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読書雑感 | 小川未明の「時計のない村」は普遍的であり、教訓も存分にある

「日本児童文学の父」と称される小川未明の作品の一つ「時計のない村」は、私が最初に読んだ小川未明の作品であり、同作者のうちで今のところ最も印象的な作品である。

児童文学ということがあり読みやすいので、子どもは然ることながら、大人が読んでも考えさせられる教訓めいたものを含ませているのが、小川児童文学の作品の最大の持ち味と言えるのであるが、この「時計のない村」はその最たる例ではないだろうかと思う。

とはいえ、これはあくまで私個人の意見としてであるのでほんの参考程度のものである。

話はとある村の二人のお金持ちが、それぞれ異なる時計を買ったので、これまで「時計」など無しに生活していた村人たちが大変なことになる。

まず互いの時計の指針が合ってないことから村内で意見が割れ、やがては派閥争いに発展するなど、新しい「時計」というものがきっかけで、これまで平和であった環境にいざこざが絶えなくなったというもので、人間の単純さ・弱さの点がより分かりやすく表現されている。

結局は時計を手放し、村に元通りの平安が戻るということなのだが、結局はいつも通りが一番良かったというこの下りが、実に私たち人間のよくあり得る行動を映しているのである。

以前この話を子どもたちに読み聞かせた時も好評であった。

小川未明にはまだまだたくさんの教訓が含まれた話があると思うので、少しずつ追っていくことにしたい。


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