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ぬいぐるみの出世を祈る

こんにちわーに。ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。

たくさんのぬいぐるみと暮らす我が家、新しい仲間を迎えると、訪れる場所がある。成田山は新勝寺の敷地内にある、「出世稲荷」だ。

今年の6月、せっかちな梅雨が明ける直前のこと。縁あって、アザラシの鰒太郎(ふくたろう)を我が家に迎えた。
彼のいろいろと苦労が多かったであろう生い立ちは一旦置いておき、これから、彼の新しい人生(ぬいぐるみ生)を迎えるにあたって、彼のこれからの健康と活躍をお願いしに行くことにした。

たまたまこの日は、成田祇園祭の週末だった。早朝に目覚めた我々は、思い立ったが吉日、と急いで家を出た。成田駅に着いたのはまだ朝8時過ぎのこと。思いの外人出は全然なく、表参道をグングンと歩くことができる。そう、祭りの朝は、意外と静かなものだ。

"祭りの朝だというのに、意外と静かなものだ"

総門をくぐり抜け、いつもコースをめぐった後に、出世稲荷までやってきた。ここはお不動さまのお庭の中にある神社なので、いわゆる神仏習合のもとに建てられたお稲荷さんということになる。
神社といえばの二礼二拍手一礼ではなく、静かに合掌をするスタイルだ。

「さ。フク。手を合わせるよ。」

鳥居の前に立って、私は鰒太郎を抱っこする。鰒太郎は、アザラシだ。手がとても小さく短いので、合掌することは叶わなかった。でも、代わりにニンゲンの私と、同行してくれた見守り役の他のぬいぐるみたちが一斉に合掌をして、鰒太郎のこれからの活躍をお願いした。

「鰒太郎が、無事に出世しますように。」

私は、新しいぬいぐるみを迎えるたびに、彼らの出世をお願いする。出世、といっても俗に言う昇進や昇給、肩書や知名度の向上を意図するのではない。
文字通り、世に出る、ということ。
鰒太郎が、単なるアザラシのぬいぐるみという物体を超えて、人格(ぬいぐるみ格)を備えて、他の人に知ってもらい、社会に出てお友達を作れるように、という願いを込めている。私は、彼らの出世の手助けをするまでだ。写真を撮って記録したり、彼らのコトバを翻訳したり、気持ちを代弁したり、ときには彼らの悩みも聞く。・・・逆に、彼らに私の悩みを聞いてもらうことのほうが多いことは秘密だ。

出世稲荷のキツネさんの前で、スゥと息を整え、手を合わせる。

鰒太郎、出世しろよ。

Rin(リン)

"参道でちゃっかり御神酒もいただきましたよ(長命泉の「吟ロック」)"


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