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ブランドの旗色を明確にする

よく支援先企業の経営層の方々と「みなさんが今のポジションにいるうちに、この会社をブランド・カンパニーにしましょう」と話します。どのようなポジションで働く役員も、いまのポジションは一時的なもので必ず「次のステージ」があります。それは社長かもしれなければ、社外に求めることになるかもしれない。しかし、次のステージに行った時に、会社の部下や仲間から「あなたが役員で良かったです。あなたが会社を大きく変えてくれたから今の私たちがある」と言ってもらえたら嬉しいものです。しかも細々(こまごま)とした施策や仕事のスキームを変えるレベルではなく、もっと大きな「会社のあり方」を変えるような仕事こそ一流の経営役員には相応しい。逆に言えば、そのレベルの変化は現場スタッフや一般管理職には無理なのです。

先週のメルマガでも書きましたが、ブランド・カンパニーは「それに相応しい生き様や条件を備えている」が僕の見解で、それらが持続可能性の高いビジネスを生み出しています。今日はその一つを詳しく紹介しましょう。ブランド・カンパニーの特徴の一つは「強い識別性」だと言えます。つまり「旗色が鮮明になっているか」です。旗色とは「主張・メッセージ」と言っても良いでしょう。例えばAppleのThink differentのように「シンプルでわかりやすいメッセージ」を、あたかもそれが真実であるかのように言い切っているかどうかです。なぜ「旗色」と言ったかというと、このメッセージとは逆の主張も世の中には存在するからです。それらと対峙することをイメージした時、「旗色」というのは適切なメタファーだと思います。

立派な企業には立派なスローガンなりメッセージなりがあるものですが、果たして「旗色」と呼べるかどうかは別です。例えば大手都市銀行はコーポレイト・カラーこそ赤、青、緑と違いますが、そこにユニークなメッセージ性(旗色)を感じることは難しいのではないでしょうか。企業ブランドではあってもブランド・カンパニーとしては「何かが欠けている」かもしれません。僕が思うに、それは「偏ったメッセージ性」だと思います。ブランドとして生きていくには「一貫して偏ったメッセージ(旗色)を語り続ける」ことが大事でしょうね。人々が魅了されるのはそのようなメッセージで、逆にバランスの取れた「正しい主張」などには大して魅力を感じません。それでは人を動かせない。「シンプルでわかりやすい偏ったメッセージ」を断定してしまうこと。これがブランド・カンパニーの特徴のひとつです。