傷として残っていることがあります。

車を新しくするときに考えたことは、どんな道路状況でも走れること。家の代わりになること。そして選ばれたのが「まんじろう」です。遠くへ旅に出られるようにとつけた名前です。ジョン万次郎のように。沖縄をのぞく全国を走ってくれました。19年間22万キロ。いまはロシアの大地で活躍しているでしょうか。シルクロードを走っているかもしれません。

環境のことを考えると電気自動車が良いのかもしれません。それも考えたのですが、次の車はクリーンディーゼルにしました。環境にも少し配慮した形ですが、車に乗っていること自体が地球にやさしくないのも承知しています。ただ、車が社会を支えているのも事実ですから、中庸をめざす凡人としては、打算的に自分の生活を優先してしまいました。お許しください。

そして、旅をつづけます。だれかのためになるように。自分自身をみがくために。家族を喜ばせるために。
家族が増えることはもうありませんが、家族以外の人にも乗ってもらおうとおもっています。いま10歳の我が家の天使は、運転する気まんまん。力強い次世代ドライバーが8年後に生まれます。受け継がれる車「でんじろう」。

「まんじろう」の魂をうけついでいます。だから「でんじろう」。電気自動車にも負けないくらい力強く走ってほしいと思います。どこまでも遠く。
家のように、ひとのために。地震で経験したことをわすれないために。



風にのり 走る坂道 峠道 悪路も雪も こえて旅ゆけ






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