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視聴者は地上テレビ番組を見なくなっているのか?

総務省が2021年6月に発表した「メディア・ソフトの流通実態に関する調査報告書」によるとメディアは大きく「映像系」「音声系」「テキスト系」に分けられ、それぞれに属するソフトの市場規模は以下のようになっています。日本のメディア市場は約12兆円。そのうちの58%が映像系、35%テキスト系、7%が音声系です。映像系のなかでも地上テレビ番組は23%を占めますから、依然、テレビは生活の中心メディアと言えるでしょう。一方で、ネットオリジナルは4%程度なのですね。これだけみると大して大きくないように見えます。

図1

しかしサブスク型のオンデマンド配信は必ずしもネットオリジナル番組だけやっているわけではないことはご存知のとおり。そこでメディア・ソフト市場を「1次流通市場」と「マルチユース市場」に分けてみるとより実態がはっきりします。

図2

マルチユース市場とは、一つのソフトが最初に流通したメディアとは異なるメディアを通じて流通する形態を意味します。例えば映画はまず映画館で上映されます(1次流通市場)が、のちにインターネット経由のオンデマンドやDVDの形態でも販売されますね。これがマルチユース市場です。現在、ソフト・メディア市場全体の1次流通市場とマルチユース市場の比率は約3対1ですが、オンデマンドでよく見る映画などは3対7と、大きくマルチユース市場で使われているのがわかります。テレビは依然、1次流通市場が80%ほどを占め、20%がマルチユースで見ています。番組をリアルタイムで見る人が減ったとはいうものの、5人に4人はまだリアルで見ているのではないでしょうか。