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リニューアルのコツとは?

先日、クライアントさんからリニューアルして新しくなった製品ブランド一式を頂きました。かっこいいシャンプー、コンディショナー、その他いくつもの素敵な製品が詰まっています。ブランドマネージャーの方の丁寧なメモ書きも頂きました。『たくさんのアドバイスをいただき、誠にありがとうございました。私の頭の中の整理はもちろんのこと、この先どんなブランドにしていきたいのか、そのために、チームメンバーはもちろん、社内外の方々にどんな発信をしていくとよいか自分なりに見えてきたように感じます。(9月3日に拝受)』。有難いことです。そしてリニューアルが完了し、いままで以上に魅力的になったブランドを見て、これからもっとシェアを伸ばすことを改めて確信しました。

リニューアルは製品戦略の王道とも言える手法です。元々はプロダクトライフサイクルの成熟期から衰退期に入る段階で「梃入れ」として行われるものでしたが、最近では原材料高による値上げを解決する方法としても再注目されていると言えるでしょう。日本では消費者価格を上げる時、消費者以前にスーパーなど流通で値上げを受け入れられないことが多い。8月22日の日経新聞によると食品の値上げはメーカーが表明する値上げ幅の下限にすら達しないブランドが30%にもなるとのこと。「ステルス値上げ(価格は変えず、こっそり量を少なくしたりする値上げ)」なども批判されるなか、既存製品の値上げが難しいのは変わりません。そこで製品自体をリニューアル、あるいは高品質な製品ラインを導入して価格をアップサイドに持っていけるようにするのです。

一方、値上げとは関係のない話ですが、ロングラン・ブランドほど定期的にリニューアルを行っているのも事実です。息の長いブランドはどうしても「おじさんブランド」「旧態依然」と見られるリスクがあります。デザイン一つとっても時代の感性から知らず知らずのうちに離れていく「経年劣化」もあるし、消費者が求める品質レベルも目や舌が肥えれば、これまでの受け入れられていた価値そのものが陳腐にもなる。そこで時代から取り残されないように、こまめにリニューアルするわけです。結果、ブランドをブラッシュアップし、顧客との関係性の鮮度を保つことになる。リニューアルはロングラン・ブランドにとって、一種の「健康維持法」なのです。

リニューアルのタイミングについてもお話しましょう。最も良いのは「売れている時に行う」です。売れている時はリニューアルなど必要ないように思いますが、実は「勢いがある時のリニューアル」こそ「今まで以上に売れるようになる戦略」です。ただしこの時のリニューアルは精々、リファインというのが相応しいような「変更レベルの小さなもの」です。コンセプトは変えない。ブランドの表現要素もあまり触らない。ロングラン・ブランドはこれをずっとやってきたし、これがロングランになった理由でもあります。逆に売れている時に「売れているから大丈夫」と油断して放置しておくと、ブランドは直ぐに失速します。落ちているブランドを立て直すのは実に難しく、よってどんなに売れているブランドも、それを続けるのであれば、遅かれ早かれリニューアルが大事になります。やはり日々の健康管理にも通じるように思います。