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かなしい坊主のものがたり


結論から言えば、また坊主頭になった。   「なった」というか、ならざるを得なかった。半分ノリだけど、半分マジ。みんなも髪染めるときとか、8割ノリだろ?

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事件が発生したのは兵庫県尼崎市潮江の路上。9月23日午後4時50分頃、道を歩いていた小学校6年生の男児に対し、顔を拳で殴った疑い。(中略)警察によると、男児は友人2人と自転車に乗りながら、「はげ、はげ、はげは嫌い」と歌っていたそうで、55歳男はその歌詞が自分を揶揄されたものと考え、暴行に及んだという。

出典:「はげ、はげ、はげは嫌い」と歌った小学6年生にラリアット 55歳無職男に「器が小さい」の声, Livedoor news, 2020年10月8日 from https://news.livedoor.com/article/detail/19022564/


わたしも年齢に対してかなりハゲなので、耳が痛いニュースだけど、これは殴られるだろ感がある。この小学生が悪い。まあでも殴るのはよくないな。「はげ、はげ、はげは好き」という必要は全くないが、面と向かって嫌いは駄目だよな。ハゲじゃなくても言っちゃイカン。ハゲもブスもデブも紛れもない事実かもしれないけど、無理に本人に言う必要は無い。それがある種の優しさだろ。

わたしと坊主頭との付き合いは長い。たしか初めて坊主頭にしたのは中学2年生の時のことだったと思う。どうして坊主頭にしたのかなんて覚えていないけれど、坊主頭という特殊性、そこに魅力を感じていたんだろうな。14歳というまさしく中二病真っ盛りの時期に、みんなとは少し違う異質さを身につけること、それが自分にとって坊主が持つ意味であり、坊主になったきっかけだったんだと思う。

最初は軽い気持ちで始めた坊主だったけど、坊主であり続けるうちに、坊主は自分のアイデンティティになっていた。学校では「坊主=わたし」だったし、「わたし=坊主」だった。

坊主は威圧感こそあるものの、やはり目立つので覚えてもらいやすいという利点もあり、坊主をやめることはなかった。そんなわけで高校3年生まで坊主頭だったが、高校を卒業するとともに坊主も卒業した。アイデンティティを壊すことにはなるけれど、大学からは坊主ではなくまともな髪型でいこうと思っていた。

しかし、大学に入る頃、髪を伸ばしていくうちにある事実が発覚した。髪が薄いのだ、特に頭頂部から前部にかけてが。正直信じられなかった。確かにわたしの家はハゲ家系だし、父はわたしが物心ついた頃にはすでにハゲていた気がする。今となっては剃っているわけでもないのに頭の毛がほぼ無い。

そんな父を見ていたから、「ああ、いつか自分もこうなるのだろうな。」という気持ちは常にあったし、そうなる心の準備も出来ていたはずだった。

でも、いざ現実を見なければならなくなるとやっぱり心が耐えられなかった。ハゲる覚悟はあったが、もっと遅く来る物だろうと思い切っていたのよ。あまりにも来るのが早すぎるじゃろ。準備、シミュレーションをしても、予想外のことが起こると修正出来なくなってしまう。咄嗟の対応力の無さ。

そもそも高校3年生まで坊主だったため、いつから髪が薄くなり始めていたのかわからない。もっと前から薄かったのかもしれない。俺は「生まれながらの将軍」ならぬ、「生まれながらのハゲ」か? あんまりじゃないか。

「髪がねぇ」と毎晩枕を濡らしても、翌日髪が生えているなんてことは無く、大量の抜け毛が枕についてるだけだったし、病みツイートしてみてもイケメンが「どしたん?話きこか?」と聞いてくれることもなかった。現実はいつも厳しい。

まあわたしがハゲていようがいまいが、人からすればどうでもいいってのはわかるんだけど、自分の中でうまく飲み込めなかったのよな。あとハゲのネタは自虐で言ってもみんなあんまり笑わないのよ。かえって気まずくなるわけ。なんかハゲってセンシティブ度合いが高いというか、特に男はそのうち来るものみたいな感じだから笑いにくいんだろうな。ハゲは正直ならないように努力しても、いつか来てしまうんだろうし。9割遺伝的要因よ。

その点デブはネタにしやすいよな、デブは基本的に自助努力の欠如から生じるものだし。自分の経験上、自虐ネタとしてはデブのがハゲより使いやすいと思うな。自虐ネタなんてしないに越したことはないけどね。

まあしばらくの間、坊主以外でハゲているのを誤魔化す、もしくは直す方法を模索した。けれでも、これがなかなか難しい。まず思いついたのは発毛剤、育毛剤。でもあんなモノは意味が無いだろうとも思ってる。あんなので生えるなら満員電車であんなにハゲを見るはずがないのよ。あと高すぎだろ。足下見てきやがって。なーにがミノキシジルだ。

そういえば父も昔使っていたな…

それと「ワックスなどの整髪剤を使い髪を立たせて誤魔化す」という手法。信じられないかもしれないけど、わたしは1年中大量の汗をかく生き物だから、汗のせいでせっかく立たせたモノが倒れてしまう。すぐにハゲの「綻び」が生じてしまうんよ。

「綻び」が出ていないかを気にし続ける毎日は疲れるし、完全に自分を客観視することなど出来ないから、自分はそう思っていなくても「綻び」が生じている可能性すらある。松岡茉優ちゃんが「綻び」を繕ってくれないかな。まあ、あり得ない話だわ。自分の面倒は自分で見なければいけないのよ。


いくつか試したけど、「もう坊主しかない」、そう思わざるにはいられなくなってきていた。幸いなことにハゲているとは言えど、坊主にすればそこまでわからないレベルのハゲ具合であったし、中高の経験から、坊主に対する抵抗感みたいなものは自分の中にはなかった。わたしは頭の形がいいから、坊主似合うのよ。ないものを探すより、あるもので戦うしかないな。

きっと、髪を求めるからいけない。わたしが求めると、求めていたものは遠くへ行ってしまう。いつもそうだ。ならば、求めなければいいはずだ。求めなければ、今度はあっちからわたしを求めてくるのではないか?(そんなことは今のところ一度もないケド…😅💦) 

坊主にして、髪への執着を捨て、「髪など必要ありませんが?」とか、「まだ髪など生やしているんですか?」みたいな顔をしていれば、あいつは「俺が悪かった」と言って、帰ってくるかもしれない。あいつを待とう。あいつが帰ってくるのを。そうとでも考えなければ精神を保てないよな。


でも、やっぱりないものはないんだよね。ないことに悩むのも時間の無駄なんだけど、わかっていてもやっぱり悩むだろうな。だから自分に出来るやり方で今ある悩みを解消したつもり。

まあ今ある悩みを解消したところで、次なる悩みが出てこない可能性がないとは言い切れないし、坊主であることによってまた悩みが出てくることもあるかもしれない。悩みは誰もが抱えてるものだし、死ぬまで悩みは尽きないだろうな。

でも紛れもない事実として、わたしは悩みを軽減するために対策を打ったし、今は心が少しだけ軽い。

だから、もし坊主のわたしをどこかで見たら、「ああ、ハゲているのだなぁ」と思ってくれ。髪が生えますようにと手を合わせてくれ。わたしも皆さん(特に男)のハゲ化ができる限り遅くなるように祈っております。


 いや、やっぱりみんなにハゲてほしいな。早くハゲろ、ハゲに苦しめ。

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