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『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース成功への道』

こんにちは。青い羽のタナカです。今回はドリームインキュベータシリーズ第3弾、『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース成功への道』です!以前ご紹介した『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略』の中でも特に難しい「構想策定」と「フックと回収エンジンの設計」にフォーカスを当てて解説する一冊です!

1.ビジネスプロデュースとアントレプレナーシップ

ビジネスプロデュースとアントレプレナーシップはあらたに事業を始めるという観点では同じだが、求められるスキルは全く異なる。ビジネスプロデュースとは大企業の中で大きな事業を生み出そうとすることであり、個人が自由に使えるリソース(ヒト・モノ・カネ)は限られ、企業として社会に果たすべき責任や既存の顧客をないがしろにすることはできない。バランス感覚が求められる。一方でベンチャー企業であれば資金はどこからでも自由に調達することができるし、企業としてもゼロからのスタートになるため、ブランディングも新たに始めることができる。運動量と斬新さといったところだろうか。

ではなぜ大企業の中で新事業を生む必要があるのか。これは『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略』でも述べたが、潜在的な市場規模が大きい未解決の課題は、社会課題を筆頭に解決が難しいものが多いため、日本においては資本力と信用力がある大企業でなければ解決することが困難であるからだ。そもそも会社というのは社会に貢献することをミッションとして生まれたものであり、大企業は未解決の課題に取り組まなければならないと言える。

2.構想

本書では構想の定義として下記3つが満たされていることが条件だとしている。

①どの社会課題を切り取って解決するのか明確であること

これは後に一緒に課題に取り組む仲間づくり(企業、政府)をする際や顧客は誰かを正確に認識するため、初めに明確にする必要がある。

②その課題を解決することによる社会的インパクトが市場規模(可能であれば事業規模)として概算できていること

仲間づくりや自社の中での賛成を得るため、定量化してメリットを見せる。

③各プレーヤーのビジョンモデルが相互関係を持ちながら全体として整合していること

誰かだけが得していたり損している状況では真の仲間づくりはできず、崩壊のきっかけとなる。

これらを漏らさず検討するには「知識の絶対量」や「客観的な高い視点」が必須であり、本を読むことや様々な立場の人にインタビューすることで磨くことができる。

3.回収エンジン

フックは顧客を獲得するための撒き餌、回収エンジンはお金を得る仕組みのことだが、企業がこの2つを考える際、先に回収エンジンを考えた方がいい。フックは設計に比較的自由度がある一方、回収エンジンは既存の事業との組み合わせになるため、自由度が低い。回収エンジンが見つからないという場合は下記3つのスクリーニングで自社のビジネスから「回収エンジン候補」を見つけることができる。

①収益性(利益率)の高い事業かどうか

原価が低く、人工が変動しない(固定費の割合が高い)事業の方が向いている

②大きくなり得る要素があること

今後拡大する市場に根ざしたものか、恒常性、普遍性が高いものか

③フックと繋ぎ込めるか

回収エンジンを先に考えると言いつつ、そこにある程度の自由度を持たせられるのであればフックで得たユーザーを自然に通過させられるかどうかを考える

4.フック

自社の強みや差別性は「選ばれること」が重要なフックに活用する。強みとは「自社が周囲に与える価値」であるため、必ずしも自社の認識が正しいとは限らない。商品力が強いと思っていたら営業が上手、コーヒーを売っていると思ったら集中出来るスペースを売っていたなどだ。「他社より何が秀でてるか」「どんな価値を出しているか」を客観的な視点で判断する必要がある。

ここでフックを他社の回収エンジンにぶつけることができるとよりユーザーを呼び込むことができる。月額課金のマッチングサービスと無料で登録できる(広告収入)同サービスであれば後者の方がユーザーが増えるのは容易に想像できる。

フックの設計に有効な手法の一つにオープン&クローズ戦略がある。自社の利幅や優位性が低い領域の情報をオープンにして参入障壁を下げる手法で、インテルがパソコン全体のレシピを世界中にばら撒き、利益率の高いコア部品であるマザーボード(正確にはその構成品)のみを製造・販売したのはまさにこれだ。

5.書評

フックと回収エンジンの設計、面白いですね。特にフックの設計については後発であればあるほど「他サービスとの共存可否」を意識する必要があると思います。携帯を複数台持つ人は少ないが〇〇payは複数活用している人が多いなど、業態の特色を踏まえて設計していきましょう!



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