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第55回理学療法士国家試験PM39


解説

運動生理学の問題の解説です!

Ramp(ランプ)負荷試験(直線的漸増負荷法):数秒から1分以内で負荷強度を少しずつ増やすことにより、ほぼ直線的に負荷強度を増加させる方法。
AT(無酸素性作業閾値)を求める負荷法として主に心肺運動負荷試験(CPX)に用いられる。
OBLA:乳酸蓄積開始点。4mmol/Lとは限らず個人によって異なる。
RC point(respiratory compensation point, 呼吸性代償開始点):アシドーシスの状態呼吸性代償(CO 2 排泄増加により)しようとする開始点で、運動負荷強度が生理学的に最大に近いレベルに達したことを示す指標です。
⇒換気の最大に近いレベル。
最大酸素摂取量は、乳酸とCO2 排泄量でLT・ATを診るものがある。場所としては同じです。

呼吸数:中等度の強度までわずかで、その後増加し最大50~60回まで上昇するとされているため、比例して直線的に増加するものではない。

酸素摂取量:フィックの原理により
『VO2=心拍手量(一回拍手量×HR)×動静脈較差』で示される。
運動時にはエネルギー需要が高まり、一回拍出量・HR・動静脈酸素較差の増大により酸素摂取量が増大する。そのため、正解は2番である。

分時換気量(VE):呼吸数×一回換気量(65%までは直線的)の式で表され、運動強度の増加に伴って分時換気量は増加するが、限界がある。
最初は直線的だが、AT後に傾きが大きい。

一回拍出量(SV):軽い負荷の運動から徐々に増加するが、速い段階でプラトーに達し、その後『心拍出量(一回拍出量×心拍数:HR)』の増加はHRの増加に依存する。
運動時には筋ポンプ作用が亢進することから、静脈還流量が増え、(スターリングの法則により)一回拍出量が増大する。
だが、SVは中等度強度までの運動では徐々に増加するが、それ以上の高い強度の運動では増加せず、若干低下する。

二酸化炭素排泄量:ATから急激に増加するため、直線的ではない。

参考文献
中村隆一・他:基礎運動学第6版第20刷、医歯薬、2020。
小山勝弘・他:運動生理学-生理学の基礎から疾病予防まで-、第1刷、三共出版、2013。

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