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わかるまで解説する人工呼吸器②SIMVってなに?

こんにちはムロです。
この資料はかつて行われたウェビナース2020というイベントの参加者に向けて事前資料として書いたものでした。
媒体を変え、繰り返し理解し、記憶に定着させることで少しずつ”わかる”にたどり着くのではないかなと思っています。
という前置きを置きつつ、さっさと本題に入りますね。
資料に対する質問についてはTwitterアカウントにて対応いたしますのでガンガン質問OKです。
5分~10分程度で読めますよ。

SIMVってそもそもどういう設定だっけ?

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SIMVとは
Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation
(同期式間欠的強制換気)
略してSIMVです。
名前からどういうイメージがわきますか?
新人の頃の僕はこう思いました。

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違うんですよ、奥さん。

ではここで、SIMVはそもそもどういう設定だったか振り返ってみましょう。

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はい人工呼吸器の画面を映してみました。
これは自発呼吸があるAPV-SIMV(PRVCとほぼ一緒)の患者さんの波形になります。
SIMVは動き方の一つなので、SIMVの中にもVCVやPCVがあります。
(今回のAPV(PRVC)についての説明は割愛。設定値はVCVで波形はPCVと覚えてもらえれば今は大丈夫です。)
SIMVやA/Cが動き方なら、VCVやPCVは空気の送り方という表現が近いのではないかなと思っています。
VCVやPCVについては過去noteを参照してください。
https://note.com/bmw_noter/n/ndff9b804cd96

では設定を確認してみましょう。

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ずらーっと設定値がありますが、それはひとまず置いといて…
SIMVの理解に必要な一回換気量(吸気圧)とサポート圧をまず確認してみましょう。

一回換気量が500ml、サポート圧は5㎝H2Oに設定されていますね。
これを実際のグラフィックモニターではどう映るのでしょうか。

SIMVで特徴的なグラフィックを理解する

まずは圧‐時間波形を見てみましょう。

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大きめの四角と小さめの四角がありますね。
この場合大きめの四角が一回換気量500mlによる調節換気で、小さめの四角がサポートされた自発呼吸になります。
極論この大きめの四角と小さめの四角が混在していれば設定を見なくても「ああ、SIMVかな?」とわかるようになりますが、わかっても特にいいことはないです。
ではこの調節換気と自発呼吸はどうやって分かれているのでしょうか。
そこにはトリガーウィンドウという機能が関わっています。
いきなり専門用語出てきましたが、特に難しくないですよ。

トリガーウィンドウってなんじゃらほい

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トリガーウィンドウとは換気回数によって設定される自発呼吸を監視するための時間のことを言います。
例えば先ほどのように換気回数が10回/分と設定されているとしますね。
つまり1分間に10回調節換気(500ml)を送る設定になっています。
ということは60秒/10回=6秒となるので、6秒に1回、調節換気を送るってことでもあるんです。
この6秒間の最後の方の時間をトリガーウィンドウと言ったりします。
(※機種によって名称、時間に差異あり。)
画像で言うと赤い枠の部分ですね。
このトリガーウィンドウ中に自発呼吸があれば人工呼吸器はその自発呼吸に合わせて調節換気を送ります
ではトリガーウィンドウ以外で自発呼吸があった場合はどうなるんでしょうか。
そこでサポート圧(PS)の出番です。

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このようにトリガーウィンドウ内で調節換気を終えた後、次のトリガーウィンドウに入るまでに吸気努力があった場合の呼吸はすべてサポートされた自発呼吸に変わります。
ちなみに自発呼吸が無い、もしくはトリガーウィンドウ内でのみ自発呼吸をしている場合は調節換気のみとなります。
つまり自発呼吸が感知されない状況ではSIMVはA/C(アシストコントロール)と動作がほぼ同じになるんですね。
※ちなみにA/C≒CMVと思ってもらって大丈夫です。
(HamiltonではCMVと呼称します。)

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設定換気回数を超えた状態での自発呼吸がA/Cと比較するうえで最も重要な部分になります。

A/CとSIMVを比較しつつまとめてみる

ということで強制換気を行うモードとして何かと比較されがちなA/C(アシストコントロール)とSIMVを比較してみました。

テキストプレースホルダのコピーのコピーのコピーのコピー (2)
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おわりに

ということで今回の記事はここまでで終わりです。
続きモノとして書いたので次の記事もあります。

参考文献

1.讃井將満・大庭祐二編(2014)「人工呼吸管理に強くなる」羊土社.
2.William Owens(2018)「人工呼吸器の本エッセンス」(田中竜馬訳)メディカル・サイエンス・インターナショナル.
3.安元和正ら編(2017)3学会合同呼吸療法認定士認定講習会テキスト.
4.HAMILTON MEDICAL."HAMILTON-C6 Operator's Manual.v1.x.x.".2017-08-15.https://www.hamilton-medical.com/dam/jcr:32ec370d-3b9e-45b4-92d4-0f40fef81bd3/HAMILTON-C6-OpsMan-v1.x.x-EN-624945.01.pdf,(参照:2020-10-06)


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