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DevRelによる信頼構築とデータ駆動で変わるエンジニア採用:仮説検証の補足

LT以外で20分近く人前で登壇したのは10年ぶりかもしれない。


DevRel/Tokyo #92 〜採用とDevRel〜

DevRel/Tokyoのコミュニティで採用をテーマに登壇した。5/8の出来事なのに、気がつけば三週間も経過していた。遅まきながらではあるが、発表者視点での考えと構想の補足をここにまとめてみる。

今回のテーマは「採用とDevRel」

今回は、採用文脈でのDevRel活用について、その経験をシェアしてもらいます。エンジニア採用にお困りの方々にとって、役立つ知見が得られることでしょう!

引用:DevRel/Tokyo #92 〜採用とDevRel〜 - connpass

このテーマでお誘いを受けて、気軽に二つ返事をして登壇が決まった。私はDevRelかつエンジニア採用を担当していたので、その知見がお役に立つのであればと思い準備を進めた。

DevRel視点で採用のお話をまとめた資料がこちら

タイトルは、DevRelによる信頼構築とデータ駆動で変わるエンジニア採用。中身は、DevRelの活動はあくまでも間接的な効果を期待しており、採用はその活動の結果の一つであると伝えたかった。

準備段階では、エビデンスベースドマーケティングの考えをDevRelに転用したいと考え、持続的活動による認知の想起が重要だと結論づけた。

広く認知されているか?ユニークか?

この辺りの話を盛り込みつつ、現場のチーム状況を前提に、採用を担当していたお話をまとめたつもりだ。採用ファネルに照らすと、関わるターゲット対象のフォーカスと、横断によるデータ活用のメリットを伝えたかった。

課題としては、やるべきこととやらないことをリソースに基づいて優先度付けしたが、あれもこれもやりたいというシーンが多々あった。それでも、常に何をやらないかを考えることを重視している。

データによる意思決定と仮説が行動につながる

当日は、「仮説はどうしているのか?」という質問を受けた。

後半の話の中心がデータ活用であったが、確かに仮説の文脈がスライドでは抜けていることに気が付いた。仮説をもとにアンケートをとった話を事例に質問には回答したが、ここでは少し仮説について補足をする。

採用マーケティングファネルはモデル

応募者の認知から内定、そしてその後の活躍に至るまでのプロセスをモデル化したものが採用ファネルだ。各フェーズ(認知、関心、応募、選考、内定、入社、活躍)を意識して、採用およびDevRelの活動を実践した。

モデルは仮説を検証するためのツール(手段)である。採用ファネルを元に、各フェーズで行動したことをデータ分析することは、モデルを基に仮説検証をしたと言える。

また、あくまでモデルなので、他のモデルやアプローチがより適しているかを判断する助けにもなる。そのため、各フェーズの歩留まりや数字に注目することが、次の行動につながる仮説検証となる。

仮説の行動がデータ収集となり、検証サイクルを産み出す

量による質の最適化

例えば、スライド資料より、面談の量による質の最適化の話を挙げている。

面談も仮説を元に実施していることに気が付く。候補者をお客様視点で捉えた時に、どのように話をするのか聞くのかを常に考えている。相手の気持ちに沿った準備ができているかどうか、これも仮説を用いていると言える。

この行動一つひとつつがデータである。しかし、面談を1,2回したぐらいだと点と点にすぎない。10回は行動すると傾向が見えてくる。その際にA/Bテストっぽいことを行うことで、仮説検証となる。

無意識に、もっとよりよくするにはと行動しているはずだ。そのデータをふりかえることで再現性と精度を高めることができる。これが、モデルを元にした仮説検証ではないだろうか。

この補足を通じて、自分自身も「まさしくそういうことをしていたんだな」と気が付いた。量による質とは、この改善サイクルを作ることができるからだと言語化することができた。

具体的には、半年で約100回のカジュアル面談を実施したことで、選考率や内定に至るまでのプロセスやコストを数字として表にまとめることができた。他の人が同様の活動をしたときの助けになるように。

ワークショップを通じて定性と定量の観測を意識する

仮説あってのデータ活用。

特にアンケート設計においては、仮説を揃えてからアンケートを取った。つもりだが、果たしてできていただろうかとスプレッドシートでピボットテーブルを作っては傾向を探っていた。

アンケートはサンプル数が重要であり、10人程度では量が少なく相関を語りづらい。そのため、定量と定性を意識し、定性を促す質問の設計も重要だと感じた。

その後の、別のワークショップでもアンケート設計の難しさを痛感し、定量と定性のデータを集める難しさに何度も遭遇した。

参考文献からの学びは学習転移の考え方

そんなときに以下の本に出会った。

研修開発入門 「研修評価」の教科書 「数字」と「物語」で経営・現場を変える。この本のおかげで、アンケート設計の基本をアカデミック視点で得ることができ、実践と照らして仮説を評価することができた。

ちなみにこちらは研修とあるが、研修効果も間接的効果であり、行動に注目する点は、DevRelにおける採用視点につながると感じて読み進めることができる。

研修転移を定性的と定量で測る。この考え方は、認知と関心の往復を計測するのに参考になる。アンケートは満足度だけでなく、アカデミックな力を少し借りて現場に沿わせたい。

設計時はROIやROEも気になる歴史も語られているが、研修を通じた学習がいかに行動に移ったかに注目している。これは、そのままKPIをどこにおくかを意識したDevRelや採用の活動にも通じる考え方に思う。

なお、私が開催したワークショップは、リマインダーで研修効果観測してたので、質問事項をより絞って考えてみたいと思うようになった(ワークショップについてもどこかでまとめることができればと思っている)。

このようにアンケートの是非についても意識することで、DevRelや採用での活用の幅を広げることができるのではと考えている。まずはデータを取るの前に仮説をとなり、問いはとなり質問の設計の必要性を感じている。

ついつい順番を逆にして行動してしまいがちだが、前提は常に仮説あっての検証であり、そのための情報収集でありデータである。観測から認知を通じて行動によるテストを再認識し、思考サイクルを回すことが重要である。

これが私のやりたいことだと気づいた。

さいごに

仮説検証の補足をまとめるなかで、自身の活動をふりかえることができた。

DevRelによる信頼構築とデータ駆動の重要性を再確認し、持続的な取り組みがエンジニア採用の成功につながることを実感している。これからも仮説とデータを活用し、より良い採用活動を支援したい。

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