2020年に300冊ほど読んだ本の中から目を見張る6冊
毎年100冊は本を読む。去年、特に楽しく読んだ本を6冊選んでみた。
偶然の科学
常識になっている世界を改めて整理する社会学視点。
物事は予測しても確率通りにいかないし歴史はくり返すというが、全く同じことは起きない。歴史は同じようには繰り返さないが韻を踏むの視点が学べる。
人の心理を見直し予測できないことを認識し自分を信じずの視点。測定不可能だった世界を測定していくしかないと言うことに気がつくことができる。そして測定だけでもダメで実験するしかない。その繰り返しでしかない。
循環論法に陥る結論のありかたを認識していくしかない。ブラックスワンもその先の未来を予測(予言レベル)できなければ意味がなくブラックスワンは予測できないからブラックスワンとも言える。
反脆弱性のように反常識という視点が腑に落ちる。戦略を立てるときは戦略パラドクスがある前提で考えたいものだ。人間の常識と戦うために測定可能な世界にしていくしかない。
おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係
今の時代はセルフ解決の時代。
電話ではなくサイトでの解決を望む。それが叶わないから仕方なく電話という時代。その転換点に加えロイヤリティを足し算で考えてもコスパが悪いので、いかに顧客の問題を早期解決するかにかかっているのが昨今と。
これこそがカスタマーサクセスだとパラダイムシフトを感じる一冊。データ重視が好感。タイトルが秀逸だが実際の中身のイメージにつながらいのがややもったいないのでまずはページを開いて欲しい内容。
お金は寝かせて増やしなさい
インデックス投資の最強さを15年の投資経験という実績で語る分かりやすさ満載の良書。
アセットアロケーションにドルコスト平均法と投資の真の意味を伝えている。素人にはこれしかないのだ。これこそが投資なのだ。
老後を目安に引き出す際には債券重視や定額ではなく定率の考えに納得。積立NISAは個人的には商品の選定バランスに懐疑的(※注1)だがこれほどわかりやすく投資を語る本もなく現代の複利の効果が遺憾なく発揮されている。
投資が当たり前になる世の中にようやくなってきたからこそ、実践者から学ぶノウハウは人に投資を進めるときにも役立つ内容だ。
※1 私もNISAをやってはいる。ただし、積立NISAが懐疑的という意味。その上でロールオーバーを意識して、NISAで積立を実現している。厳密に違うのと説明が難しいのでここでは注意書き程度。
脳を鍛えるには運動しかない!
現代科学の進化を語る上でかかせない名著。
運動効果がもたらす直感的な効果を脳科学と神経生物学の視点から解き明かす。2000年代に入ってから科学の持つ強さと進歩を証明する一冊とみる。
論文ベースの積み重ねから様々な効果がわかってきた。それを知る手がここにある。運動が生きるために必要だとわかり、産後うつも更年期障害も骨粗しょう症もストレスの捉え方も認識が変化すること間違いなし。
運動視点は有酸素運動と筋トレは取り入れていたが、無酸素運動の全力疾走と目安となる負荷を高めた心拍数計測は取り入れる。加えてバランスと柔軟(ヨガが向いていた)は重視したい。
なお、その実現には今はリングフィットが最適だという結論を得たとみる。
才能をひらく編集工学
編集をエンジニアリングする。
編集工学と名付けた分野の今を語る。私は論理飛躍や例え話にずらしと笑いが大好きなのだが、その思考体系はここで書かれたものに由来することがわかり言語化できた。
アナロジーの仕組みとして中間記憶持つ読み手にナラティブに神話を誘うようにひきこむためには、必ず類推となる違和感に気づくアブダクションが必要だ。といったところか。
長期記憶に物語が必要なように序章に打たれた句読点。に目がいく。分けることがわかることとして、参考になるフレームワークが実践向き。特に三点思考の型は自分にない思考だったので試したい。
編集が力を発揮する時代だと見えてくる。
幼少からお笑いにふれていると、この編集という力はつきやすいのかもしれないと感じた。自動的にアブダクションするというかアナロジーのみの会話を自然とするような気がする。そんな発見がある。
著者が一部noteで無料公開している。
10年後に食える仕事 食えない仕事
非常に現実的な昨今のAI解釈。
納得の一言。そしてコロナ前の2020年1月発行がポイント。日本のIT化の遅れは本書の指摘どおりだが、激変の時代を迎えたことで一気に加速するとみている。
その視点で本書の悲観箇所を丁寧に読み取っても楽観的に見積れるとみている。つまり、日本の未来は非常に明るいというのが個人的な主観。それぐらいコロナの影響は大きいとみている。
生産性なんか簡単にあがるはずだ。実現不能のような数字が掲げられた2025年までに一気にIT化が進む楽しい時代になると本書の悲観に反して感じることができる。
それだけ判断材料になる話があり、今のところうまくいくとみていると本書より感じる。ただ、世の中の二極化は避けられないだろうし、ディストピア感に確実に近づく流れは今後の政治情勢次第だろう。
なお、作者の批判を超えた悪口気味の口調が耐えられない人には読みづらいのが残念な点。そこまで言わなくてもという激しい嘆きが多い。
本は気軽に読めばいい
本は熟読し知識となり実戦となりとなるものにであることが大事だと感じている。
本は出会いなので、合わなければ合わないでいい。紹介した本も2020年発行の本も二冊だけ。
ただ出会いを求めるならたくさんの本に出会えば自然とたどり着くと思っている。そのときそのときにほしい情報というのは時代と年齢でも変わる。
たくさん読めばいいというわけでもない中で、それでも2020年は過去に比べてけっこういい本当の出会いができたと思っている。
本の読み方は上記にまとめたが多読を通じて乱読化するのに図書館が今も大活躍している。今後も本を買って借りて読んでの生活を続けたい。